竹島問題は一端沈静したかに見えるが、この問題は単なる政治、外交の問題ではない。 

 先ず政治面では自らの主張を明確に表明出来た事は一応評価出来る。此に対してヒステリック迄に自国の領土と主張して迄も自らの政権の延命を図らなければならない韓国には同情する。此もリラインの時に毅然たる意志と対応をしなかった時の日本政府にも責任の一端は存在する。
 外交問題としては、対韓国としてだけでは無く、対中国を意識して明確な方針を確立しておく必要を感じる。中国に対しては尖閣諸島の例、ガス田問題が存在し、今韓国に多少でも譲歩する事は、中国に口実を与える事に繋がる。中国の主張の通りだと琉球列島ばかりか、本土すら大陸棚の一部となり、日本の国土すら存在しない事になる。日本海溝、フィリピン海溝の位置をみれば、如何におかしな主張か理解出来るだろう。
 竹島そのものは、個人的には日本の領土と理解している。この事は韓国も講和条約に記された放棄する領土に含まれていない事は承知している筈だ。
 情報、認識を正確に国民に説明出来ない韓国政府と、誤った認識の上で国民を扇動した大統領の責任は大きい。この事自体で韓国との交流が途絶する事はあり得ないが、度重なると決して良い結果にはならない。
 その面では日本政府の対応は大人の対応だったと思う。但し、この問題で本来得るべき漁業資源が枯渇しつつ有ることに留意すべきだし、太平洋側にも韓国漁船の操業を認め無ければならない等早急に解決すべき問題は大きい。
 排他的海域とは、今認識している資源以外にも、将来有効になる資源をも認識して対応すべき国民の資源、資産である。 本来共有はあり得ない。何れかの国に帰属を確定させた上での資源の活用が本来の姿と思う。
 一次の紛争、感情で帰属をうやむやして後生に送る事は単なる事なかれ主義でしかあり得ない。外交とは相手が右手を出せば物を与え、左手を出せば物を与えるものでは無い。その様な考え方は官僚の事なかれ主義と、政治家の一時的な人気とりにすぎない。 
 被占領国、又は被侵略国が自国の権益に必要以上に敏感になる事は理解出来る。特に韓国は古くは現中国の支配を受け、ロシアの脅威にさらされ、日本の統治下にあり、つい最近迄事実上米国の支配下にあった。我々が感情的にベトナム戦争反対と言って居た時には、猛虎師団を編成してベトナム戦争に参戦しなければ米国の援助を打ち切られる恐れがあり、今も韓国軍は緊急時国連軍(事実上米軍)の指揮下に入るとされている。この国の国民の感情は理解して良き隣人になる努力は必要だが、自らの当然の権益を放棄する事はお互いが常に紛争する理由を有する事になると思う。
 中国に対しては全く別の認識でいるが。