"Muraki" <muraki_n@doglover.com> writes:

> こうしてみると日本の大学への公的研究費は欧米を上回っているようだが、
> なぜ、日本のノーベル賞はかくも英、独、仏に比べて低調なのでしょうね。

まず、研究開発費のうち、公的部門の資金によるものでは、日本の 20% とい
う割合は低いです。
アメリカや、フランス、旧ソ連では、国防省から結構な額の研究資金が流れて
います。
ロスアラモス研究所など。
これらは、直接の軍事研究ももちろん、軍事研究とはおよそ縁のなさそうな基
礎研究にも回っています。
NATO 財政支援の素粒子国際会議というのもあります。

他に、宇宙、天文関係に、NASA,ESA といった公的部門の資金による研究開発
費があります。
いずれにせよ、文部省などといった機関の管轄外の研究資金ルートです。

日本でこれらに対応するのは NASDA ぐらいですが、これも文部科学省の管轄
下にはいりました。
フランスでは、グランゼコールは文部省以外の管轄下ですが、組織としての名
目上の効率性は犠牲にしても、教育、研究は多様なルートある方が有効と思う。

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日本の研究費で、私的部門に関してですが、基礎研究より開発に偏っているこ
とと、アメリカなど国外の研究機関への委託研究多いことあげておきます。
日本の大学との委託研究、手続き的に面倒な点もあるのでしょう。

それから、バイオテクノロジー関係では研究のための機器発注に日本の業者に
実力も価格競争力もあるにもかかわらず、国外の業者への偏重例が多いことを
野依教授が嘆いたように記憶しています。
# 河野さん指摘の事務システムにも問題あったような。

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Kiyohide NOMURA
Department of Physics,
Kyushu University,
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