2007.03.20 Liszt Academy of Music (Budapest)
Ivan Fischer / Budapest Festival Orchestra
Szabolcs Zempleni (Hr-2), Jane Eaglen (Ariadne/S-4,5)
Robert Dean Smith (Bacchus/T-5), Virginie Pchon (Echo/S-5)
Claudia Mahnke (Dryade/Ms-5), Valeri Condoluci (Najade/S-5)
1. R. Strauss: Till Eulenspiegel - Symphonic Poem, Op. 28
2. R. Strauss: Concerto for Horn and Orchestra No. 2 in E-flat major
3. R. Strauss: Salome - The Dance of the Seven Veils
4. R. Strauss: Ariadne in Naxos - Aria of Ariadne "Es gibt ein Reich..."
5. R. Strauss: Ariadne in Naxos - Closing Scene of the Opera

リスト音楽院で祝祭管を聴くのは初めてかもしれない。まず,「ティル・
オイレンシュピーゲル」が感動的に上手かったです。この超難曲を一糸
乱れぬ統率で弾き切る祝祭管と指揮者の技術力,ホルンを筆頭に重要な
ソロパートも一切外すことなく達者にこなしていく奏者たち,まさに
「ヴィルティオーソ・オーケストラ」の面目躍如たる快演でした。
この曲は祝祭管のデビューコンサートでも演奏した,メンバーにとって
思い入れのある「オハコ」なのだそうで,指揮者はじめ,皆演奏を楽し
んでいるのがよく伝わってきました。

この日のメインは何と言ってもジェーン・イーグレンの登場です。開演前
ロビーで立ち話をしていると,すごく地味なジャンパーを羽織ったスッピン
巨漢のおばちゃんが,さらに巨大な男性(ダンナさんでしょうか)を伴って
入ってきたのですが,その人こそ,かのイーグレンでした。確かにその
体格は尋常ではないものの,あのくらい太った人はこちらでは全然珍しく
ないので,言われなければ全く気付かないくらい,イメージとのギャップが
ありました。だいたい顔がプロモーションの写真と全然違うし。しかし
その歌は評判に違わぬ素晴らしいものでした。このリヒャルト・シュトラ
ウスのオペラは私には馴染みがなかったので,良し悪しはよくわからない
ところもあったのですが,さすがに「現代最高のブリュンヒルデ歌手」と
言われるだけあって,まさにワーグナー向きの幹の太い美声でした。
惜しむらくは席がオケの真横の2階で,オケを見るには良かったのですが,
歌はやっぱりできれば正面で聴きたかったです。席のせいか,テナーは
小編成にもかかわらずオケに負けていたような気がしました。

ところでイーグレンが歌い出すとどうしてもかすんでしまうものの,他の
歌手もフランスやドイツから招聘した第一線の人たちで非常に良かった
です。かなりお金のかかった企画だったと思います。ただ,ハンガリー
国内にも歌劇場で普段活躍している素晴らしい歌手がたくさんいるのに,
あえて外国からのゲストで固めたところに,国内におけるフィッシャー
および祝祭管の微妙なポジションというかスタンスが表れているような
気もしました。

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はっしー@ぶだぺしゅと
演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>