キタエンコ/ブダペスト祝祭管:ショスタコ6,ロココ変奏曲(ウォールフィッシュ)
2006.10.27 Palace of Arts, Bartok National Concert Hall (Budapest)
Dmitri Kitaenko / Budapest Festival Orchestra
Raphael Wallfisch (Vc-3)
1. Liadov: Eight Russian Folksongs, Op.58
2. Shostakovich: Symphony No.6 in B minor, Op.54
3. Tchaikovsky: Variations on a Rococo Theme, Op.33
4. Tchaikovsky: Italian Capriccio, Op.45
ロシアの巨匠キタエンコの祝祭管初登場です。オールロシアものながら
ちょっと変わった選曲で,「ロココ変奏曲」以外は祝祭管にとって初挑戦
だそうです。「イタリア奇想曲」まで初というのは以外でしたが。
さてこの日はキタエンコの指揮がとにかく元気がよく冴えていました。
足を閉じ背筋をぴしっと伸ばして,非常に格好の良いダイナミックな
棒を振る人で,いつにも増して祝祭管がよく鳴っていました。特に
ショスタコ6番が,陰々滅々とした1楽章からバカ騒ぎのような終楽章まで
一本ストーリー性を持ったような進行で,緊張感が緩むことなく最後まで
一直線に聴かせ,素晴らしかったです。ソ連崩壊後はかえって昔の勢いを
なくし,最近は韓国KBS響の首席という,正直あまりパッとしないポストに
甘んじているらしいキタエンコですが,まだ66歳,このまま埋もれてしまう
のはいかにももったいないです。
今シーズンの祝祭管は,前回のマーラーの時にも感じたのですが,ちょっと
力みが入りすぎで時々「うるさい」です。金管バリバリ,弦も低音部の迫力
を強調した,シカゴ響のようなオケを目指しているのかなと,ふと思ったの
ですが,そういえば他でもないショルティはこのオケの終身名誉指揮者で,
創立にも一枚からんでいたはずなのでした。まあ,オケが名手揃いで馬力が
あるのは十分わかったので,今一度パートバランスに注意を向けてもらえ
ればと感じました。
後半のチャイコフスキーは曲想の違いもあり,前半よりずっと軽やかに
進みました。ウォールフィッシュのチェロは技巧も凄いですが,それを
全く意識させない音の軽さで,心地よく聴いているうちに,またもや時差
ぼけに負けてしまいました…。イタリア奇想曲もそれなりに盛り上がった
のですが,やはり前半のショスタコの方が拍手喝采は大きかったので,
曲順にも難があったかなと。4,3,1,2の順で良かったのではと思いました。
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はっしー@ぶだぺしゅと 演奏会備忘録
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Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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