2006.09.08 Palace of Arts, Bartok National Concert Hall (Budapest)
Mariss Jansons / Royal Concertgebouw Orchestra
1. Beethoven: Egmont Overture, Op. 84
2. Henze: Sebastian im Traum (Hungarian premiere)
3. Mahler: Symphony No. 1 "Titan"

今年のマーラーフェストは祝祭管による委嘱新作品の初演(7日)と
交響曲第5番(9,10日)に加え,ゲストにヤンソンス率いるロイヤル
(アムステルダム)コンセルトヘボウ管弦楽団を招聘し,豪華さが
ぐっと増しました。主催者の一人でもあるイヴァン・フィッシャーが
この日は聴衆として座っていました。

コンセルトヘボウの実演を聴くのは初めてだったのですが,期待通り,
たいへん音の良いオケでした。特に弦はしっかりと芯の太い音を出し
ながらも,非常に繊細な表現も空気のように難なくこなして,雑な
ところがみじんもありません。木管はピッチの悪い箇所が多少ありまし
たが,もっと渋い音色かと想像していたら,金管・打楽器も含めて意外
と派手な音色でガンガン鳴ってきます。もちろんヤンソンスの趣味でも
あるのでしょう。あと,良いオケはどこでも例外なくそうなのですが,
若い団員が多くて健全に新陳代謝している様子が見て取れます。第1
ヴァイオリンに日本人女性が3名もいたのが目を引きました。

昨今のヤンソンスはバイエルン放送響とここの世界に名だたる2大オケを
手中に納めた他,今年はウィーンフィルのニューイヤーも振り,今や
怖い物知らずのイケイケドンドンです。まず1曲目の重厚過ぎるエグモント
で早速お腹一杯になりそうでしたが,次のヘンツェ新作がカラフルな音響
の15分ほどの小品だったのでほっと一息入れ,メインの「巨人」は感動的
に素晴らしい演奏でした。ピンと伸びた背筋に大きな身振りで,極めて
力点のはっきりしたリズミカルな指揮をする人なのですが,音楽は決して
走らず,一歩一歩踏みしめるように進行していきます。3年前のウィーン
フィルの時も思ったのですが,非常に大きなスケールの音楽作りをする人
です。ポリフォニーをわざとらしく際立たせたりするような奇を衒った
ところが一切なく,あくまで流れは自然です。多少,最弱音欠如型の気が
あるかもしれませんが,正統派の巨匠タイプと言えるでしょう。最後の
ホルンは立ち上がらずベルをアップするだけでしたが,十分な音量で迫力
満点でした。

アンコールはハンガリー舞曲第6番と「薔薇の騎士」のワルツ。満場の
ブラヴォーに応えてヤンソンスもサービス満点でした。しかしあんた方
ブダペストの聴衆は,ブラヴォー言う前にまず演奏中のノイズを何とか
しなさい,と,今シーズンも愚痴り続けることになるのでしょうな…。
相変わらずあっちでゴホゴホこっちでガサガサとうるさいことこの上なし。
せめて「巨人」の冒頭5分くらいは静寂にできんのかねあんたらは。

-- 
はっしー@ぶだぺしゅと

演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>