2006.03.19 Palace of Arts, National Concert Hall (Budapest)
Ivan Fischer / Budapest Festival Orchestra
Lang Lang (P-1)
1. Rachmaninov: Piano Concerto No.2 in C minor
2. R. Strauss: The Legend of Joseph

噂のランランを初めて聴きました。ハンガリーで演奏するのはこれが
初めてだそうです。瑞々しい音色で大げさにテンポをゆさぶり,顔芸
含め全身でめいっぱい感情を表現するたいへんロマンチックなスタイルで,
このラフマニノフ2番には非常にマッチしていました。何かこう,ぐっと
心が引き込まれる演奏で,ただ上手いだけの人ではないなと思いました。
またオケの音もこの日は特に骨太で,多少軽めに感じられないこともない
ランランのピアノを下からうまく支えていました。全く物怖じすることなく
自分の世界に没頭していくピアノにしっかりと肉付けをしつつ,時には
ピアノを挑発しながらもお互いが分離することなく見事に融合したサウンド
を聴かせていました。フィッシャーと祝祭管の懐の深さあってのことで
しょうが,相性の良さも大いに感じましたので是非またいつか共演して
(できればレコーディングも)もらいたいものです。

メインはR.シュトラウスの珍しいバレエ音楽「ヨゼフの伝説」で,実演
を聴くのはもちろん初めて。ハープ4台,ピアノ,チェレスタ,オルガン,
ウインドマシーン,ホルンいっぱい,ティンパニいっぱい等々を含む
とんでもない大編成の曲で,やはり生で聴くその大音響は相当迫力が
ありました。実演の醍醐味を十分に堪能し,いたく感動しました。
R.シュトラウスの中ではかなりマイナーな作品ですが,分かりやすく
起伏に富んだ内容で,少なくともアルプスや家庭交響曲と同程度には
取り上げられてもよいのにな,と感じました。ただ,バレエの舞台なし
ではこの65分間はちょっと長丁場過ぎるかもしれませんので,作曲者が
編集した組曲版なんかがあればなお良かったのに,と残念に思います。
なお,この曲はレコーディングも行われたそうで,Channel Classics
からそのうち(来年くらい?)リリースされるとのことです。

それにしてもフィッシャー/祝祭管コンビの充実度は近年著しいもの
があり,いつもハズレなく楽しませてくれます。おととい聴いたスイス
ロマンド管クラスのオケなどはもうはるかかなたに抜き去って,すでに
世界のトップ中のトップクラスにいると言っても過言ではないでしょう。

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はっしー@ぶだぺしゅと

演奏会備忘録 <http://www.ne.jp/asahi/hot/space/concert/>