Yo wa Zettai ni Minshu-Tou wo kataseru. Katasite miseru ! ! !

Ika "Mainichi-Shinbunn" no Shasetu yori:-

毎日新聞 2008年1月3日 0時05分
社説:ねじれ克服 政治への眼力を磨こう
 国会は衆参両院の「ねじれ」を抱えたまま新年を迎えた。日本の議会制民主主
義にとって大変な試練ではあるが、真摯(しんし)に向き合い、乗り越える年に
したい。
 私たちは昨秋の臨時国会召集以降、両院で多数派を異にするこの状態が、政治
の意思決定プロセスにおいていかに深刻であるかを目の当たりにしてきた。
 国会に緊張感をもたらしたことは評価すべきだが、国権の最高機関が合意形成
に手間取り、変動する内外の課題に即応しにくくなっている事態に、多くの人び
とが危機感を抱いた。
 従って「ねじれ」の克服が、与野党双方にとって今年最大の政治課題であるこ
とは間違いない。
 異例の越年延長になった臨時国会で、与党は間もなく一つの答えを出す。焦点
の新テロ対策特別措置法案が参院で否決されることを前提に、衆院で3分の2の
賛成による再可決、成立を図る方針がそれだ。
 憲法59条に盛られた「3分の2」条項は、衆参の意見が対立した場合の正規
の対処法ではある。与党は予算関連法案でもこの手法を取る構えだ。
 ◇衆院選こそ王道
 しかし、衆院の再可決が常態化するような国会は、健全ではない。緊急避難の
措置としてはやむを得ないにしても、根本的には新たな民意を国会に取り込むこ
とによって「ねじれ」の克服を目指すのが王道だろう。すなわち衆院の解散・総
選挙である。
 小泉内閣以降、安倍、福田と2代続けて衆院選の洗礼を受けていない内閣が生
まれた。自公連立与党の都合によるものだ。こうした審判なき首相の交代を有権
者が事後判定する意味からも、衆院選は早期に実施されなければならない。
 すでに与野党は年内の解散不可避という前提で、時期の見極めに入っている。
この点、福田康夫首相は防衛省汚職や年金記録問題の影響を受けやすい4月まで
の解散を避け、7月の北海道洞爺湖サミットが終わった後の秋口解散を想定して
いるようだ。
 地球温暖化が主要議題となる洞爺湖サミットで、日本は議長国を務める。この
ため、解散・総選挙の実施時期は国益に十分配慮して決せられるべきだろう。
 さて、いよいよ衆院選が現実になったとしても、選挙によって「ねじれ」がす
んなりと解消される保証がないこともまた、覚悟しておかなければならない。
 理論的に「ねじれ」でなくなるのは、民主党が単独ないしは他の野党の議席を
加えて過半数を制する場合のみである。しかし、小沢一郎民主党代表が認める通
り、それは容易なことではない。現有議席の2倍以上の大躍進が必要なためだ。
ただ、民主党が過半数に達しないまでも衆院第1党になったとしたら、自民党は
潔く野に下るべきだ。
 一方、自民、公明両党の獲得議席が過半数をいくらか上回る程度だった場合、
政権は維持できても、「ねじれ」は極限まで深刻化する。衆院による3分の2再
可決が不可能になり、参院で否決された法案は完全に出口を失うためだ。自民党
が先の参院選並みの大敗北を喫しない限り、このケースが十分にあり得る。
 そう考えると、国会が本当にもだえ苦しまなければならないのは、むしろ衆院
選の後ということになる。
 政権の安定化を図ろうと政界の流動化が始まり、政党の再編に結びつくかもし
れない。理念を軸に政界再編が進むなら歓迎すべきだが、もし自公が参院の不足
分を野党から調達するような事態になれば、有権者に対する背信と映るだろう。
また昨秋に頓挫した大連立構想が、再び動き出す可能性も否定できない。
 ◇選挙後の激動
 いずれにせよ、次期衆院選では、相当に高い確率で事後の激動がついて回りそ
うだ。しかも、そのプロセスを有権者が直接コントロールすることは難しい。
 だからこそ、国民は政党や政治家に対する眼力に一層磨きをかけ、注意深くそ
の動きを観察しておく必要がある。選挙後に起こり得る事態を、政党、政治家に
白紙委任しないための防衛策でもある。
 自民中心か、民主中心かという政権の枠組みだけではなく、選挙を経ても衆参
の多数派が異なった場合の対応が重要な論点になる。大連立を容認するのか、し
ないのか。政界再編を志向するなら、どんな結集軸にしたいのか。
 憲法は首相指名や予算などで第1院たる衆院の優越を認めているが、優越の程
度は限定的だ。実際のところ、衆参の力は対等に近い。参院がしばしば政変の要
因となるゆえんである。ただし、参院の多数派が過剰な影響力を行使すると、政
権選択という衆院選の意義は損なわれてしまう。
 国会はいずれ二院制のあり方を整理し直すべきだろう。ただ、民主党が参院に
陣地を構えて攻勢に出ようとしている以上、制度的に参院の抑制を図るのは困難
である。このため、衆院選後に「ねじれ」の克服に向けた政界の流動化が始まる
のはやむを得ない。
 08年。この国の議会制民主主義を鍛え直す好機が訪れたと考えたい。