どっち?



 ボスは一人暮らしの若い女をレイプしてきたって。
そのボスと、とあるアパートの3階にいる。
部屋は二つある。
どちらかが若い女の一人暮らしだってことは調査済みだ。
右側の部屋。
かわいいピンクの表札に「早乙女小百合」って。
左側の部屋。
でっけえ表札に
「ゴジラ熊五郎
    キングコング
    ライオン丸
    サーベルライガー
    力道山」って。
で、どっちが若い女の一人暮らしだ?

「ボス、右側の部屋じゃないっすか?」
「バカッ、おめえどうしてそう馬鹿なんだ。
 こっちだよ。
 少しは頭つかえよ。
 みえみえじゃん。
 こんな易しいなぞなぞはねえよ。」
「でもボス。
 こっちの右側の表札は・・・」
「そんなもんスパム業者かなんかにきまってるじゃろが。」
そう言ってボスは迷わず左側の部屋に進入していった。

ガオーッ。
グワーッ。
バキッ。
「わああっ、助けてくれえっ。」
ゴンッ。
ベキ、ベキッ。
すごい音が漏れてきた。
右側のドアがそっと開いて、たおやかな乙女が顔を出す。
「どうされました?」

ボスは二度と部屋から出てこなかった。
おいらは逃げた。