霊長類の中でも、ホモ・サピエンスがここまで繁栄を謳歌している
のは、"弱者"をかばってきたからです。

ある時代の"弱者"というものが、次の時代に必要不可欠な人材とな
る場合があるでしょう。たとえば、男たちが石斧を振りまわして
いる原始社会で最初のうちは、体力に恵まれるものが強者です。し
かし、体力に恵まれていなくても思慮深い人間をかばいながら生き
ている集団は、やがては弓という新しい道具を手に入れたことでしょ
う。そうなると、狩りや集団間の抗争において、"弱者"をかばっ
てきた集団の方が圧倒的に有利な立場を確保できます。弱者をかば
わない集団は、体力と知力に同時に恵まれる人間が現れるまで、新
しい道具を手に入れることができません。

現代の社会に目を向けてみると、誰でも経済的に"弱者"となってし
まう可能性は持っています。時には、有能な人間でも、事業の失敗
などで"弱者"となります。こういう"弱者"に冷たい社会は、冒険が
できない社会でもあります。ですから、じわじわと衰退します。

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