Re: 資産としての年寄株
Fri, 08 Jul 2005 22:10:20 +0900,
in the message, <20050708221020cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>事実関係がもう少し整理できるまでクロスポストはそのままにしておきます。
日本相撲協会寄附行為施行細則の年寄名跡の取得・襲名・継承に関する規定の
内容が明らかになればほぼ全部解決する話でしょう。
逆に言えば、それが判らんことにはどうしようもない。
判っている範囲で言えることは、
>> (1)年寄株をもつひとが死亡すれば年寄株は相続人に相続される
遺族が手元に保有できるという規定が在るらしいが、それが相続を意味するの
か或いはそれ以外かを含めて、それ以上のことは言えない。
>> (2)相続されてから3年以内であれば年寄資格対象者に売ってもいい。
これも3年を過ぎると年寄預かりになるという規定があるらしいが、それが3年
以内に処分することを義務付けるものであるかを含めて、それ以上のことは言
えない。
>> (3)相続人が年寄資格対象者であればその年寄になってもいい。
これは、貴乃花が現在年寄株(山響)を保有しているために二子山株は取得で
きないという北の湖協会理事長の談話からすれば仮に貴乃花が年寄株を有しな
いのであれば取得できるということになり、おそらく正しい。
# ちなみに名跡証書が行方不明であることがなぜ問題だったかと言うと、「名
跡の譲渡は名跡証書の裏書譲渡により行う」ことになっているため二子山親
方が生前に誰かに裏書譲渡した可能性があるためであろう。
もっとも、先日、故人の弁護士が預っているという話が出てきたのでもはや
証書の所在はどうでもいい。
そして花田勝氏が相続放棄した以上、規定に定める「止むを得ない場合」と
して山響株を保有している貴乃花親方に特別に二重保有を認める可能性はあ
ると思うがあくまで推測。
まあ二子山株の方がおそらく格は上(或いは貴乃花親方の主観的には価値が
有る。)のではないかと思うので、そう考えると、必要と在らば山響株を手
放すことも辞さないんじゃないかとは思うんだけど。
いずれ、花田勝氏が相続放棄した段階で少なくとも遺族で揉めるネタはもう
無いのではないかと思う。
花田勝氏が相続を放棄しつつ名跡は相続財産ではないとしてなお名跡の保有
を主張しているという話があるとも聞かないのでもはや訴訟沙汰にもなりよ
うが無いのではないかと思う次第。
……なんかうやむやの内に解決しそうな気がしますな。
それとも他にも「遺族」がいるのか?
>> (4)未処分で3年を経過すると相撲協会に返さなければならない。
規定によれば「年寄預かり」となるらしい。
ただこの「預かり名跡」というのがどういう状態か詳細は不明。
>>ということになりそうですが合ってますかね。
いずれ確定的なことは言えませんが(3)以外はおそらく厳密には合っていない
と推測します。
>返す返さないの問題ではなくてそもそも権利ないし地位が消滅するとも
>考えられます。
年寄名跡が江戸時代から続く歴史と伝統に基づく「それぞれ固有の名跡」であ
ることに鑑みまた数が105と限られそれが故に取得に相当の対価を要する慣行
が成立していることなどを考えればそうおいそれと消滅するとは考えがたい。
従ってこれは無いでしょう。
# それに相撲と無関係の人間が名跡を所有していたりした事例が在ったりする
辺り、実質的な価値とは別に形式的には無資格者の元を転輾することを協会
も黙認しているのではないか?
>>これは「花籠」株を担保にしたように記憶してますが
>>これで輪島が廃業するときに,
>>「花籠」の名跡は協会預かりになったとかしましたっけ。
>>この名跡が輪島から花乃湖にうつった経過をご存知の方
>>いらっしゃれば教えて下さい。
>
>私の記憶に間違いなければ
>先の投稿で示した判例ってまさにこれだと思いますよ。
>判例時報って雑誌の当該ページが
>まさにその解説までしているかもしれません。
残念ながら当該事件は花乃湖「後」の話です。
花乃湖が廃業した後に転輾した年寄名跡花籠を大寿山が入手して花籠部屋を再
興した時の揉め事。
なお大寿山に譲渡した人物は親が(当該訴訟の被告)元花籠親方大ノ海だった
ということでそのまた前の所有者は山岸なる相撲と無関係の人物だったらしい
ので、花乃湖からなんらかの経緯により山岸なる人物の手に渡っていた
(念のため言っておくと直接とは限らないよ。
「経緯」には第三者が一人以上介入している状態も含んでいる。)
ということなのだけど……、相撲と無関係でも「所有はできる」ってことにな
りますな。
# なんか株式に非常に近い気がする。
>ただ年寄株だと
>実際は資産的価値があるとして課税しているかもしれないし
>資産的価値は何らかの契約に基づいて認められるとして
>その契約が実行された時に入るお金に課税しているのかもしれないし
>それは私にはわからないです。
>(なんとなく後者っぽいと思うし
> そうだとすれば相続税はかからないような……直感だけど。)
その直感は正しいのではないかと推測します。
というのは、年寄株の相続適格につき「市場取引ができないから資産評価がで
きない」という理由で否定する見解が在るところ、「税務当局が資産課税する
のなら資産評価が可能ということになるからこのような見解は在り得ない」か
ら。
また、有償譲渡により所得があればそれは「相続とは無関係に」所得税の対象
として課税されるはず。
# ただ、上記訴訟の被告も2億5千万円で譲り受けたという話で、どうも「市場
取引ができなくてもその筋の事実上の相場が存在する」ようではあります。
ならば、少なくとも事実上は資産評価可能でしょう。
--
SUZUKI Wataru
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