hiko800 wrote:
> で、nを5とし、もとの置換を恒等置換として、2、3の置換で
> 実験してみるとどうやら高々5回同じ置換を施すともとの恒等
> 置換に戻るようです。

これは正しくありません。
例えば (1 2) の巡回置換(互換)と (3 4 5) の巡回置換とを
組み合わせた置換は位数 6、つまり6回目で初めて元に戻ります:
 0  1 2 3 4 5
 1  2 1 4 5 3
 2  1 2 5 3 4
 3  2 1 3 4 5
 4  1 2 4 5 3
 5  2 1 5 3 4
 6  1 2 3 4 5

> そこで、何かある運動とか作用とかでもとのものと重ね合わせる
> ことができるとき、それを一般に「対称」という用語で表現している
> ようですから、それで「対象群」なのでしょうか。

「対称群」(や「交代群」)という呼び名は「対称式」、「交代式」
から発しているという解釈は前便で述べましたのでそちらをご参照ください。

なお「確証はない」とは書きましたが、それは直接的な裏づけとなる
文献等が見当たらない、というだけで、
置換群論(さらには群論全体)が代数方程式の解法の研究から発したことを
考えても、妥当性は高いとは思います。

# ついでに:前便では対称式の定義を互換を用いて述べましたが、
# 最初から「任意の置換で不変」とするほうがむしろ普通かもしれない。
# 実質的には同じことです。

> 無限集合のときは、全単射ということから、素朴に拡大解釈して
> 対称群と呼んでいるということなのかな。できあがった教科書では
> 無限集合で対称群という名称が与えられ、そのあとで有限集合の場合は
> 特に(n次)対称群という、という具合に記述されることが多いよう
> ですが、

あらら。
いきなり無限集合から始まるのですか?
群論の、少なくとも初年級の教科書であれば、まず「n 次対称群 S_n」
から始めるものと思うのですが。
無限集合の場合の「対称群」という言い方はあまり耳慣れないのですが、
語源的にはおっしゃるように、有限次の場合を拡張したものではあるでしょう。

(平賀@筑波大)