ども、みやこしです。

 全何話なのか判らなかった本作ですが、公式サイトのDVD情報に「全6巻」と
載りました。1クール・全12話ないし全13話という事で、分量としてはやはり
原作単行本第2巻まで位になるかと思われます。
 また、グレイス役の大原さやかさんの日記でも、5/24に最終回のアフレコ、
となっており、1クールで確定のようです。
#第2期必須かな、という気がしますが(^_^;

「英國戀物語エマ」第八章「時計」

■時計
 夜、自室で手紙を読むエマ。引き出しには、あのレースのハンカチやネック
レスと並んで手紙の束が。数えられるだけで7〜8通ありましたが、あれが全
部坊っちゃまからのものとすると、前回から1週間以上は経過している感じで
す。
 ところで、エマの唇に艶があるように見えるのは気のせいでしょうか(^_^;
#ハイライトの処理が加わったように見える…。

 朝。エマが食事の支度をしている所にやって来たのは、いつもの猫とアル。
アルが、しっかり台所に上がり込んでお茶まで貰っている所を見ると、しょっ
ちゅう来ているんでしょうね。二人の会話からしますと、先生の具合もあまり
良くないようです。
 アルが読み上げているノートは、エマの覚書らしい。食品のラベルやらレシ
ピらしきものの切り抜きやらを貼りまくっている間に、細かい文字でぎっしり
と書き込みがされています。いまいち読み取りづらいですが、左ページの方に
は、アルが読んでいる通りの内容が書かれているようです。
#右ページの方は、“potato”や“tomato”ぐらいしか判らなかった…(^_^;

 そして、またもやエマに届けられる手紙。それを大事そうに、また嬉しそう
に胸元に持つエマが可愛い(^_^)
 ちなみに、手紙を届けた少年は、エンディングでは「ページボーイ」となっ
ています。男性使用人の中でも一番の下っ端で、「小奇麗なお仕着せを着て、
家の中や外までもメッセージを届けたり、ご家族や客が通るドアを開けたりと、
こまごまとした使い走りを行なった」との事。

 ここまではオリジナルです。

 懐中時計のネジを巻く先生。食欲が無いようで、エマの用意した食事も、ス
ープに少し手を付けるぐらいしか食べません。それでも、エマに坊っちゃまか
らの手紙が来た事はお見通しなのはさすがです(^_^;

 若干アレンジされていますが、ここのやり取りは原作第六話から。アニメで
は説明されていませんが、先生がネジを巻いている時計は、亡くなったダグの
物です。先生の「使わなくなってから巻いた数の方が〜」云々と言う台詞は、
それを踏まえています。
 時計を修理に出すくだりはオリジナルですが、エマと時計屋のオヤジとの会
話の内容は、やはり原作第六話から。ただし原作では、会話の相手はミューデ
ィーズの受付のオヤジです。この辺、「時計がよく止まるようになった」だの、
「足やられたらあっという間」だの、不吉な暗示が色々と…。

 橋の上で坊っちゃまからの手紙を読むエマ。
「貴女との真剣な交際を理解してもらうまで、父の説得を続けるつもりです」
 坊っちゃまの固い決意が書かれていますが、それを読んだエマの表情も硬い
です。
 ちなみに、手紙の最初の方は、「言いたい事があり過ぎて、何から書いたら
いいか判らない」とか、「満月の夜に会った事が夢に思える」とか、何かとり
とめも無い事が書かれているようです(^_^;
#ちゃんと「らしい」文面を作っている辺り、芸が細かい。

■ジョーンズ家の嵐
 一方のジョーンズ家。
 ハキムも交えてのきょうだい団欒といった趣ですが、アーサーがコリンに意
地悪だったり、ヴィヴィーがハキムにべったりだったり、坊っちゃまに話しか
けたコリンがヴィヴィーに割り込まれたり、と相変わらずです。
#ハキムが「イギリスの女性は美人ばかり」と言うのを聞いて照れているヴィ
#ヴィーが可愛い(^_^;

 このハキムのお世辞から、グレイスに「先約」がある、という辺りは原作通
り。このグレイスの「先約」発言、アニメではさりげに流されてしまってます
が、原作では、坊っちゃまが驚く→グレイスが、坊っちゃまにもエレノアがい
る、と発言→坊っちゃまが否定→じゃあ誰?→ハキムがエマの名前を、という
流れが続きます。

 さてアニメでは、ヴィヴィーが、坊っちゃまが最近よく手紙を出している、
と言い出した事が波乱の幕開けとなりました。
 相手は仕事相手だ、と嘘をつく坊っちゃまですが、ハキムがエマの名前を出
し、しかもそれがメイドである事を知って、アーサーとヴィヴィーが坊っちゃ
まを猛攻撃。

 この辺りのやり取りはほぼ原作通り。原作に比べると、ハキムがエマの名前
を出すのがやや唐突と言うか、「ここで言うか?」みたいな感じがしましたが、
この期に及んで妹弟達に隠そうとする坊っちゃまの様子を見て、このままじゃ
駄目だと思ったのかもしれません。外出から戻ってきた父に話をしに行く坊っ
ちゃまを見送るハキムの表情が、見た事が無いくらい厳しい感じに見えるのが
印象的です。

■第2ラウンド
「ならん。絶対にならん」
 とうとう、父リチャードにエマとの交際を認めてくれるよう言った坊っちゃ
まですが、父はとりつくしまもありません。父の徹底した正論に、何も言い返
せない坊っちゃま。今回もあえなく敗退です。

 父リチャードの台詞はほぼ原作通り。
「人格は問題ではない」
「楡の木に葦を接ぎ木しようなどと考えるな。楡は丘に、葦は水辺に生えてい
 るのが自然で正しい事だ」
 アーサーやヴィヴィーが、メイドというだけで猛反発していたように、これ
が当時の当たり前の考え方だったのでしょう。階級(クラス)の違いは、それ
程までに大きい。
 それにしても、父の説教は見事なぐらいです。まさに問答無用。

 父の台詞に、「先代や先々代が築き上げてきたジョーンズ家の歴史」とあり
ますように、父は三代目です。ジョーンズ家は、その富裕な財産によって上流
階級に名を連ねる事ができたわけですが、一朝一夕に出来た訳ではないようで。
上流階級に加わる(と言うか加えてもらう)には、財産があるだけではなく、
それがある程度の期間に渡って持続されている(自分の土地を持って長年住み
続ける)必要があったそうで、ジョーンズ家も父の代になってようやく上流階
級に加わる事が出来た、という背景があります。

 父と坊っちゃまとのやり取りを、ヴィヴィー達が部屋の外で聞き耳立ててる
のも原作通り。こういう所は皆そっくりで可笑しい(^_^;

■暗い人達
 エマに身体を拭いてもらいながら、彼女の暗い様子を心配する先生。その理
由−坊っちゃまが父に話すと言うが、現実として考えるほど無理だと思える−
を聞いて、エマを励ます先生。
「大丈夫。あなたなら」と。
 この台詞も好きです。エマへの信頼と愛情、自分の教育に対する誇りと自信、
そういったようなものが凝縮されているように感じられます。

 メイドさん達−フランシスとメアリ−も驚くぐらい、険しい表情をしている
坊っちゃま。部屋に籠ってカーテンも閉め切ってしまいます。

 ここまでは原作通りですが、やはり険しい表情をしている父リチャードが肖
像画を見上げる所はオリジナルです。肖像画の女性が誰か、というのは原作の
ネタばれになってしまいますので書きませんが、おおよその想像はつくかと思
われます。
 しかし、ここでこの人を(肖像画とはいえ)出してきたのには、何か意味が
あるのか謎です。原作通りだと今期は出番が無い人なので「謎の人」で終わっ
てしまいますし、かといって今期で物語に絡めると、原作と大きく展開が変わ
ってしまいそう。

 夜。先生の部屋で寝るというエマ。明かりを消すエマの顔が、一瞬、幼い頃
の顔に見えた先生。
「年を取る筈だわ」と呟く場面は、原作の「Sequel」から。

■止まった時計
 買い物帰りにサラさんの店を覗いても坊っちゃまは居らず、エマに手紙を書
こうとしても何も書けず、会う事も言葉を交わす事も出来なさそうな二人。

 そうこうしているうちにも、先生の容体はますます悪くなり、医者の診察の
結果も芳しくない様子です。食事にも手を付けない先生ですが、アルを部屋に
呼ぶように頼みます。どうやら、アルは、毎日のように来ているくせに、先生
には顔を見せていないようです。

 弱った先生の姿を見たくないのか、照れくさいのか。何か気持ちは判る気は
しますけどね(^_^;

 先生は、アルにエマと坊っちゃまとの事を話したようです。
 うまくいくわけない、と言うアルに、
「でもね、あのエマが好きになったのよ。あのエマが…。今までこんな事無か
 ったわ。これからだって無いかも。ミスター・ジョーンズには悪いけど、せ
 めても応援したいの」
 このやり取りの部分は、原作第八話から。原作では、エマが水晶宮のデート
に出かけている間、アルが「老人介護」の為に呼びつけられていたのですが、
その時の会話です。

 そして、アルに、エマの力になってくれるよう頼む先生。肯いたアルは、先
生の手に自分の手を重ねます。

 その頃、時計屋の使いから、修理の終わった懐中時計を受け取ったエマ。時
計がちゃんと動いているのを確認して喜んだのも束の間、アルが慌ててやって
来ます。
「医者を呼んでくる」と言い残して飛び出していくアル。
 その言葉の意味に気が付いたエマは、急いで先生の部屋へ駆け付けます。
 そこに見たものは、まるで眠っているだけのように見える先生の姿でした。
「奥様、時計が直りました…」
 そう呼びかけても先生の答えは無く。やがてエマの顔に広がる驚きの色。手
からこぼれ落ちる時計。エマの目にみるみる涙があふれ、必死に先生を呼び続
けてもやはり応えは無く…。
 そして、ついには泣き崩れるエマの姿に涙しつつ、続きは次回。

■次回予告
 第九章「ひとり」。
 またもや小エマ登場ですが…萌えてる隙など多分無く、もしかしたら今回以
上に切ない話になるような気が。

■全体をみて
 とうとう、先生が永眠されてしまいました。エマにとって、雇い主であり保
護者であり、母親でもあり教師でもあった先生の死は、果たしてエマの運命を
どのように動かしていくのでしょうか。

 今回は、原作単行本第2巻の第九話を中心に、今までアニメで出てこなかっ
た原作の場面を各話から少しずつ集め、アレンジとオリジナルの場面とを加え
て再構成してあります。

 オリジナルの場面で最も大きいのは、原作では直接描かれていなかった先生
の死の場面です。原作では、この辺の構成が巧妙なので、アニメでこの場面を
入れた事には賛否両論あるんじゃないか(特に原作ファンには)と思うのです
が、これを投稿したらちょっとネット上で感想を漁ってみようかと。
ただ、私はこの場面、ぼろ泣きしてしまいました。歳取ったせいもあるのかも
しれませんが(^_^; 何でか判らないんですが、とにかく悲しかったです。普通
の人が、普通に歳をとって亡くなる、というの自体、アニメではあまり見ない
せいかもしれません。現実の体験と重なるからかなぁ、という気がしますが。
#今時のアニメで人が死ぬ、というと、大抵は殺されてるような…。

 あと、今後の展開に影響を与えそうな場面として、父リチャードが肖像画を
見上げている場面と、先生がアルに後事を託す場面があります。

 前者は、上にも書きましたが、原作ではこの時点で全く登場していない人の
顔見せをしてしまった、という事で、今後何らかのフォローがあるのかどうか。
 後者は、原作では、先生がアルに後事を託す場面はありませんが、「いかに
も言ってそう」な事ではあります。ただ、明確に描いたという事で、今後のア
ルの言動に何らかの改変(ちょっとした言い回しの変更とかではなく、大筋に
関わるようなもの)が加えられる可能性が出てきたように思えます。

 さて、物語も2/3を過ぎましたが、まだどう結末をつけるのか予測が難し
い所です。

 では。

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宮越 和史@大阪在住(アドレスから_NOSPAMは抜いてください)
BGM : 小さな祈り by 岡崎律子