# さしあたってフォロー先はそのまま。

At Sun, 21 Nov 2004 20:13:04 +0900,
in the message, <koabe-379777.20130421112004@news01.sakura.ne.jp>,
ABE Keisuke <koabe@ps.sakura.ne.jp> wrote
>ARTIFACT@ハテナ系に「『善意の第三者』は法律用語」
>という記事がありました。
>http://d.hatena.ne.jp/kanose/20041120#daisansya
>
>その記事がリンクしている「著作権で悩む」という記事が、
>「善意の第三者」を「善かれと思って」忠告している
>第三者という意味で使っていて、その後「善意の第三者」が
>法律用語であることに気が付いたということを受けての
>内容です。
>http://d.hatena.ne.jp/kowagari/20041118#1100781923
>
>なまじ「善意」が一般的な用語として解釈できるため
>こういうことが起こるのでしょうが、全く新たな語を
>創造すればいいのかというと、それもどうなのか。

# 民法改正試案で善意悪意という表現を変えるという話はありますが。
 確かに、直截に「事情を知らない/事情を知る」とでも言えば解りやすいし
 充分だとは思うけど、単なる用語の置き換えだから大した話じゃない
 (法改正で重要なのは要件効果の変更であって、表現が変っても実質が変
  らないなら重要ではないということ。)。
 まあ、善意無過失とかの表現がしにくくなりますが。
 不知情無過失とでも言うかね。
 ……何か痴情みたいで嫌……。
 なお、刑法では今でも知情(偽造通貨収得後知情行使罪とかね。)という表
 現を使ってる。

そもそも、「善意の第三者」が法律用語かどうかなどは、状況によって決る問
題でしかありません
(って言うかね、日常使っている言葉・表現だって状況によって意味が変る
 よ。
 そもそも一つの言葉・表現が常に絶対不動の意味を有するとか考える方がど
 うかしているんで。
 ……まあそういうお馬鹿な人も少なからずいるけどさ。)。

で、問題の記述は「善意の(?)第三者」と書いてあってこれが法律用語でな
いのは明らかです。
法律用語ならば(?)など入る意味がまったくありません。
そしてその後の「善意の第三者」という表現がその繰返しであることからたと
え(?)が入っていなくても同じだということもまた明らか。

……仮に入ってなくても、文脈から解りますけどね……。
だいたい、著作権法上「善意の第三者」が問題になるのは、共同著作物につい
て権利を代表して行使する者の代表権に対する制限に関してのみ。
それと関係ない話で「善意の第三者」と出てきても、一般法である民法その他
の法令の問題を論じているというのでもない限り「法律用語でない」のは見れ
ば判ります
(もっともこれはある程度法律を知っているからこその判断であるわけだが、
 逆に言えばこの程度の判断ができない人が果たして「善意の第三者」を法律
 用語であると思うのだろうか?)。

まあそうでなくても、法律用語として読むと意味不明だから法律用語でないと
読む方が素直だというだけで充分ですが。
……だってあの文章は、著作権について語っているのは確かだけど別に著作権
法の解釈など法律論を述べている訳じゃないもの。

# 自分が知らなかったことを知って他人に誤解を与えた可能性を考慮して補足
 ないし訂正をするという姿勢は大変結構なことだと思いますが。
 それこそ「善意の第三者」(^^;に何か言われたのかな?
 ……もっとも、一般論として、通常の用語として「善意の第三者」という表
 現を使うのが妥当なことがどの程度あるのか?という気はしますが。
 別に法律論に限らず、明確な表現をするなら「善意で××してくれる第三
 者」「善意に××する第三者」「善意を以て××の第三者」とかいう表現の
 方がいいんじゃないのかね?って。
 善意一般を示している訳じゃないんだから。
 本件においても「善意の具体的内容が不明確」という点であまりいい表現で
 はない
 (というかその前後の部分の文章を読むと、正直言ってあまり文章が上手く
  ない。)。
 もっともそれ以前に、「本人をすっ飛ばしてサーバ管理者に密告するような
 行為が善意の行為なのか?」と思うが。
 本人に対する「悪意」に他ならないと思うんだけど
 (いやまあ皮肉ならそれはそれで良いんだけど。)。
 かの文章が問題にしているのは、「本人をすっ飛ばして」という場合だから
 ねぇ。

ちなみに、fj.*.lawで法律用語(にもある言葉)を勝手な意味で使うと批判を
受けるのは、そこが法律上の議論をする場だからで、「特に断りがなければ」
「読んで明らかに違う」場合を除き法律用語であるとの推定を受けるからとい
うだけのことです
(ちなみに問題の記述は、「読んで明らかに違う」のですが。)。
その上で、「法律用語でない上に一般的な用語でもない場合語義が不明」なの
で「定義をしろ」ということになる。

わたしなぞ法律用語として特定の意味のある用語をfj.*.lawで非法律用語とし
て使うことが時々ありますが、誤解を招く虞があると考えれば、「法律用語で
はない」という註を入れます
(野暮な文章になるから入れたくないと思うこともあるのだが。
 って言うか、「まともな読解力があれば見りゃ判るだろうとは思うんだけ
 ど、何しろどんなのが読んでるか判んないし。:-P)。
でも、fj.*.law以外のところでは入れないこともよくあるし、逆にわざわざ
「法律用語」と入れることもあります。


とまれ、専門筋の人間でない人物が法律専門の場でもないところで徒然なるま
まに書いているだけの文章を読んでわざわざ法律用語だと考える方がどうかし
ているとは思いますが。
文章読解に難あり、と言うか国語の成績悪かったでしょ?と。:-P

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp