カエルになった王子様
カエルになった王子様
お后様は王子をたいそう愛しておられました。
王子はそれはそれは美しい顔立ちをされ、優等生な青年でした。
お后様は王子を愛し、いつもいつも王子を案じて案じて、王子のために祈っておられ
ました。
王子が20才になられた時のことです。
ある朝目がさめると、王子はカエルになっておりました。
王様はびっくり仰天して、その後何年にもわたって世界中のあらゆる名医や魔術師を
呼んで王子を元に戻してくれるよう懇願されましたが、その誰も王子を元に戻すこと
はできませでんでした。
そしてそれから・・・
・・・50年の歳月が流れました。
この地を神父様がおたずねになられました。
神父様は王子の噂を聞き入れられ、カエルになった王子にお会いになられました。
王子を人目見た神父様は次のように言われました。
「王子には悪魔が取り憑いています。」
神父様はバチカンから四人の若い神父を呼び寄せ、それから壮絶な悪魔払いが始まり
ました。
その間、一人の若い神父はとうとう悪魔によって命を奪われます。
一ヶ月の死闘のあと、ついに悪魔が正体を現します。
神父達の必死の祈りのなかで、この世のものとは思われない不気味な叫び声をあげ、
悪魔は王子の身体から飛び出していきました。
その場に居合わせた宮廷臣の一人が、後に次のように証言しております。
「一瞬、お后様のお顔のようなものが見えました。」
その夜、お后様の部屋で一匹の動物が死んでいるのが発見されました。
全身長い真っ黒な毛におおわれ、頭には二本のつのが生えておりました。
手足の爪は真っ黒で、鷲の爪のようだったといいます。
そして、これも真っ黒な長いしっぽが生えていたということです。
不思議なことに、お后様はどこにもおられず、その後その行方はようとして知れませ
んでした。
人間に戻った王子様は、もう七十才になっていて、その後も妃を迎えることはでき
ませんでした。
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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