Re: Winny 作成者逮捕
# 若干引用順を変えています。
幇助犯の成立要件についての一般的考察は別投稿でしてるんでそちらで。
もしも個別具体的事例の話ではなくまず一般論の理解が怪しいというのな
ら、そちらの投稿をたたき台にして貰いたいもの。
この投稿の主旨は結局、幇助の故意を認めるには幇助者が正犯(存在・意
思・行為など)についてどの程度の認識をしている必要があるか、というこ
と。
これは、幇助意思の認定にあたっての限界を画する話なので、かなり難しい
と思う
(規範レベルの話としても実際の事実認定レベル話としても。)。
その難しい話を感覚だけで語っているのがcopyrightの元ネタで、そんな安
易な議論じゃねぇよ、と言いたいところ。
以前の速度違反ネタもまた、感覚的な話に陥っていた人が多少なりいたわけ
だけど。
まず最初に言わないといけないんですが、ナンバーカバーの事件は本件とは事
情が少々違うようです。
なので、全く同じに考えることはできないかも知れません。
詳しくは後述しますが、大雑把に言って、ナンバーカバーの件は直販であるか
ら製造販売者と購入利用者との間にある程度のつながりがある点、購入利用者
の購入動機がほとんど速度違反取締免れであることの製造販売者の認識が未必
的に止らずかなりの蓋然性のあることまで認識していた(様子である)点、
元々、プライバシー保護などというのは建て前で本音は取締免れであることも
認めている(様子である)点など。
で、ついでに事実誤認のようなので訂正しておきますが、
At Wed, 19 May 2004 01:13:14 +0900,
in the message, <40aa350b.8183%szk_wataru_2003@yahoo.co.jp>,
SUZUKI Wataru <szk_wataru_2003@yahoo.co.jp> wrote
| だからかつてのいわゆる忍者ナンバーの製造販売業者の裁判と同じ
| (否認して多分むしろこっちの方が難しかったかも知れないが。
取り調べ段階では否認していたけど公判では否認していない様子。
だからこそ、地判は執行猶予を付けたらしい。
ただし、地裁判決を見ていないので詳細は不明なので推測の域を出ません(控
訴審では争っていないので見ても判らんし、判タの参考に載っている地裁判決
では争点及び事実認定の詳細が分らん。で、判例集には未搭載の様子。)。
At Mon, 17 May 2004 21:47:26 +0900,
in the message, <c8acff$df0$1@news511.nifty.com>,
"Hattori Yasushi" <hatty2@nifty.com> wrote
>前に,後ろからパッシングしながらスピード違反してくるクルマに道を譲るのは
>幇助でないか? で,後ろからパッシングするのは,スピード違反するからどい
>てくれと,必ずしも一意ではないから幇助ではないとの結論だったと思うのです
>が,上記のようなあやふやな関係で幇助罪が適用されるなら・・・。
どうなんですかね
(改めて読み直したら、齟齬が激しくてうんざりしたけど。)。
件のスレッドでもっとも問題になったのは、「幇助意思」つまり幇助者の認識
がどういう内容かであるのはほぼ間違いないとは思いますが。
その意味では、正犯の行為から客観的に見て「正犯の意図」がどんなものかと
いうのが中心ではなくて、あくまでそこから幇助者がどういう認識をするかと
いう話だと思います
(いやまあ確かに、客観的に汲み取れないような意図は一般論として幇助者は
認識していないのですが。)。
……まあ、そもそも争点からして絞れてないと評したところでもあり、割とみ
んな好き勝手に解していた節はありましたが
(いやまあ確かに、客観的に汲み取れないからかどうかはともかく幇助者は正
犯の行為を表象していないという筋の主張はありましたが、私に言わせれ
ば、表象していないと言い切れるかは疑問だし、実際には表象している場合
だってあり得る。
まあ、していないことも少なくないけどね。
そして、「表象していない」としつつ「(表象の対象となる)正犯の行為は
何?」という謎な問があったのも事実。
(表象の対象となる)正犯の行為は何?と尋くということは、正犯の犯罪行
為が不明ということなのに、なぜ「表象していない」と言えるのさ?
不明な行為を表象しているかどうかなど当然不明に決ってるのにどうして
「表象していない」という結論が出せるのか全く謎。)。
確実に言えるのは、「後ろから追いついた暴走車に道を譲るのは、速度違反の
幇助には'常に'ならない」という結論は間違っても出ていないということ。
あくまでも、「具体的事情によるが大概の場合はならない」だけ。
その前提で話をすると……。
大概の場合はならないというのは、色々理由があり得ますが、一番多い理由
は、「スピード違反しやすいように退いてやるよ」って「退く方が」普通は
思ってないから
(退いて貰う方については実は大概どうでもいいんです。
無論、退いて貰う方が違反しなかったというのなら別ですが。
で、あのとき私が「正犯が存在しない」という指摘をしたのは、そもそもど
の行為を正犯行為としているのかすら明確でないということ指摘に対応した
だけのこと。
正犯の行為が確定しているのなら別にオッケーだし、実際には確定している
ということも指摘したもの。)。
これは、「正犯者の特定の行為(ここではパッシング。)から推認しうる正犯
の意図」がいかなるものであるかという話とは別問題で、客観的に速度違反の
意思を示すことが推認できかつそれを幇助者が主観的にも認識し得たとして
も、「現に幇助者が速度違反の幇助をする意図であったのでない限り」、幇助
にはならない
(もっとも、この場合のパッシングは九分九厘「退け」「邪魔」という意味で
ある。
制限速度で走っている車両に対して行えば、理屈から言って退いた後で当然
に速度違反をすることが前提であるが、それは別に、パッシング自体の含意
ではなく単なるそこから正犯の意図がそのように推定できるということに過
ぎない。
その点を見れば、「正犯の実行行為の表象がない」というのは頷ける
が……、ならば正犯の行為は「退いた後で速度違反すること」に決ってい
る。
何が正犯の行為か問うこと自体失当。
退いた後の速度違反が退いた後直ぐでなければ今度は因果関係の問題。
ただ、「推定できる」ということは、「未必的に正犯の行為を表象してい
る」可能性があるということでもあるから、「正犯の表象がない」とは限ら
ないんですがね。)。
でも、もし表象を前提に認容もしていてかつその結果としてスピード違反した
(既に違反している状態の場合、継続犯か即成犯かで変るという問題がある。
即成犯だと単なる違法状態の維持に助力することは独立の罪として規定して
ある場合は格別、従犯としては犯罪を構成しない。
一方継続犯なら正犯の行為が存在しているからその行為に助力するのは幇助
になる。)
のなら「幇助犯は成立しうる」です
(というのは、拙稿Message-ID: <3c35bcd2.1455%omegafactor@anet.ne.jp>
で挙げた事例の通り。)。
一方、パッシングから正犯が何をしようとしているかを退く方が認識できない
というのであれば確かに幇助者が正犯の行為の表象を欠き幇助犯たり得ませ
ん。
が、そもそも「認識できないとは限らない」し、大体「認識できるのではない
のか?だとすれば幇助になるのだろうか?」というのが元々の問の趣旨じゃ
ねぇの?と思う次第。
まあ「正犯についての幇助者の表象の問題ではない。少なくともそれは主題で
はない。せいぜい理解の助けとなる参考でしかない」と思うんですがね。
結局、正犯の行為の認識(表象)とそれに対する認容は別の問題であり、一般
的には行為の表象を欠くから幇助とならない「のではなく」、表象していても
認容していないからならないのだという話。
……ちなみに速度違反が過失の場合、通説の犯罪共同説からは幇助は成立し得
ませんな。
話が戻るけど、正犯の意思を幇助者が知りうるかどうかが問題になるのは、正
犯が何をしようとしているかを判ってないのに「(正犯の)犯罪を手助けしよ
う」と考えることはあり得ないから。
だけど、どの程度「判って」いればいいかといえば、別に何から何まで判って
いる必要はない。
だから、「正犯の意思を知ると言っても、正犯の内心を全部知る必要はない
し、外部事情から推認した正犯の意思がたまたま真実の正犯の意思と一致し
ていたのでもいいし、その推認が未必的な程度の認識でもいい」のです(*1)。
その認識に立ってその正犯の行為を手助けしようとするのであれば幇助の意思
としては充分なのです。
だけど、客観的には推認できたって普通は認識してねぇよだし、仮に認識して
いても手伝ってやろうって考えてねぇよ、なので、それが「正犯の行為を表象
していない」からなのか「正犯の行為を表象しても幇助する気がない」からな
のかは、まあケースバイケース。
だけど、「正犯の行為を認識していたかどうか」は認識していることだって十
分あるしそもそも十分あるからこそ幇助になるのか?って質問に繋がっている
ことを考えれば、それよりも「正犯を手伝う気があったかどうか」を考えた方
が幇助意思を欠く説明としては明らかに判りやすいんですがね。
なお仮に幇助になる場合でも、普通はその場に警官がいないし、警察比例の原
則から言うと相当取締の必要性が低いというだけですが、それは「犯罪でない
ことを意味しない」です。
(*1)もっとも、厳密にどんな事実についてどの程度の認識と認容が必要かとい
うのはやはり問題。
判例の事例は可能性としての認識に留るとは言え、その内容はかなり具体的
であった。
少なくとも誰のどんな行為かは具体的に想定していたしまたそれが事実と合
致していた。
その点、本件のような場合も同じと言えるかは疑問であり、まさにここをど
う考えるかが本件の最大の問題である。
推測すれば、有罪判決が出るとすれば、不特定の相手方をして不特定の時・
所での著作権法違反行為を助長する「確定的」意図の存在を認定するであろ
うとは思う。
つまり、いつどこで誰が違反するかが不特定であるならば、少なくとも違反
者が出ることを相当高度の蓋然性をもって確信しそれを積極的に望む意思
(いわば、特定の犯罪を助長する積極的意図。)が必要だということ。
もし仮に、当該意図を不要として、不特定の相手方が不特定の時・所での著
作権法違反行為を「もしかしたらするかも知れない」程度の認識、あるいは
「確実にするやつがいるだろうけどそのような使途はやはり不本意であり
そんなことのために作っているんじゃない」という真意による意思があって
も、なお故意ありとするならやはり幇助の成立範囲が広すぎると言わざるを
得ない。
だからこそ「著作権のあり方に疑問を感じ云々」って供述が重要な意味を有
するということになるわけだ。
これが本当なら上のように考えてもほぼ確実に故意を認定できるもの。
ところで、この手の事件でいつも引き合いに出るのが「制限速度を超過して走
ることができる車を作るのは速度違反の幇助か」(*2)なんですが、このような
車を作る人(というか多く会社)が「これで速度違反をして貰おう」と思って
いるの?
もし思っているなら「幇助になる」可能性が絶対に無いとは言えませんよ。
でも、まず思ってるわけがないわな。
思ってないんだったら幇助意思がないから幇助にならないのは当り前。
一方、本件は、「著作権保護のあり方に疑問を感じうんぬん」って、著作権法
違反に利用することを初めから意図していたことを匂わせてるんでねぇ
(まあ事後の報道によれば、否認に転じているようではあるが。)。
そう考えると「同列に論じられるものではない」と思った方がいい。
……結局、幇助犯の要件として幇助行為と因果関係と幇助の故意があることを
きちんと理解せずにいるから、行為と因果関係の共通性だけを理由に奇妙な例
を挙げるんだよね。
(*2)この事例をきちんと法論理的に説明する。
「今回の事件が著作権法の幇助になるなら、制限速度以上で走れる自動車を造
るのが速度違反の幇助になるが、それはおかしい」という主張は二つの点で間
違っている。
一つは、上に述べたとおり、今回の事件と自動車の話は、要件事実について事
情が異なるという点。
つまり、片や幇助の故意があるが片や幇助の故意がない。
異なる事情の事例の結論が異なるのは全く不思議ではないのであり、それが同
じになるというのが間違い。
もう一つは、これも上で触れているとおり、仮に後者においても幇助の故意が
あるのであれば幇助になる可能性は無いとは言えないという点。
つまり、端から後者は幇助にならないと決めつけて「おかしい」と言っている
わけだけど、実は、本当にならないと決っているわけではない。
後者が幇助にならないのは、あくまでも常識的な話として、要件を検討すると
ならないだけ。
仮にほとんど考えられない非常識な事例だとしても要件を充す事情があれば幇
助になる可能性は理論的にあるのである
(例えば、今どき無いけど100km/hしか出ない車を、街の整備工場が、公道で
爆走する目的であることを知りかつそれでも構わないと思って改造して
150km/hくらい出るようにして実際その速度で所有者が公道を走ったとか言
えば、幇助になる可能性はあるよ。
それがメーカーであっても理屈上は同じ。)。
事情が同じなら後者においても幇助になるというのが決して「おかしい」と
決っているわけではないのである。
というわけで、上の主張は、「同じではないものを同じと思っている」、「仮
に同じものならばどちらも幇助になる可能性がまったくないわけではないのに
ならないと決めつけている」という二つの点で誤っている
(で、なるかならないかを決定付けるのは、結局幇助の要件を如何に規定する
かの問題。)。
なお、自動車事故を起こした自動車の製造者というのは「過失犯に対する幇助
は成立しない」という通説の犯罪共同説からすれば同列に考えるのが誤り。
行為共同説に立って過失犯に対する幇助を認めたとしても「幇助意思がない」
ことに変りはないから結論は一緒だけど。
それと、「インターネットを創ったやつを」というのは、「インターネットは
著作権法違反に利用することを想定して創ったわけではない」から幇助の故意
を欠き幇助たりえない(刑法の適用範囲の問題は無視する。)。
米国防総省高等研究計画局は著作権侵害を想定してARPANETを創らせたのか
い?:-P
伝統的なUNIX系のコマンド群だって同じ。
UUCPとかnntpとかは著作権侵害を想定して創ったものかい?
……とまあそういうわけで、言っている当人達は気の利いた例を出しているつ
もりなんだろうけど、実際には「法律的には」全然話が違うのだ。
つまり、「幇助のなんたるかをまるで解っていない」と。
解ってなくてもいいんだけど、解ってないくせにあーだこーだとしたり顔で言
える厚かましさが何ともね……
(そういうのは「傲慢」じゃないのかねぇ……。)。
気の利いた例としてはむしろ「犯罪マニュアル」の類。
あれの問題は、「本当にこの本を読んで犯罪を実行するのは勘弁してくれ」と
思っているの?というところ。
実は、「実行してもいい」と思っていると幇助になる可能性はある
(これも先に述べたどの程度の認識認容が必要かという話に帰着する。)。
従来、摘発しない(これはソフトウェアと違って表現の自由との兼ね合いもあ
るからね。)だけで、幇助とならないとするのは実は理論的には必ずしも断定
できない。
と言うよりも、本件で有罪が取れれば捜査当局が次に狙うのはこれかもよ。
あたしゃあり得ると思うね
(それでも良いなどとは一言も言っていないので念のため。)。
>もしも,業者がWeb上に営業サイト(そこでは,赤外線は通さない説明と,悪用は
>しないでねと記述されていると仮定して)を設けて,正犯が通信販売で購入した
>だけなのに,業者が,幇助罪で有罪になるんだったら,そりゃ,Winnyの開発者も
>捕まるわな。(でも本当にそうなら,この判決自体がちょっと納得できない。)
これは二つの点で考えるべき。
一つは、ナンバーカバーは、当初は、自動速度取締装置にナンバーを写らなく
して速度違反がしやすくなるようにという意図はなかった、と言っていたのだ
けど、それを公判では主張しなかったらしいこと。
つまり、取締回避目的で使えることを知っていたし、そういう目的で買う人の
方がずっと多いし、実際買う人間がそのつもりだろうと言うことは見当がつい
ていた状態で売った、ということをどうも認めた様子
(そもそも正犯が個人的な知り合いだった例があるようでもあるが、その点は
未確認。)。
二つ目は、直販だから正犯者に個人的面識がないとしても(もっとも個人的な
面識のある正犯がいたようでもある点は未確認。)の身元をある程度知ってい
るという点。
だから、自分の売った人間が違反をするであろうことは充分認識していたわけ
だし、それで構わないというよりも、むしろそれこそ自分の製品が役に立つと
思っていたということなわけだ。
そして、こういう状況なら幇助の意思ありと言えるし(包丁を殺人に使うのだ
ろうと分って売ればその相手が一見の客で個人的な面識が無くても殺人幇助に
なるのと同じ。それが店頭販売でも通信販売でも大差なし。違うとすれば、そ
の認識が店頭の方が本人の顔を見ている分だけ確実性が高くなることもあると
いう程度。)、どうもその点は被告人側も争わなかった様子なんですな。
なお、「違反に使うな」といくら言っていたとしても「それは言い逃れのため
の建前で本音ではない」のならやっぱりだめです。
問題なのは「本音」。
>>>> 面識のない者にオービスを突破できると宣伝して販売した訳ではない
>にもかかわらす。
(中略)
>今回の正犯って,群馬県高崎市の自営業者と松山市の無職少年(今年3月有罪判
>決)ですよね。その金子勇容疑者と正犯は,Mailとかでやり取りとかしていたの
>でしょうか?共同して今の体制を崩壊しようとさせたのであれば,幇助罪は納得
>できるのですが,ただ単に正犯が,雑誌とかWebサイトからインストールしただ
>けなら,幇助かなあ。
それは幇助の成否には判例通説の線からは、関係しないんですよ。
以前の速度違反ネタでも出てますが、幇助者と被幇助者の間に意思の疎通は全
く要りません。
特に被幇助者は、自分が幇助を受けていることに気付いている必要すらありま
せん(心理的幇助の場合は別だが、これは単に理屈上あり得ないから。)。
条文上も、「正犯を幇助した者」としか言っていないわけで、通謀の上行う必
要はないのです。
そして本件において理論的に最も重要なのは、先に述べたとおり「幇助者の犯
罪事実に対する認識認容はどの程度である必要があるか」に尽きると思いま
す。
具体的な個人と具体的な犯行日時場所等を特定する必要はないのは間違いな
し。
名前とかは知らない人だけどこういう素性の人が近々こういう行動に出るくら
いの認識があれば充分
(例えば暴力団員に拳銃を密売したとして、その銃をその暴力団員自身では
ないがつながりのある人物が殺人に使う目的で入手しようとしていることを
知っていたなんて場合は、間接幇助を認める前提で、その殺人の幇助になっ
てもおかしくはない。)。
しかし、どこかの誰かがもしかしたら程度ではいくらなんでも認識として足り
ないんじゃないか?と
(例えば銃の密売をして、銃なんだから殺人に使ってもおかしくないし輾転す
る内にそういうことが起きてもしょうがないよな、なんて思っていたとし
て、はたしてその程度で正犯の認識があると言えるのか?と。
正犯の認識がないのなら幇助の故意は認められない。)。
あるいはその程度の認識の場合は、単なる認容ではなくてその犯罪事実の実現
を積極的に希望するくらいの意思は必要なんじゃないの?と。
不特定の人間が一応特定の犯罪を犯す役に立つけど別にそんなことのために
作った訳じゃないからそんなことは別に望んでないという程度の認識認容は果
たして幇助の故意ありと言えるのか?と
# なお、殺人で使うことを予期していたら強盗に使われたという話になると、
共犯と錯誤の議論になります。
ちなみに、
>共同して今の体制を崩壊しようとさせたのであれば,幇助罪は納得
>できるのですが,
の場合は、多く、幇助ではなくて(共謀)共同正犯になってしまいます。
以下は、基本的に法律論でなし。
>ところで,幇助罪は正犯より罪は軽いんですよね。少年はおいといて,群馬県高
>崎市の自営業者は,色々なサイトをみましたがみんな匿名で,罪が軽いはずの幇
>助罪の金子勇容疑者は,なんで実名なんですか?
それは、書く側の考え方の問題です。
# ちなみに罪数的に言うと、幇助者が一人で正犯が複数人いると正犯者と幇助
者とでは成立する犯罪の数は幇助者の方が多くなるんですね。
これは、幇助罪の数は正犯の罪の数を基準にするから。
最終的には、幇助行為の数で罪数処理するから観念的競合で一罪になります
がこれは「科刑上」一罪であって、成立する犯罪は数罪であることが前提。
つまり、著作権法違反の罪の正犯が100人いて100の成犯が成立すると、100
の幇助罪が成立して、幇助行為自体は一つだから観念的競合で科刑上一罪に
なると。
確かに、科刑上一罪だから法定刑は相変わらず軽いのですが、その裏にある
成立する犯罪の数としてはむしろ幇助者の方が悪質とも言えるんです。
その意味では、幇助だから軽いとは軽々に言えないんです。
そして、従犯は正犯よりも法定刑が軽いと言っても、実際の量刑判断では重
くなることだってあり得るのです。
いずれ、罪の重さだけが判断基準ではないということでしょう。
むしろ犯罪としての軽重よりも社会的影響度とその手の事件のあった時勢とか
そういう事情の方が大きい。
だから、同じような事件でも他に大事件があって紙面に空きがなければ載った
り載らなかったり、と。
# 私は個人的には、
有罪が確定しない限り原則として匿名にすべき。
有罪であっても罪状および刑の重さ如何によっては匿名にすべき。
例外は、選挙により公務員となった者または公務員になろうとする者。
と思ってんだけどね。
># Winnyの作者が捕まった衝撃より,裁判で無罪になった場合の影響の方が,は
># るかに大きいですよね。新聞に,Winnyの作者無罪 と載ったら誤解するだろう
># な。それは幇助の部分だけが,無罪だって,信じてくれるかなあ。
その手の過誤は古今東西枚挙に遑がないですし……。
こないだの靖国訴訟の違憲判断だって同じだと思いますよ
(私なんか、裁判官にそう判断した人がいるという以上の意味は特になく、ど
うせ判決理由中の判断など確定判決の中心的効力である既判力がないんだか
ら法律上は無意味とすら思ってんだけどね。
むしろ、そういう判断を裁判官にさせた原因(実は法律論ではないのだ。)
の方が問題だと思うけどね。
政治的な意味がものすごく大きいと思うよ。
要するに、最近なんでもなし崩しで憲法体制を軽視する国の在り様に対して
司法の立場から一石を投じたかったんだと思ってる。
方法の是非は別にしてもそういうことをしたくなるくらい政治の在り方に問
題があるってのは確かだ思うね。)。
# もっとも、結果だけを予測するなら、有罪になる可能性は高い気はする。
理由はやはり「積極的な助長意思があった」と認められる供述の存在。
否認に転じたとしても初期の供述が信用できないとは限らないのでこれは利
いてくるだろう。
ナンバーカバーの件が最高に行っていないことを考えると、上告審まで幇助
意思の要件について争うことはあり得るし、期待は薄いが勝算が全くないと
も言い切れないが、積極的な意思があったとなれば幇助意思を狭く解しても
幇助意思を認めることは十分できる。
--
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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