# 随分遅くなっちゃったけど……。

At Thu, 2 Oct 2003 12:56:39 +0900,
in the message, <blg7vs$o8c$1@nn-os106.ocn.ad.jp>,
"papa" <papa_iwase@yahoo.co.jp> wrote
>車のナンバープレートの場所って結構曖昧ですよね。
>なのでそれのみを撮影する「システム」を構築するのはナンセンスです。

別に「ナンセンス」というわけではありません。
ナンバー情報の取得が目的ならナンバーのみを撮影するのは合理的でこそあれ
「ナンセンス」ということはありません。
それが技術的には「非常に難しい」あるいは「実際問題としてほとんど不可
能」だとしてもそれは別の問題。
そういう場合は「構築するのはナンセンス」とは言わないです。
せいぜい「構築しようとするのは(現実的でないから)ナンセンス」くらいま
で。

なんで難しいかってば、写してみなければどこにナンバーがあるか認識できな
いから。
人間が撮影する場合を考えてもまず目で見てナンバーを認識してそこにアング
ル等を合せるということをしなければならないんで、この「目で見てナンバー
を認識」を機械にやらせるには現状では撮影が不可欠の前提になってしまうと
いうこと
(ナンバーが特殊で、撮影しないでもセンサーで正確に位置を特定できるとい
 うのでもない限り。
 でもそこまでできるなら、それこそICプレートとかになっちゃうんじゃない
 かな。)。

もっとも、撮影範囲がナンバープレートの大きさというわけにはいかないだけ
で、運転者の顔が写るほど広く撮る必要は本来はありません
(ナンバーを外してダッシュボードに置いているような場合とかまで想定し
 ていけば、車全体が写るようにしておけば脱漏がないのは確かですが。)。
現に初期のNシステムの赤外線照射範囲は運転席に達するほど広くありませ
ん。
赤外線照射範囲以上に画角を広げることはあまり意味がないので画角は赤外線
照射範囲とほぼ一致するものと考えれば、初期のシステムでは運転席の辺りは
写っていないことになります。


ただ、いずれにしても基本的には運転者の顔など写す気はない(写ってしまっ
ていることがあるとしても)から特に写るようにカメラを設置してはいないと
いうのが国の言い分だし、東京地裁も「写っている可能性がある」という表現
しかしておらず、顔を写すことを狙って設置しているということまでは認定し
ていないのも事実
(ただし狙っていないと積極的に認定していると言うよりは、証明責任の問題
 で原告の立証が不充分だったというところまでだとは思う。)。

>で、投稿者が言いたかったのは大雑把に言うと
>1.Nシステムのハードを使ったオービスが違法か?
>2.上がOKならば同一のハード内に2つのシステムが乗るのは違法か?
>って事ですよね?Nシステムやオービスの各システム(ソフト)に対する
>話と言うよりはむしろハード的なお話でしょう?なのにその上で動くソフト
>の仕様の話と同一レベルで捕らえるからおかしんですよ。

それはそっちの方がおかしい。
ハードだけで動いているわけじゃない以上、問題なのはハードソフト両方含め
た「システムとして」の機能について、どこまでが適法でどうなると違法かな
のだから。

別投稿で指摘したとおり、適法か否かはそのシステムとして実際にやっている
機能で決る問題であって「ハードがどうとかソフトがどうとか」分けること自
体問題が解っていないということです。

Nシステムだろうが自動速度取締装置だろうがそんなことすらどうでもいい。
元投稿者の言う「Nビス」だって構わない。
要するに、その装置が「結局何をしているか」が問題なだけ
(佐々木<cal@nn.iij4u.or.jp>さんが「定義定義」と言うのはこのことだと思
 う。)。

>どう考えてるんですか?画素から映像を入力した時点で「撮影」ならば
>民生品のビデオカメラはスイッチを入れた時点で撮影なんですか?

「撮影」に関しては、CCD(厳密に言うのであれば撮像管ないし撮像素子とい
うべきかも知れないけど、今日日CCD以外はほとんどと言うか皆無でしょ
う。)上に映像を投影したことをもって「撮影」としても別に結論に影響しな
いので構わないでしょう。
メディアへの記録を行って初めて「撮影」でもいいですけど、どっちにしろ実
はどうでもいいのですよ。
東京地判は適法性の判断に当って「撮影」とは何かを定義していません。

なお、東京地判の判断では少なくとも「メディアへ記録しないと撮影ではな
い」とはしていないのは確実。
画像処理のためのメモリ上へのデータの展開まで必要かどうかは微妙。

# まあ、メディアへ記録可能な状態でCCDへの投影をすれば「撮影」だろう
 し、記録しないにしても電気信号をデータとして処理することが可能な状態
 でCCDへの投影をすればやはり「撮影」と言っていいだろうとは思います
 が。

「撮影」していても違法でないというのが東京地裁の判断。
つまり、どうなれば撮影かなどを論じていること自体、「判例を理解していな
い」ということなのです。

無論、「東京地裁の判断はおかしい」っていう主張なら別ですが。
でもそれは、「東京地裁の判断からすればこれこれのシステムも適法ではない
か?」という元の質問とは前提を異にするもので、別問題として扱わなければ
だめ。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp