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At Sun, 07 Sep 2003 22:59:21 +0900,
in the message, <20030907225921cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>>From:"Hattori Yasushi" <hatty2@nifty.com>
>>Date:2003/09/07 19:51:37 JST
>>Message-ID:<bjf31g$itu$1@news511.nifty.com>
>>
>>Nシステムで,スピード違反も取り締まっちゃおと,なった場合
>>時効の3年をさかのぼって検挙って,ありでしょうか。
>
>特に問題はありません。
>単純に「犯罪の証明に役立っているかどうか」だけの問題です。

いや、「犯罪の証明に役立っているかどうか」以前に「時効が過ぎてんだから
論外」です。

今まで証拠として使っていなかった資料を積極的に証拠として使おうと方針を
変えて方針転換以前の犯罪も同様に扱うというのは確かに問題なし。
これは単なる捜査方針の問題。

だけど、時効はそれとは全然無関係。
そもそも「証拠がどうとかの問題じゃない」。

# 譬え間違って起訴しても、免訴で終り。

……まあこういう無関係な話が唐突に出てくると、専門家筋の人間は勘違いす
るのも無理はないかもね。
でも、世の中の多くの人はそれが無関係であることを知らなくても不思議はな
いので、そういう人もいて当然ということは理解しておくべきだと思うけど。

佐々木<cal@nn.iij4u.or.jp>さんに限らないけど、素人の突飛な発想というの
は(良いとか悪いとかじゃなくて)あなどっちゃいけない。
逆に、そういう発想が目から鱗な場合もあったりするしね
(大概においては'理論的には'論外であるのだが。(^^;)。

>もっとも「肖像権侵害→違法収集証拠」という主張は
>出てくるとは思いますが。
>……オービスがそうであったようにたぶん通らないと思います。

Nシステムで速度違反取締を行うという仮定の下、肖像権侵害の主張が出るの
はむしろ「違反をしていないのに撮影している」という場合でしょう。

自動速度取締装置(による違反者の容貌の撮影)が適法なのは、簡単に言えば
「犯罪の証拠収集の必要性などから犯人の肖像権保護の要請が後退する」か
ら。
また、同乗者についても「犯罪の証拠収集の必要性などから一定限度の受忍を
強いられても仕方がない」から。
つまり、犯罪が発生した=違反した段階で撮影していることが適法である前
提。

でも、犯罪と無関係に撮影しておいて犯罪があった場合にはそれを流用すると
いうのはさすがに「無差別撮影」であって「撮影自体が」やり過ぎとなる可能
性は大いにある
(もっとも犯罪発生の相当高度の蓋然性を前提に無差別ビデオ撮影を適法とし
 た東京高判昭和63年4月1日。)。
東京地判平成13年2月6日は、「人間が視覚的に認識することが一切できない」
という認定の元でNシステムを適法としている。
とすれば、犯罪があった場合に流用ができるということは犯罪がなくても見る
ことはできるはずであり、一般的に見ることができるなら上記判例が適法とす
る根拠を欠くことになる。

もし仮に、「違反の場合だけ撮影する」というのなら、そもそも自動速度取締
装置と何が違うの?
同じなんだから同じ結論になるのは当然のことです。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp