常泉です。

T理論で、ビッグバンは無数に発生したと考えれば、
我々はラプラスの悪魔から解放されることになる、という話をしましょう。

その昔、ラプラスの悪魔は物理学者を悩ました怪物?の一つでした。
しかし、近代物理学では、ラプラスの悪魔の全知能力というものは
ハイゼンベルクの不確定性原理によって葬り去られたと信じられているようです。
しかし、T理論では従来の不確定性原理はそのままでは認めていません
(ハイゼンベルクの不確定性原理は、T理論ではむしろ
確定した物質状態の一つの表現と考えるべきであることになります)。
では、T理論では、ラプラスの悪魔が将来起こる物理現象を全て見通していることを認め、
未来の出来事は運命として全て決定されている
(因果関係が確定している=決定論)と考えるのでしょうか?
これに対する答えは「否」です。

T理論で、ハイゼンベルクの不確定性原理(の解釈)は認めずに、
尚且つ決定論に対しては「否」と言えるのは次の様な理由によります。

T理論では、ビッグバンで(小)宇宙が始まったという説を認めています。
それは、GPS搭載原子時計の観測結果から必然的に導かれる
絶対回転静止系の存在を説明できる仮説として、
ビッグバン理論はT理論と基本的に整合する理論だからでした。
但し、T理論では、絶対回転静止系を部分的絶対回転静止系とするためにも、
ビックバンは1回だけ起こったのではなく
無数回起こった、と修正することが必要でした。
即ち、現在我々が棲んでいる宇宙の素になるビッグバン(の主体)は、
従来言われているビッグバン(ビッグバンAとする)そのものなのですが、
それと異なる別のビッグバンも無数にあった、ということです。
すると、我々の棲む宇宙は、特定のビッグバンAで形成された
特定の小宇宙Aが主体であるが、
それ以外の小宇宙(例えばビッグバンBで形成された小宇宙B)も存在する大宇宙である、
と考え直さなければならないことになります。
http://groups.google.com/groups?dq=&hl=ja&lr=&ie=UTF-8&group=fj.sci.physics&selm=39f687a2.0408250340.263ebb36%40posting.google.com

http://groups.google.com/groups?hl=ja&lr=&ie=UTF-8&group=fj.sci.physics&selm=39f687a2.0409080351.490bda81%40posting.google.com

ここで、それぞれのビッグバンは、全く因果関係無しに独立に起こった
と考えることが合理的なことに注意しましょう。
要するにビッグバンAとビッグバンBの間には因果関係が無い、
と考えて良いでしょう。
ビッグバンとはそれほど特殊な物理現象と考えて良いはずだからです。

また、T理論は「波動関数とは実在する素粒子の実在する波動である」
と考える理論であり、
相互作用は波動関数同士の直接的接触で起こる、
とするのがT理論の基本的な考え方です。

すると、小宇宙Aに属する波動関数Aと、Aより後に形成された
小宇宙Bに属する波動関数Bとの接触に起因する相互作用を考えたとき、
Bより古いAの時代から
宇宙に棲みついていた(因果関係の無いものは知ることの出来ない)ラプラスの悪魔は、
流石に、小宇宙Bが形成される前は、(Bが生じることを知らなかったので)
A、B間の相互作用が生じる事が有るのかどうかさえも
知ることが出来なかったことになります。
次回のビッグバンは何処でどの様に起こるかを知る術が無いラプラスの悪魔は、
結局、将来の予言が完全にはできないことを認め、(予言不能の部分が有るという意味で)
「予言の不確定性」という軍門に下らざるを得ないことになる訳です。

なお、異なるビッグバンの間には、
連続性のある物理条件(境界条件)の有無、
或いは何処までが断絶した物理条件(境界条件)となるのか、
という点に関しては、今後解明されなければならない課題として残されていること
には留意しなければいけませんが、
以上の考察で示されたように、ビッグバンは無数回あったと考えるT理論に拠れば、
ハイゼンベルクの不確定性理論が無くても少なくとも
ラプラスの悪魔の全知性は否定され、
それが我々にとって恐怖の対象物では無くなっていると言うことができるでしょう。

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常泉 浩志

相対性理論は間違っています。量子論も修正が必要です。
私は、新しい物理学の到来を告げる「T理論」を提唱しています。
「T理論」は、相対性理論の代替理論であり量子論も修正する理論です。
http://www.ni.bekkoame.ne.jp/tsuneizumi/

    − T理論を構成する物理の基礎 −
(1). 時間は普遍(絶対)である。
 従って、光速度不変という異常概念は不要となる。
(2). 物質の波動関数は実在であり、確率(振幅)ではない。
 これから、光は実在せず、仮想の物理現象となる。
(3). 質量エネルギーは不変である。
 速度が変化しても質量が変化することはない。
(4). 力の大きさは従来の2倍である。
 遠隔作用で交換されるエネルギーに関連し、量子論で重要になる。
(5). 速度の異なる系間では4(次)元座標が均等に収縮する「T収縮」が起こる。
 4(次)元座標は現実の空間の座標ではなく、作用空間の座標である。

    − T理論から得られるいくつかの結果 −
(1). 加速器における荷電粒子の加速運動は、相対論とT理論で一致する。
(2). 水星の近日点移動が軌道の数値計算から99.9%以上の正確さで計算できる。
 この軌道計算は任意の楕円運動で可能である。
(3).  原子時計は、重力ポテンシャルの変化に起因する時刻の変化を示す。
 GPS衛星搭載の原子時計の変化は時間の変化とは無関係に説明できる。
(4). 1次、2次のドップラー効果の理論値は観測結果と一致する。
(5). 水素原子のエネルギー準位が従来より正確な値として与えられる。
 2S(1/2)、2P(1/2)に関しては、ディラック方程式の解に比べ
 実測値との誤差が10%以下になる。
(6). 自己エネルギーと質量エネルギーが一致し、物理理論の整合性が高まる。
(7). 従来理論におけるボーア半径の異常性が改められる。
(8). 電子雲分布から、水素原子の正確なエネルギー準位を求めることができる。
 この事実は波動関数の実在の証拠となる。
(9). 質量不変の帰結として、繰り込み理論が不要となる。
 繰り込み理論を用いずにラムシフト計算が可能となる。
(10). ローレンツ不変量は、T理論で従来と同様の役割を果たす。
 ローレンツ不変量は相対論と必要十分の関係にあるのではない。
(11). デルタ関数は修正され、素粒子を表す大きさのある自由空間の波束として示される。
(12). 波動関数実在の帰結として、観測問題が解決する。
 波束の収束という異常概念は不要になる。
その他、数多くの興味ある結果がT理論から導かれる。

 「T理論改訂版」では、以前発表した「T理論」の内容の一部が修正され、
相対論の分野もさることながら、特に量子論の分野でのT理論の正しさが
定量的に鮮明になってきたため、従来の相対論と量子論に比べ、
T理論の理論的優秀さがより明確な形で示されている、と言えるだろう。