河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

短いです。二分冊にする必然性がどこにあったのか? マイク・プ
ラザートンって天文学者らしい。文章書くのは得意でしょうけど、
それが小説として面白いかどうかは別... 

太陽から高速のビームが出て来る「天撃」が人類の植民惑星を攻
撃しはじめる。それを停めるために、17光年離れた伝説のスパイ
ダースターにおもむく。

わけなんですが、そもそも、これが全然繋がってないです。スパ
イダースターみたいなものがあれば、天撃があろうとなかろうと
いくと思う。一方で、安い恒星間移動があるんだから、逃げ出せ
ば良いだけだと思う。 

スパイダースターでは、当然のようにファーストコンタクトする
わけですが、200万年進んでるはずだったり、全然変わってなかっ
たり、電子レンジビームとかある割に、ナイフで戦っていたり...
脈絡ないと言っていいんじゃないかな〜 恒星間移動するような文
明がナイフってのもな〜

ファーストコンタクトも悲惨。もちろん、うまくいくわけないと
は思うんだけど、スウォームとかあるなら、最初から使うべきだ
ったんじゃないかなぁ。Xボットなんていう便利なものがあるだけ
に、いきなりあれなのは、説得力ないです。現役の天文学者が、
ファーストコンタクトに、こういう「インディアンとイギリス人」
的なイメージを持っているってどうなのかなぁ。

いきなり他人の言語で話かける一方で、幾何学模様見せてたり、
挙げ句に「アルゴノート語で話していたから関係ないと思った」
ですか? うーん、たぶん作者は、そういうことする人なんだろう
な〜 僕も、結構、やっちゃう方ではあるが... それで何千人も死
ぬんだから迷惑な話だ。

SF的には暗黒物質エンジンが面白い。宇宙空間に大気のようにあ
って、それをジェットエンジン見たいな使い方をするらしい。原
則に使うアイデアも面白いです。でも、これって、静止している
エーテルの再来だよね? こういう暗黒物質のイメージは、天文学
的にどうなのかなぁ。暗黒物質の分布とかにもよるとは思います
が... まぁ、SF だから、何でもありですけど。

チームの中の確執は面白く書けていると思いました。アメリカ人
のチームって、こんな感じかな。でも、どうも、衝動的に動いて
いる感じ。終り方も、アメリカ人/イギリス人的な理想ではあるん
だろうけど、43年の空白って、もっと違うものだろうと思います。

って言うわけで、あんまり良い印象はなかったです。趣味の悪い
おとぎ話というところですか。道具立ては面白いと思うので、そ
う言うのが好きな人なら、お勧め。短いし。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科