河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

エンディミオンの覚醒も含めて読了しました。

東京にいる間に、ハイペリオン8冊読めました。ハイペリオンから
の大風呂敷を、きちんと(まぁ、いろいろあるが、大きな風呂敷だ
から、細かいところは...)畳んで、めでたい。ぱちぱちぱちぱち。

* ハイペリオンの没落

最初の方のエンジンのかからなさったらなかったので、ハラハラ
しましたが。玩具箱をひっくり返したようにブチまけた話を、詩
人の生まれ変わりが拾い集めていくわけですね。

詩とか禅問答とか出て来るこの話を訳すのは大変だったろうと思
います。うっかりすると、お笑いになってしまうと思うのですが、
大森望が絶賛している通りの出来です。

話は、かなり強引ですが、それぐらいが、この規模の話は相応し
い。雲門って、Cloud G ate かな。雲門が語る話がわかりにくい。
グラッドストーンの決断もカッコ良いが、あれはなぁ。でも、6人
の巡礼(7人だったのに)が、それぞれ期待通りの活躍をするので、
問題ありません。

AIやデータスフィアの描写とかも通俗な気もしますが、むしろ、
素養をひけらかした結果でしょう。嫌味ったらしい気もしますが、
気持良くもあります。

ハイペリオンの方の巡礼の口述する物語と言う手法の替わりに、
詩人に夢を見させると言う「ほとんどインチキ」な手法を使って
ますが、SFだから、それもありだと思います。全体的な整合性が
破綻してないと感じました。転位ゲートがあるんだから、これも
ありかなという程度。

ストロスのシンギュラリティの設定も似ているんだけど、この大
作の前では霞んでしまいます。

* エンディミオン

エンディミオンの覚醒までの幕間みたいな感じ?

テティス河をめぐる逃亡者側(エディミオン、アイネイアー)と、
急使船ラファエルで追跡するデ・ソヤ大佐の話。

あんまり話は進まないような気もしますが、楽しめました。切れ
切れのテティス河毎に異なる話があるので、独立した物語の集合
であるハイペリオンに対応していると言えないこともない... 

* エンディミオンの覚醒

昨日は抑えたんですが、結局、徹夜で読んじゃいました。

エンディミオンの方は一直線な話だったんだけど、こっちは、比
較的複雑。特に、バチカンの話がね。

エンディミオンの方が練習だったのかも。それを拡大する感じで
すね。だいたい、登場したものの数を増やす方向らしいです。大
天使が増えたり、ネメスが増えたり。

三部構成ですが二分冊。

解決篇なので説明が丁寧。ハイペリオンの没落の雲門の禅問答よ
りは、アイネイアーの問答の方がわかりやすい。大乗、小乗の話
とか、良く勉強してる〜 宗教を切り捨てないで、それなりに生き
残る余地を残しているのはダン・シモンズの配慮かな。ばっさり
切り捨てるSFも多いのに。キリストからダライラマまで出て来る
オールスターと言う感じです。

闇雲に逃げていた感じのエンディミオンとは違って、アイネイア
ーの「予言」ベース。結構、先が読める。そここに、ヒントがた
くさんあるから。これは、わざとでしょう。先が読めると、読者
はアイネイアーの立場になるわけだから。もちろん、読めなくて
も二度目は、必ずそうなります。これは、もう一度読むんだろう
な。きっと二度目の方が面白いでしょう。

コアと、虚空界の話は強引。コアの扱いはひどいが人間が作った
ものだから、そんなものか。まぁ、その強引さが逆にSFっぽいで
す。詩と俳句で飾るあたりも、はまってます。

ロールとアイネイアーの予言された恋愛として読んでも良い。そ
れは、それで「来た来た!」という感じです。ロールの間抜けさが
「えー、そうだったの!」ってのを自分の替わりにやってくれてい
る。それが必須な話ですね。

小道具(?)も結構、面白いと思う。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科