ピタゴラスの定理
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
昔、fj で延々議論したことがある。そもそも、
ピタゴラスの定理って定理なのか?
まぁ、簡単に言えば「正しい言明、つまり、証明できるもの(ある
いは公理)なのか?」ってこと。これは、実は簡単にわかる。証明で
きません。だって、反例があるんだもの。非ユークリッド幾何学と
いう...
dz^2 > dx^2 + dy^2
となる幾何学があるわけさ。だからピタゴラスの定理ってのは、ど
っちかって言うと、「必要に応じてする仮定」あるいは「理論の前
提」なわけだ。
じゃぁ、なんで、世の中には「ピタゴラスの定理の証明」なるもの
がたくさんあるのか? つまり、ユークリッド幾何学を特徴づける、
dz^2 = dx^2 + dy^2 よりも基本的な命題があるかってことだよね。
一般的には、第五公準(平行線は唯一唯一つ)ってのがそうだと言わ
れてます。でも、そもそも直線ってなんだ? もしかして、二点の最
短距離とか言う? じゃぁ、三角形の形と長さを保存する回転の存在
は? そうすれば、良く知られている図での証明が出来る。要は、何
か他の定理とか公理に押しつければ良い。回転とか平行線とかがそ
れに当たるわけ。
僕が好きな証明は、こんな奴。
l = sin θ * sin θ + cos θ * con θ
をθで微分すると...
2 sin θ * cos θ - 2 cos θ * sin θ = 0
で、定数だってことがわかって、これ(と境界条件)から、dz^2 = dx^
2 + dy^2とするって奴。
この方法は、実は、無限小回転(つまり三角函数の微分の仕方)を
0 -1
1 0
という行列だと仮定することと同じ。なので、回転に対する公理を
うまく構築すれば、ピタゴラスの定理を証明することは可能です。
なんだが、そのあたりで結構異論がでた。なんでなのかは良くわか
らない。そもそも何を議論していたんだろう? 割と当り前なことを
書いていたはずなんだが... 他の人に「河野さんは何んであんなに
がんばっているの?」とか言われて通じてないことに気が付いたっ
てなところ。
sin θ, cons θを、無限級数の和として定義してやって、それを
使ってユークリッド回転を定義するなんて言うのを提案していた人
もいますが、定義の必然性に乏しいのが欠点だな。もちろん、図を
書いて、その無限和が、円弧の形に近いというのを示すことは出来
るんだけど... それは、三角形の回転で証明するのに後退している
気がする。島内先生の「数学の基礎」はそんな方法だったと思って
探したんだけど、どうも違うみたい。
とかなんとか考えると、やっぱり、ユークリッド幾何ってのはダメ
で、多様体上の計量を定義する関数を与えるっていう解析幾何的手
法が良いことがわかります。そうすれば、「ピタゴラスの定理、あ
るいは、ユークリッド幾何は、特定の計量を持つ幾何」だってこと
で終るので。(つまらん...)
ちなみに、
dz^2 = dx^2 - dy^2
とかするのが、相対論(ミンコフスキー幾何)なので、相対論の理論
的正しさってのは、ユークリッド幾何の理論的正しさと、ほとんど
同じだってこともわかります。なので、「相対論が間違っている(
内部矛盾がある)」ってのが間違いだってのが簡単にわかります。
円の代わりに双曲線を使うわけだね。
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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
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