河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <3F06DCD0.E375FB72@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI <eurms@apionet.or.jp> writes
> よく考えてみると、確かに、「確率(密度)が時空間を波動となって
> 伝播する」というのは≪おかしな話≫である。
> 確率(密度)は、決して、〔物理量〕ではないからである。

もちろん、波動関数は物理量ではありません。

でも、白石さん、量子力学勉強したことないでしょ? 

この文章だけでも、

    波動関数は確率波ではない ( <Φ|Φ> が確率になる物理状態 )
    古典量子力学では物理量は波動関数に対する決まった性質を持った演算子
    波動関数を使わない量子力学の表現もある

あたりを理解してないようなので...

古典的なフォンノイマンの「量子力学の数学的基礎」なんかは、白
石さんの好みじゃないかな。そっちを読んでから議論した方が良い
と思う。ファインマンの量子力学もお勧め。その方が面白いので。


もっとも、

> しかし、“配置空間”なるものは、実在の時空間ではないのである
> から、その中を伝播する波動は実在の物理的波動ではありえない。

ってのは、当の物理学者でも嫌いな人は多いらしくって、
場の量子論では、切角、

   観測される不連続な状態と、その間の確率的因果関係を規定する時間推進演算子

という立場を捨てて、

   最初に時空間ありきで、その点における粒子の連続的な存在確率を規定する状態
   としての波動関数

に戻ってしまうんです。哲学的には、つまらない方に戻った感じが
しますね。

ま、その方がわかりやすいんでしょうけど。ちなみに場の量子論は
ハヤカワの教科書を勧める人が多かったですね。

昔、いろいろ議論したなぁ。

      物理的実体は連続か不連続か
      量子状態はジャンプするのか

とか...

量子力学は、まだ解けてない基本的な部分が結構あるので、「とん
でも」の人にも面白い分野だと思うんですけどね。

例えば、
        スピンの起源の説明
        次元の制約 ( 4次元とか 1,1,1,-1 の計量 ) の起源
        赤外発散
        スピン2の理論の現実的な計算手法
        人間の意識と観測理論の関係
あたり?

相対論みたいな整合性が自明な「幾何学的なモデルを持つ理論」の
不整合を示すみたいな無駄な努力より、よっぽど面白いと思うんだ
けど。彼らの議論は「ユークリッド幾何学の矛盾を見付けた」とか
に近いんだよな... 

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)