佐々木将人@函館 です。

だいたいが、特に法律に関係ないのに
japan.jijiとfj.soc.lawにクロスポストかける時点でどうかと思う。
そう思ってスルーしてたら
ようやく法律っぽい話ができるというもの。

ゆえにフォロー先はfj.soc.law限定

話を整理する意味で
引用順を変更しています。

>From:Fuhito Inagawa <fuhito@za.ztv.ne.jp>
>Date:2006/02/21 11:08:54 JST
>Message-ID:<dtdsnf$clv$1@news.mirai.ad.jp>
>
>ていうか、心臓マッサージって、心臓に刺激が伝わる程「強く」
>ぶん殴ったりするわけで、「暴行」を加えてる事にはなるかな。

少なくとも暴行罪の、事例によっては傷害罪の構成要件該当性があります。

>でも、心臓の止まった人を蘇生させるという目的で許されてる?

それは正確ではないです。
構成要件該当性のある行為ですから違法性が推定されます。
推定を破るものとして違法性阻却事由があるかという話になった時に
社会的に相当な行為だからというので違法性が阻却され
犯罪にならないという話です。

目的だけで社会的に相当と判断され許されている訳ではありません。
目的の相当性は必要ですが
手段の相当性も必要です。
そしてその相当性の判断は結局社会通念によります。

また同意があればいいってものでもありません。
(本人の同意で説明しようとしている文献もありますが。)

なもんですから、特に移植医療に携わる医師が
移植医療を否定する医師グループから殺人罪・傷害罪等で告発されることは
たまに報道されることがあるくらいには存在します。

レアなものとしては
輸血を拒否している宗教の信者
(詳しい人のために追加すると、
 私が指摘したいのは、信者自身の事例であって
 信者の子供の事例ではない。)
に対する輸血が訴訟になった例もありました。

なもんで、一般的に
民事訴訟・刑事訴訟にまきまれてしまう可能性は

>訴えるだけなら誰でも誰に対しても訴える事は出来るわな。

というレベル以上にあるとは言えます。

そして法律論でぎりぎり言えば
暴行罪だとか傷害罪だというのであれば
結果は関係ないんだから
心臓マッサージで言えば命をとりとめたか否かは
無関係。

そういう行為自体が刑法に問われるのと
無資格診療が医師法17条違反問われるのは
構成要件が全然違うんだから
それをごっちゃにしてはいかんのです。

医師法17条違反については判例がいくつか出ていて
「反復継続」「診療治療」の両方に当たらないと
医師法17条違反にはならないのです。
(報酬目的は不要だが)

なもんで

>> 消防署の避難訓練などで人工呼吸や心臓マッサージの
>> やり方などを教えてくれたりしますが、これは違法行為を
>> 教えてると言う事になるのでしょうか?

という質問は的外れ。
人工呼吸も心臓マッサージでも医師法17条の要件である
「診療治療」にはあたらないはず。
(調べきれてないからあれだけど……。)
少なくとも「反復継続」の意思がない。
さらに社会的相当性がたいていあるわな。

以下余談

>>>阪神大震災のとき、海外から来た医師たちの治療は、日本の医師免許が無いから
>>>違法とされ、拒否されたことがありました。

これは私はマスコミによるフレームアップではないかと疑っています。
というのは医師法17条なら災害支援が「反復継続」かどうか疑問ですし
仮に「そんなこと言ってられない」となった場合には
やはり違法性阻却事由になる訳でしょう?
法的には理由に全然なってないことを政府関係者が平然と言うとはそれこそ思えない。

これは
・外国の医療水準を信用していない
という、別の大問題かもしれないし
・日本語が通じない医者が救急医療でどれだけ必要か
という、別途検討しなければならない課題かもしれないけど
だからといって医師法違反を言ったとするのは
感情論と言っていいと思っています。

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harmonic@lydian.club.ne.jp  佐々木将人
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ルフィミア「めがねっこは有力説!」
まさと「多数説ではないのね……(泣)」