佐々木将人@函館 です。

法的には結構おもしろい話題も含んでいます。
約款の性質なんてえのもその1つで
興味がありましたらそれっぽい法律の本で
結構論じられているところです。

>From:"きょうぐろ" <egg...plants@k1.glass.com>
>Date:2005/04/12 22:51:33 JST
>Message-ID:<UkQ6e.12$Ch5.0@news1.dion.ne.jp>
>
>3歳未満でも発育のいい子どもが無料で搭乗してきた
>とき航空会社は安全策をとるべきだと思うのですが、
>約款どおりの運用で問題なしとする航空会社の意見
>でした。

法律論としてみれば航空会社のとおりだと思います。

まず前提ですが「約款」と言えども
本質的には「契約」そのものです。
無個性・大量の契約が反復的に行われる場合に
契約内容を定型化したものが「約款」であって
公共性の高い事業においては
約款自体が行政の認可の対象にはなっていますが……。

本質的には「契約」なのですから
航空会社もまた利用者も
契約以上の権利義務を持つものでは本来ありません。

そうすれば
「座席を占めない条件」での乗客に
いくら座席が空いていたからと言って
座席を使用させるのが航空会社の義務であるなんてことは
法的な義務としては全く認められません。

法的なレベルでなければ意見は分かれるかもしれませんが……。

「いや、約款を離れても(法的な)安全配慮義務があるんだ」
という主張はあるかもしれませんが
これには私は賛成できません。

具体的に言うと……
1 空いていれば席を利用させればいいじゃないか?
気をつけなければならないのは、
「正規の料金を払って座席を利用することもできる」
「しかしそのお金をケチって座席を利用しないという選択をした。」
という点なんですね。
もし「席を与えないのが危険だ」というのであれば
その危険な選択をしたのは親自身な訳です。
責められるべきは親なんじゃないんですか?
航空会社の責任では全くない。
この点について自動車においてシートベルト着用を法制化したように
何歳時であっても座席を1つ使わせなければならないんだ
という規制をかけるってことは「立法論」としてはありですけど
それが本当にいいのかどうかは結構疑問だし
少なくとも法的な義務として認められた例は皆無でしょう。
もし法的な義務として認められる可能性があるとすれば

>また不幸にして幼児がぶっ飛んで他の客に当たることもあり
>うることは容易に想像されます。

まさに他の客に対する点ですね。
でもこれだって本来的には航空会社ではなく
危険な選択をした親に損害賠償請求すべきもの。

で、法律論を離れると
この場合に親ではなく航空会社に損害賠償責任を認めることにしましょうか?
そうするとマクロのレベルだとコスト上昇の原因なのは間違いなし。
……親が座席確保の料金をケチった分を
  周囲が負担することになるんですよ。
  ……もっとも少子化が進んだ今、子供は社会全体の財産って観点で
    国民全体でコストを負担すべきだって言うなら
    あたしゃグウの音も出ないのではあるが……(笑)

2 離発着を止めるべきではないか
まあこれはありうる話ですが
最終的には約款で搭乗を認めておきながら
搭乗を拒否したのであれば
これは約款違反な訳です。
離発着を止めるべき義務を法的に認める訳にはいかないでしょう。

その上でコメント。

>航空運送約款で、「座席を占めない幼児」ということで搭乗したら、
>たとえ、席ががら空きでもシートベルトで固定することは航空会社
>にとって「してはいけない」ことなのでしょうか?

「してはいけない」ことではありません。
しかし
「しなければならない」ことでもありません。

そしてね。
安全を重視するなら

>満席で子どもを着席させることがまったくできない情況であった
>なら約款どおりの運用も仕方なかったかもしれませんが、

仕方ないって訳にはいかないんじゃないだろうか?
あくまで議論は「満席」を前提にすべきではないだろうか?
……他の人にしてみれば満席だろうが空席だろうが
  子供が飛んで来てぶつかってくる状態は避けたい。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
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