佐々木将人@函館 です。

調べて書こうとした瞬間に
既に問題は解決したようなのですが
何が起こったのかわかんね〜って読者のために
ちょこっと解説。

もともとの問題は
(ささきさんは明確に書かれていませんが)
「銀行から融資を受けるに際し
 自分の所有する不動産に抵当権の設定を求められた。
 そこで抵当権設定登記をするにあたって
 自分が単独で所有している土地建物については
 自分が持っている登記済証(俗称「権利書」)を使って
 抵当権設定登記をすることが可能であったが
 (おそらく道路部分が元々私有地で……
  分譲後に共有として譲渡された)
 共有のうちの自分の持分について同様に抵当権設定登記をするため必要な
 登記済証については、
 共有者の1人が持っていたところ
 その人が貸し出しを拒んでいる。
 どうすれば共有持分についての抵当権設定登記ができるか?」
という問題のはずです。

で、これの実際的な回答は間違いなく
「登記済証に代えて保証書を作成してそれで申請すればよい」
です。

>From:ささき <khs-f20@mail.goo.ne.jp>
>Date:2004/11/02 17:48:37 JST
>Message-ID:<cm7hl9$j4u$1@nwall1.odn.ne.jp>
>
>「原本をなくした時に使用する書類を利用すれば、別途費用は
> かかりますが、手続きを進められます。」

「原本をなくした時に使用する書類」
というのは間違いなく「保証書」のことです。
不動産登記法44条。
内容は
「登記申請書に書いてある登記義務者
 (抵当権設定登記の場合は
  抵当権設定で利益を得る銀行が登記権利者
  抵当権の負担を受ける所有者が登記義務者です。)
 本人が登記申請していることに間違いない。」
ことを保証する人2人の署名押印(+印鑑証明書)です。
(保証人については
 その登記をしようとする法務局で既に登記をしているとか
 若干細かい要件がありますが……。)

これについては法律上の要件が「滅失」となっており
最高裁の昭和31年7月17日判決が
「物理的滅失か紛失による所在不明の意。
 第3者のもとにある場合を含まず。」
という趣旨のことを言っていますが
一方で
「滅失の理由を記載する必要なし。
 登記官に実質的審査権はないから
 滅失として申請があった以上実質的審査をすることなく手続を進めても
 その登記は有効」
ということも言っていますので
今回の場合も「滅失」を理由に保証書で代えることが実際上可能です。
(ちなみに抵当権だけではなく所有権移転でも同じです。)

>有料と言うところは引っかかりますが、

おそらく保証書に署名押印してもらう人に
印鑑証明書の実費を補填するのと
いく分かの謝礼を支払うのでしょう。
これは逆の立場になった場合には(金額が常識の範囲内であれば)
まあ妥当なところではないでしょうか?
(なにせいい加減に保証すればそれなりの制裁がありますから。)

>#そんなのに共有道路とはいえ権利書を預けるなよ<<うちの親!

元々登記の申請が共有であっても1通である以上
登記済証は1通しか発行されませんから
誰かが持たなければなりません。

>ここで問題解決しても、基本的な問題は先送りしているだけ、
>の様な気がするのですが、

そんなに心配しなくてもいいと思います。
なにせ上でも述べましたが
所有権移転ですら保証書で可能です。
そして所有権移転を保証書でやれば
その後はその時の登記済証でその後の登記が可能で
しかも従前の登記済証はその限りで登記申請には使えないので
全く心配いりません。
(例えば保証書で所有権を自分の奥さんに移転して
 さらに奥さんの登記済証で自分に戻せば
 登記済証だって手に入ります。
 ……全く金の無駄遣いとしか言えない手続だけど……。)

もともと登記済証が大事だというのは
抵当権の設定・所有権の譲渡など
自分が登記義務者になるような登記申請の際に
登記済証を添付することで
本人が登記申請をしていると推定されるゆえ
もし誰かが登記済証を手に入れた上
本人になりすまして登記申請をする危険があるから
その危険を低くするため大事にしなさいよ……ってことなのです。
でもこれは登記済証がなければ何もできないかといえば
そうではない訳でして
法もちゃんと「保証書」という制度を別途用意しています。

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