Re: 解約できない契約
佐々木将人@函館 です。
まず契約の解除と契約の変更を区別しましょう。
(投稿者にも(投稿者が説明するところの)会社にも言えることだが。)
>From:bestie@lycos.jp
>Date:2003/07/07 18:39:09 JST
>Message-ID:<uisqeoev6.wl@densan-s.co.jp>
>
>プロバイダにレンタルの解約を申し出たところ、
>解約できないと断られてしまいました。
明らかに契約の解除ではなく変更の申し出ですな。
そもそもこの場合に成立した契約はなんですか?
ADSLというサービスに関する契約と
モデムのレンタルという契約とが別個の契約として成立した訳では
ないんでしょう?
>> *********サービスでは、弊社がご契約者様へ指定する接続機器のみご利用が
>> 可能となっており、*********サービスのお申し込みの際には、指定接続機器
>> の「購入」または「レンタル」のいずれかを選択していただくことが必須と
>> なっております。
(中略)
>> 上記事由により、指定接続機器のレンタル契約のみの解約は、原則的に承って
>> おりません。何卒ご了承ください。
「モデム購入パターン」と「モデムレンタルパターン」との2種類があって
どっちかの契約を結ぶことになるけど
後者を選んだって契約としては1つで
モデムレンタルについて契約が別途存在しているとは思えない。
そして上でうたっているのは
「レンタル契約のみの解約は……承っておりません」
でも法律的に言うなら
「レンタルの条項のみの解約=契約の変更は……承っておりません」
という意味です。
>しかし約款には、レンタル解約出来ないという旨は記されていませんし、プロ
>バイダからの返答にも
>
>> なお、現在、約款中に、
>> 本件について特記した条項はございません。ご了承ください。
>
>とあります。
そりゃあそうでしょう。
特記した条項がないのであれば
「変更はできない」のが当たり前です。
>そもそも持ち込み云々は、レンタル解約と直接関係ない(レンタル解約したか
>らと言って必ず持ち込むとは限らない)ので、解約拒否の理由には成り得ない
>と思います。
もとの契約の理解として誤り。
解約を拒否したのではなく変更を拒否しているだけ。
変更を認める契約条項がない以上、変更を拒否しても問題なし。
>それ以前に、違約金などの条件付きのケースはあるにしろ、解約そのものがで
>きない契約というのは聞いたことがありません。
そうですね。
そしてこの契約は解除ができない契約ではありません。
>解約を拒否するというのは、
>それ自体が不法行為なのではないでしょうか。
本例とは関係なし。
>つまり法的な根拠はないのに「解約できない」の一点張りで、
変更を認める根拠がないので変更できないの一点張りなのは
全く問題ありません。
>ユーザから不当
>にレンタル料もしくは販売代金を得るというのは、民法 709条の不法行為に相
>当するのではないかと思うのです。
気のせいです。
不当なことは全然ありません。
>http://www.hou-nattoku.com/law/saikaku.htm
>> 第 540条〔解除権の行使〕
>> 契約又は法律の規定に依り当事者の一方が解除権を有するときは其解除は相
>> 手方に対する意思表示に依りて之を為す前項の意思表示は之を取消すことを得
>> ず
はい。ですから契約の解除はできます。
>解約にあたっての制限は特にないはずですので、当方に解除権はあると思いま
>すが、
ここでいう解除というのは「解除権」です。
契約に定められた解除の条項に基づく解除権か
法律に定められた解除権発生条項に基づく解除権を指します。
たぶん契約には解除の条項があると思います。
>文末の「前項の意思表示は之を取消すことを得ず」をどう解釈して良い
>のか… 解るようで解りません。
解除すると言ったら
「解除はやめにしました」というのはできません……という意味です。
>疑問点をまとめますと、次の 3点です。識者の御意見は如何でしょうか。
>・解約できない契約は存在しうるのか
存在しませんし、本件の契約もそうではないでしょう。
>・解約の拒否は(拒否する側が利益を得る場合)不法行為ではないのか
なりません。
解除権が発生しなければ解除の拒否は正当です。
それでも解除したければそれ相応の損害賠償をする必要があります。
>・本件の場合、プロバイダは当方の解約要求に応じる義務があるのではないか
解除はできますが
モデムのレンタルだけ解除するというのは
法律でいう「契約の解除」ではありません。
>プロバイダによるとモデムの持ち込みは可能なのですが、それはシリアル番号
>から登録情報の確認が取れた場合のみで、しかも登録情報の変更のために別途
>\3,000必要とのこと。つまりモデムを買い取ったある人がそれを他人に転売す
>る場合、携帯電話等とは異なりそんな「登録情報の変更」をしなくてもユーザ
>は何も困らないのに、プロバイダに\3,000徴収されると言うことです。ユーザ
>をナメているとしか思えません。もちろん約款にこのような記述はなく、従う
>必要はないと考えています。
……そういうところと契約しなきゃいいのに……。
契約の自由ということは
そういうところとは契約をしなければいいということを意味します。
契約をしておいて「それを守らなくてもいい」というのは通常通りません。
(しかもモデムについてレンタルありからレンタルなしにして
再度レンタルは認めないけど
最初からレンタルなしならおっけーって業者もある訳だから……。
なんでそっちを選ばなかったの?ってことになる……。)
それに、その条項に従わなければ
「レンタルが続く」だけだからプロバイダも特には困らないでしょう。
それにユーザーが困るから費用をとるのではなく
プロバイダが手数がかかるから対価として費用をとるのではないですか?
そしてその対価が不当だと考えれば契約しなければいいだけのことです。
(そうやって妥当な価格に行くってえのが市場原理の主張だな。)
そもそもこのプロバイダに
「現契約を解除して新たにモデムレンタルなしの契約を結びたい」
と言えばこれは喜んで応じるはずですし
おそらく新たな契約として余計な手数料を請求するのでしょう。
契約の解除を拒否したって話では全然ないのです。
契約の一部の変更を申し出たらそれを拒否されたという話にすぎません。
変更についてはそういう特別の根拠がなければ
別途合意しない限り普通は認められないものです。
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cal@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「私のアンソロ本を書くって本当?」
まさと 「それ、微妙に間違っている……。」
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