Re: ζ(s),DL(s,χ),_{amodN(s)},ζ(s,x)の複素平面上での正則性・有理型性・解析接続可能性の証明
工繊大の塚本です.
In article <ac717e73-86d9-4ea6-a2f5-465c2378a85a@e7g2000vbw.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <110622173345.M0124258@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > \exp(-u) \leq 1/u (u > 0) ですから,
> > 今, 自然数 M について 1 < Re(s) \leq M であるとすれば,
ここは Re(s) \leq M とするべきところでした.
> > \exp(- x u)
> > = (\exp(- (x u)/(M+1)))^{M+1}
> > \leq (1/((x u)/(M+1)))^{M+1}
> > = ((M+2)/x)^{M+1} (1/u^{M+1})
>
> ここは「=((M+2)/x)^{M+1} (1/u^{M+1})」ではなく「= ((M+1)/x)^{M+1}
> (1/u^{M+1})」ですよね?
おっと失礼. その通りです.
> > ですから,
> > | \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) |
> > \leq ((M+1)/x)^{M+1} (1/u)
> > となり, \int_1^\infty (1/u) du/u = \int_^\infty 1/u^2 du は
> > 可積分ですから, \int_1^\infty \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u も
> > 可積分であることが分かります.
>
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__20.jpg
> となりましたが突然,
> |exp(-xu)u^s/(1-exu(-u))|≦((M+1)/x)^{M+1}1/uが言えるのは何故なのでしょうか?
ここも 1/(1 - e^{-1}) を付け忘れました.
今, 自然数 M は Re(s) \leq M となるように選んでいるので,
| \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) |
\leq \exp(- x u) u^{Re(s)}/(1 - e^{-1})
\leq (1/(1 - e^{-1}))((M+1)/x)^{M+1} 1/u^{M+1} \times u^M
= (1/(1 - e^{-1}))((M+1)/x)^{M+1} 1/u
が 1 \leq u について成立します.
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__21.jpg
> となったのですがRe(s)≦1の時は考えなくていいのでしょうか?
失礼. \int_^\infty \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u を
考えるときには 1 < Re(s) という条件を付けてはいけませんでした.
> それとRe(s)>1の時,∫_0^1u^{Re(s)-1}du/u∈Cなら
> ∫_0^1exp(-xu)u^s/(1-exp(-u)) du/u ∈Cまでも言えてしまうのは何故なのでしょうか?
\int_0^1 \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u を考える際には
\lim_{u \to 0} \exp(- x u) u /(1 - \exp(-u)) = 1 ですから,
Re(s) - 2 > - 1, つまり Re(s) > 1 であることが,
積分の収束の必要十分条件です.
Re(s) > 1 においては
\int_0^1 \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u
= \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1)
が成立していて, 右辺の式は全複素数平面上の有理形関数と
看做せますから, 右辺の式が
\int_0^1 \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u によって
表される Re(s) > 1 での正則関数の
全複素数平面上の有理形関数への解析接続を与えていると考えます.
> どうして,Γ(s)ζ(s,x)=∫_0^1exp(-xu)/(1-exu(-u)) u^s du/u
> + ∫_1^∞exp(-xu)/(1-exu(-u)) u^s du/u が
> 全複素平面上での有理形,つまり
> ∫_0^1exp(-xu)/(1-exu(-u)) u^s du/u + ∫_1^∞exp(-xu)/(1-exu(-u)) u^s du/
> u
> が全複素平面上で正則で,且つ全複素平面上で孤立特異点を持つ
> 事が分かるのでしょうか?
\int_1^\infty \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u
が全複素数平面上で正則で,
\int_0^1 \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u
が \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1) という
全複素数平面上で有理形な関数への解析接続を持つからです.
> > \Gamma(s) \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s
> > の全複素平面上での有理形関数へ
> > の解析接続が求まれば,
> > それの 1/\Gamma(s) 倍として,
> > \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s の全複素平面上での
> > 有理形関数への解析接続も得られますね. だから,
>
> 更にはどうして,ζ(s,x)=
> 1/Γ(s) [∫_0^1exp(-xu)/(1-exu(-u)) u^s du/u + ∫_1^∞exp(-xu)/(1-exu(-u))
> u^s du/u]
> が全複素平面上での有理形,つまり
> 1/Γ(s) [∫_0^1exp(-xu)/(1-exu(-u)) u^s du/u + ∫_1^∞exp(-xu)/(1-exu(-u))
> u^s du/u]
> が全複素平面上で正則で,且つ全複素平面上で孤立特異点を持つ
> 事が分かるのでしょうか?
全複素数平面上で有理形な関数
\int_1^\infty \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u
+ \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1)
への解析接続を持つ
Re(s) > 1 で正則な関数 \Gamma(s)) \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s の,
1/\Gamma(s) 倍である
\sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s という Re(s) > 1 での正則関数は,
1/\Gamma(s) が全複素数平面上で正則な関数であるので,
やはり, 全複素数平面上で有理形な関数
(1/\Gamma(s)) (\int_1^\infty \exp(- x u) u^s/(1 - \exp(-u)) du/u
+ \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1))
への解析接続を持っているわけです.
> 今,Γ(s):=lim_{n→∞} n^s n!/Π_{k=0}^∞(s+k)と
だから, その \Gamma 関数の表示は意味がありません.
> ζ(s,x):=[1/lim_{n→∞} n^s n!/Π_{k=0}^∞(s+k)]・[Σ_{n=0}^∞(-1)^n/B_n(x)/(n!
> (s+n-1))+∫_1^∞exp(-xu)/(1-exp(-u) u^{s-1} du]
> とは複素平面上で正則且つ有理形なのでよね。
Re(s) > 1 で正則な関数 \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s を
全複素平面に有理形関数として解析接続した関数を \zeta(s, x)
と書くことにすれば, その一つの表示として,
(1/\Gamma(s))(\int_1^\infty \exp(- x u) u^{s-1}/(1 - \exp(-u)) du
+ \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1))
が得られたわけです.
> その場合は
> 両辺を正則且つ有理形関数Γ(s)で割ったもの
> ζ(s,x)=[1/(lim_{n→∞} n^s n!/Π_{k=0}^∞(s+k))^2]・[Σ_{n=0}^∞(-1)^n/B_n(x)/
> (n!(s+n-1))+∫_1^∞exp(-xu)/(1-exp(-u) u^{s-1} du]
> も複素平面上で正則且つ有理形となる
> という命題が在るのでしょうか?
何をお訊きになっているのか分かりませんが,
Re(s) > 1 で正則な関数 \Gamma(s) \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s を
全複素平面に有理形関数として解析接続できることを
Re(s) > 1 では \Gamma(s) \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s と
一致する全複素数平面で有理形な関数
\int_1^\infty \exp(- x u) u^{s-1}/(1 - \exp(-u)) du
+ \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1)
を見つけて示したのですから,
Re(s) > 1 で正則な関数 \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s が
全複素数平面に有理形関数として解析接続できることは,
Re(s) > 1 では \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s と
一致し, 全複素数平面で有理形な関数として,
(1/\Gamma(s))(\int_1^\infty \exp(- x u) u^{s-1}/(1 - \exp(-u)) du
+ \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1))
が存在することから明らかであるのは当然です.
> > \int_1^\infty \exp(- x u) u^{s-1}/(1 - \exp(-u)) du
> > が全複素数平面上で正則な関数になることは宜しいですか.
>
> すいません。∫_1^∞ exp(-xu) u^{s-1}/(1-exp(-u)) du
> 全複素平面で微分可能(正則)と分かるのでしょうか
\Gamma(s) が Re(s) > 1 で正則であることを示したときと
同様の議論により示すことができます.
> > \int_0^1 \exp(- x u) u^{s-1}/(1 - \exp(-u)) du
> > の部分が全複素数平面上の有理形関数となることは
> > 別の thread で述べました.
>
> すいません。ちょっと見つけれませんでした。どちらのthreadでしょうか?
In article <110623174053.M0101955@ras1.kit.ac.jp>
Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
! In article <75c8006a-c0e9-4993-98df-aa60d63a4108@fq4g2000vbb.googlegroups.com>
! KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
! > そしてΣ_{n=R+2}^∞ B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)が{s∈C;|s|<R}で
! > 正則であるような正実数Rをどのように採ればいいのでしょうか?
!
! 問題の設定がおかしい. 任意に自然数 R を取る時,
!
! \sum_{n=R+2}^\infty B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)
!
! について,
!
! |B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)|
! \leq (1/2^n) (1/(R+2-1-|s|))
!
! ですから, |s| \leq R では
!
! |B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)| \leq 1/2^n
!
! となって, Weierstrass の優級数判定法より,
!
! \sum_{n=R+2}^\infty B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)
!
! は正則になります. R は任意ですから,
!
! \sum_{n=0}^\infty B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)
!
! は, 全複素数平面の任意の点のある近傍において,
! 正則関数と有限個の有理関数の和として常に表示できますから,
! 全複素平面で, 有理型になります.
のところです.
> ζ(s)=1/[exp(2πis)lim_{n→∞}(n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k))] ∫_c u^{s-1}/exp(u)-1 du
> がRe(s)>1ではΣ_{n=1}^∞ 1/n^sと等しくなるのはどうすれば言えますでしょうか?
これは別の積分表示の話ですね. 少し間違っています.
ともあれ, Re(s) > 1 では積分路 C を実軸に近付ければ,
\int_C u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du
= (\exp(2 \pi i s) - 1) \int_0^\infty u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du
= (\exp(2 \pi i s) - 1) \int_0^\infty \exp(- u) u^{s-1}/(1 - \exp(-u)) du
が示されます.
> あと,ζ(s,1)=ζ(s)が成立つのは分かりましたが
> ζ(s,x) (但し,x≠1)の場合は全複素平面への解析接続性と
> 有理型性とC\setminu{1}での正則性が言えるのでしょうか?
非正の整数 s での \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1)
の極は, 1/\Gamma(s) 倍することにより,
1/\Gamma(s) の零点により消されるので,
非正の整数 s でも正則になることが分かります.
残るのは s = 1 だけです.
> ζ(s,a/N)が全複素平面へ解析接続性と有理型性と
> C\setminus{1}で正則性を持つなら
> それをscalar倍(1/n^s倍)しても解析
> 接続性・有理型性・正則性は保存されるのですね。
正則な関数倍しても, 有理形関数であるという性質は
保たれます. 極は高々極にしか変化しません.
> L(s,χ)=Σ_{a=1}^{N-1}χ(a)ζ_{a≡(modN)}(s)
> =χ(a)Σ_{a=1}^{N-1}ζ_{a≡(modN)}(s)
> =χ(a)(ζ_{1≡(modN)}(s)+ζ_{2≡(modN)}(s)+…+ζ_{(N-1)≡(modN)}(s))
> にても各
> ζ_{1≡(modN)}(s),ζ_{2≡(modN)}(s),…,ζ_{(N-1)≡(modN)}(s))が
> 解析接続性・有理型性・正則性を持つなら
> その和やschalar倍に於いても解析接続性・有理型性・正則性が保たれる
> という訳ですね?
有理形関数の一次結合が有理形であるのは明らかでしょう.
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__22.jpg
> となったのですが
Re(s) > 0 という仮定では \sum_{m=0}^\infty 1/(n + N m)^s の
収束は導かれませんから, \sum_{n=1}^\infty \chi(n)/n^s を
\sum_{n=1}^{N-1} \chi(n) \sum_{m=0}^\infty 1/(n + N m)^s
と書き換えてはいけません. そう書き換えて良いのは
Re(s) > 1 の時だけです.
> どうすれば
> Σ_{n=1}^Nχ(n)Σ_{m=0}^∞1/(mN+n)^sから
> Σ_{n=1}^Nχ(n)/n^s+Σ_{m=1}^∞Σ_{n=1}^Nχ(n)/(mN+n)^sと変形できるのでしょうか?
\sum_{n=1}^\infty \chi(n)/n^s が収束するのは,
\sum_{m=0}^\infty (\sum_{n=1}^N \chi(n)/(n + N m)^s) が収束するときで,
これらの和は一致します. それは収束の定義と 1 \leq k \leq N で
|\sum_{n=1}^k \chi(n)/(n + N m)^s| < N/(N m)^{Re(s)} であり,
\lim_{m \to \infty} N/(N m)^{Re(s)} = 0 となることから
示されます.
--
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735