工繊大の塚本と申します.

In article <1a1e85bf-63d0-4bbc-9a91-63eeb7799feb@j4g2000yqh.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> [定義] a^2+b^2=c^2でGCD{a,b,c}=1の時,
> (a,b,c)∈Z^3は原始Pythagorean tripleという。
> 
> [Pythagorean triples定理] You will get every primitive Pythagorean
> triple (a,b,c) with a odd and b even by using the formulas
> a=st, b=(s^2-t^2)/2, c=(s^2+t^2)/2,
> where s>t\xE2   П are chosen to be any odd integers with no common factors.
> 
> 
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/Number_Theory/Fermat0.jpg
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/Number_Theory/Fermat1.jpg
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/Number_Theory/Fermat2.jpg
> 
> を参考にX^4+Y^4=Z^4を解いています。
> p191にて
> 
> 「∃x,y,z∈Z;x^4+y^4=z^2…(1)と仮定する。
> もしx,y,zが共通因数を持っているとすると
> d:=GCD{x,y,z}>1として
> (1)はd^2(dx')^2+d^2(dy')^2=d^2z'^2と書け,d^2をcancelすると

その変形は変です.

 x, y の冪は 4 ですね. x = d x', y = d y', z = d z' なら
 (d x')^4 + (d y')^4 = (d z')^2 より
 d^2 (x'^4 + y'^4) = z'^2 となります.
このとき, d^2 が z'^2 を割り切ることから,
 d が z' を割り切ることが分かり,
実は z = d z' = d^2 z'' となります.
結局, x'^4 + y'^4 = z''^2 となり,
 x', y', z'' は共通因数を持たないことになります.

> (dx')^2+(dy')^2=z'^2…(2)を得,GCD{x',y',z'}=1となるので

今考えているのは x^4 + y^4 = z^2 ですね.

> WLOGでそれらx,y,zは互いに素と仮定してもよい。

互いに素, というのと, 共通因数を持たない, というのは
少し違います.

> もしa:=x^2,b:=y^2,c=zとすると(1)はa^2+b^2=c^2と書け,
> (a,b,c)は原始Pythagorean tripleとなる。
> Chapter2で原始Pythagorean tripleがどのようなものか知ってるように

「ように」ではなく「知っている」.

> もしかするとxとyを入れ替えると

 x と y とを入れ替える必要があるかも知れないが,

> x^2=a=st…(2.3), y^2=b=(s^2-t^2)/2, z=c=(s^2+t^2)/2 なる
> 奇数sとtが存在するかもしれない。

「かもしれない」ではなく「存在する」.

> 積stは奇数か平方数に等しく(∵p17の表),

積 s t は(奇数と奇数の積で)奇数であり, かつ,
(x^2 に等しいから)平方数である.

> 法4という平方数になる場合は0と1だけである」

平方数は mod 4 で考えると 0 又は 1 である.
 
> 0と1とだけであるとはどういう意味でしょうか?
> p17の表ではstが平方数になるのは9のみで
> 9≡1(mod 4)にはなりますが9≡0(mod 4)にはなりませんよね。

 p17 の表というのは単なる例で, それを論拠とするのは
変でしょう. それはともあれ, ここで言っているのは
(奇数の積とは限らない)一般の平方数についてです.
偶数の平方は mod 4 で 0 になりますね.
奇数の平方は mod 4 で 1 になります.
無論, 今は s, t が, 従って, s t が奇数であるので,
以下のように,
 
> 「それで
> st≡1 (mod 4)…(2.5) を得る。

となります. s, t はどちらも奇数なので, mod 4 では,
 1 であるか, 3 であるか, ですが, その組み合わせで
 s t が mod 4 で 1 となるのは,

> これはsとtは双方とも1mod4か3mod4の元である」

 s と t の双方が mod 4 で 1 であるか,
双方が mod 4 で 3 であるか, の場合しかありません.
 
> 今,stは平方数なのでこれもp17の表を見てみると,st=9(s=1,t=9)の時が挙げられ,
> s∈1mod4,t∈3mod4で上手くいっていますね。

それは何か勘違いされていますね. t = 9 なら
 t ≡ 1 (mod 4) です. そうでないと,
 s ≡ t (mod 4) とならない.
 
> 「どの場合でもs≡t (mod 4)となる」 は確かにそのようになってますね。
> 
> 「次に等式2y^2=s^2-t^2=(s-t)(s+t)…(3)を見てみると,
> sとtは奇数で互いに素はs-tとs+tの共通因数は2という事を意味しているという事実」
> 
> これもs+t=9+1=10,s-t=9-1=8という風に双方とも偶数なので
> 共通因数は2と言えますね。

 2 以外の共通因子が存在しないことも確かめて下さい.
「 s と t は互いに素であるので, s + t と s - t の
  共通因数は 2 だけである」

> 「更にs-tは4で割り切れる。それでs+tは奇数の2倍でなければならない」
> 
> これはどうしてs+tは奇数の2倍と言えるのでしょうか?

 s ≡ t (mod 4) から s - t ≡ 0 (mod 4) で, s - t は
 4 で割り切れるわけですが, s - t と s + t の共通因数は
 2 だけですので, s + t は 4 では割り切れません.
(奇数と奇数の和ですから, 2 では割り切れます.)
従って, s + t は奇数の 2 倍です.

> 「更に積(s-t)(s+t)は平方数の2倍という事を知っている」
> 
> これは(3)から明らかですね。
> 
> 「これが起こりうる唯一つの場合は
> s+t=2u^2とs-t=4v^2…(4) なる
> GCD{u,2v}=1なる整数u,vが存在する事である」
> 
> これはs+tは奇数の2倍だからuは奇数…(5)ですよね。
> でもどうしてs+tは奇数の平方の2倍,s-tは平方数の4倍と分かるのでしょうか?

 (s - t)(s + t) = 2 2^{2e_0} p_1^{2e_1} p_2^{2e_2} … p_r^{2e_r} と
相異なる素数 2, p_1, p_2, ... , p_r の偶数冪の積として書くとき,
 2 以外の共通因数がないことから, p_i^{2e_i} は
 s - t か s + t かのどちらかを割り切ることになります.
 2^{2e_0} は s - t を割り切ることになります.
(s + t は 2 で割り切れます.)
(s - t は 4 で割り切れるので, e_0 > 0 です.)

> 「それでuとvに関する連立方程式(4)をs,tについて解くと,
> s=u^2+2v^2\xE3^AǸ=u^2-2v^2.
> そして(2.3)に代入するとx^2=u^4-4v^4
> を得る。これはちx^2+4v^4=u^4と書き換えれる。
> 残念ながらこれは我々が探している方程式とはかなり違う,
> それで我々はこのプロセスを繰り返す。
> もしA:=x,B:=2v^2…(6),C:=u^2と置くと,
> A^2+B^2=C^2
> それで(A,B,C)は原始Pythagorean tripleとなる。」
> 
> これはGCD{A,B,C}=GCD{x,2v^2,u^2}=1となるのはどうしてでしょうか?
> x^2は奇数(∵(2.3),(2.5))よりxは奇数,
> よってAは奇数,Bは偶数(∵(6)),Cは奇数(5)という事だけしか分からないのですが。

 GCD{u, 2v} = 1 を忘れていますよ.

> 「再び,Chapter2に帰すると
> (x=)A=ST, (2v^2=)B=(S^2-T^2)/2, (u^2=)C=(S^2+T^2)/2…(6.5) なる
> 互いに素な奇数SとTを求める事ができる。
> その真ん中の式は4v^2=S^2-T^2=(S-T)(S+T)
> という事を言っている。
> 今,SとTは奇数で互いに素なのでS-TとS+Tの最大公約数は2…(7)である。
> 更にそれらの積は平方数である(∵4v^2=(2v)^2)。
> それでそれはS+T=2X^2,S-T=2Y^2…(8)なる整数X,Yが取れなければならない。」
> 
> ここは(7)よりS+T=2X^2,S-T=2Y^2で2が係数に付くのはわかりますが
> どうしてX^2,Y^2という風にS+TとS-Tは夫々平方数を因数に持つと
> 分かるのでしょうか?

 (S+T)/2 と (S-T)/2 は互いに素ですから,
 ((S+T)/2)((S-T)/2) = v^2 = q_1^{2d_1} q_2^{2d_2} … q_s^{2d_s} と
相異なる素数 q_1, q_2, ... , q_s の偶数冪の積として
書き表すとき, それぞれの q_j^{2d_j} は
 (S+T)/2 か (S-T)/2 かのどちらか一方を割り切ることになります.

> あとは
> 「連立方程式(8)をSとTについて解くと
> S=X^2+Y^2, T=X^2-Y^2,
> そして(6.5)にこれらか解を代入すると
> u^2=(S^2+T^2)/2=((X^2+Y^2)^2+(X^2-Y^2)^2)/2=X^4+Y^4.
> Voila! 元々の等式x^4+y^4=z^2の新しい解として(X,Y,u)を得た。
> その新しい解が元々の解より小さいかという検証がただ残っているだけである。
> 上記の各式を使って,
> z=(s^2+t^2)/2=((u^2+2v^2)^2+(u^2-2v^2)^2)/2=u^4+4v^4
> が求まる。これはuがzより小さい事を明確にさせる。」
> 
> という風になるかと思います。

宜しいでしょうか.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp