Path: news.ccsf.jp!tomockey.ddo.jp!news.tornevall.net!feeder.eternal-september.org!eternal-september.org!not-for-mail From: chiaki@kit.ac.jp (Tsukamoto Chiaki) Newsgroups: fj.sci.math Subject: Re: 基底変換写像は恒等写像? Date: Mon, 17 Aug 2009 19:40:03 +0900 Organization: Kyoto Institute of Technology Lines: 165 Message-ID: <090817194003.M0128045@cs2.kit.ac.jp> References: <9b3e59ff-262e-42af-885f-0e9222f4ec5b@y28g2000prd.googlegroups.com> <090730001523.M0209404@cs1.kit.ac.jp> <8d95f567-260b-4386-838d-4d9924d01b85@d15g2000prc.googlegroups.com> <090803203528.M0105418@cs2.kit.ac.jp> <9290dc4d-2c72-4e08-8e5c-28c20d413241@x6g2000prc.googlegroups.com> <090808205850.M0226545@cs2.kit.ac.jp> <481e5037-ae0f-476b-bbf5-f21cfedfe985@b14g2000yqd.googlegroups.com> Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp X-Trace: news.eternal-september.org U2FsdGVkX1/GS9cftmujFHnu52ciH9NUnIxTsJ+RMt/hUmpsoNnzzN7JZ01jTa6CywywKKk7D+g+VDoIOb8VLnBqkup34ZIaP7Uu5kBZt+DZA35A7w/sicp1YfaFqWOpIUyx/uBaJEW5sQyyAorntw== X-Complaints-To: abuse@eternal-september.org NNTP-Posting-Date: Mon, 17 Aug 2009 10:40:04 +0000 (UTC) X-Newsreader: mnews [version 1.22PL5] 2001-02/07(Wed) X-Auth-Sender: U2FsdGVkX1/2YsMnKyMGD8K3yLXQKCzc61j0fx68v4Q= Cancel-Lock: sha1:+IFAjpzdT0RrAUptRRIwX3RK4io= Xref: news.ccsf.jp fj.sci.math:3014 工繊大の塚本です. In article <481e5037-ae0f-476b-bbf5-f21cfedfe985@b14g2000yqd.googlegroups.com> KyokoYoshida writes: > ええーと, > http://www.geocities.jp/merissa0/study/linear_algebra/diagram_20090816.jpg > のようにobjects a,b,cがあり,fとgが合成可能対で, > dom(g○f)=domh,cod(g○f)=codhの時, > "合成射g○fとhは可換である"といい,この時の図(式)は可換図式と呼ばれるのですね。 違います. それだけではなく, 射として g○f = h となっているとき, その図式が可換であると呼ばれるのです. > 必ずしも逆写像が存在するとは限らないので, > 逆写像を使わない場合での2つの合成写像が等しい場合に > それら2つの合成写像は可換であるというのですね。 「図式が可換」です. > ここでの"可換"とは群論とかでの"可換"(順序を入れ替えれる)という意味ではなく, > "置き換えれる"という意味なのですね。 そうです. > ええ!? つまり,f(v_i)=Σ_{j=1}^n a_ij w_j (但し,i=1,2,…,m)と定義すれば > http://www.geocities.jp/merissa0/study/linear_algebra/matrix_representation_20090816.jpg > とそのまま行列表示できシンプルですが 元々, 行列というのは, 左から掛けての, タテベクトルの成す数ベクトル空間に対する (線形)演算を表すものだ, と考えていたわけです. その場合に, タテベクトルの成す 数ベクトル空間というのは, 右ベクトル空間と 考えておかなければ, (斜体を考える場合には) 行列の積が線形写像にならないのです. 一般のベクトル空間において一組の基底を選んで, ベクトル空間の元をタテベクトルを係数とする 一次結合で表すなら, そのときの自然な書き方は, 基底のベクトルをヨコに並べて, タテベクトルを右から掛けるように書くことです. v = [v_1, v_2, ... , v_n][[x_1], [x_2], ... , [x_n]] つまり, v = Σ_{i=1}^n v_i x_i とスカラー倍を 右に書くのです. この立場で言えば, 貴方が書いたように, ベクトルをタテに並べて書くのは不自然です. 基底に関する線形写像の表示も, f([v_1, v_2, ... , v_n]) = [f(v_1), f(v_2), ... , f(v_n)] = [w_1, w_2, ... , w_m] [[a_{1 1}, a_{1 2}, ... , a_{1 n}], [a_{2 1}, a_{2 2}, ... , a_{2 n}], ............................... [a_{m 1}, a_{m 2}, ... , a_{m n}]] と書くのが自然です. タテベクトルの数ベクトルを扱いたいのであれば, 基底のようなベクトルの並びは, 横に並べる. 数ベクトルに対する線形写像を 左から行列を掛けることで表すなら, ベクトルの並びの線形写像による像は, ベクトルのヨコ並びに, 右から行列を掛けることで表す. どちらも左からの行列の積で書くのは間違っています. > f(v_j)=Σ_{i=1}^n a_ij w_i (但し,j=1,2,…,m)と定義してしまった為に, だから, それは必然です. > 行列表示する際に > http://www.geocities.jp/merissa0/study/linear_algebra/transpose_matrix_representation_20090816.jpg > という具合に転置する必要があるのですね。 ベクトルの並びはヨコ並びにする習慣です. > f(v_j)=Σ_{i=1}^n a_ij w_i (但し,j=1,2,…,m)ではなく > f(v_i)=Σ_{j=1}^n a_ij w_j (但し,i=1,2,…,m)と定義しても > 差し支えは無かったのですね。 時系列解析や, code theory 等で使われるような, ヨコベクトルの数ベクトルをずっと扱っていくつもりであれば, そういう定義になります. > なるほど。Vは線形空間ですよね。 > 線形空間の定義は左加群でスラーが可換体をなすものですよね。 斜体上の右線形空間(或いは左線形空間)を定義することが出来ます. 普通の線形空間はその特別な場合であると考えます. > なるほど。もしf(v_i)=Σ_{j=1}^n a_ij w_j (但し,i=1,2,…,m)と定義すれば > A:=(a_ij)はm×n行列ですから > K^mをm次の縦ベクトルの線形空間, > K_mをm次の横ベクトルの線形空間とすれぱ タテベクトルの数ベクトル空間と, ヨコベクトルの数ベクトル空間とを混ぜてはいけません. K^m を m 次のヨコベクトルの数ベクトル空間, K^n を n 次のヨコベクトルの数ベクトル空間, とすれば, > K_m∋∀x→ψ_A(x):=xAと定義でき, ψ_A: K^m → K^n を定義するのに, x ∈ K^m に対する y = ψ_A(x) ∈ K^n を y = x A とするのが, 時系列解析や code theory で良く使われる形です. > VとWの基底をそれぞれ[v_1,v_2,…,v_m],[w_1,w_2,…,w_n], > これらの基底に関する線形写像f:V→Wをf(v_i):=Σ_{j=1}^n a_ij w_j と定義すれば > v:=v_1=(1,0,…,0) t(v_1,v_2,…,v_m)の時 > http://www.geocities.jp/merissa0/study/linear_algebra/commutative_diamgram_20090816.jpg > のようにf(v)の像は直接fを施した場合とι_w^-1○ψ_A○ι_vの場合の像いずれも > (a_1j,a_2j,…,a_1n) t(w_1,w_2,…,w_n)となり,一致するので > f(v_i):=Σ_{j=1}^n a_ij w_j と定義した場合でも > 可換図式になっていると言えると思います。 残念ながら, 普通の数学では タテベクトルの数ベクトルが多く使われます. ヨコに成分を並べるときには, 何処で成分が切れているかを示す為に, コンマを使って切れ目を示したりしないといけません. タテに成分を並べるとその心配がありません. ということで, > つまり,f(v_i):=Σ_{j=1}^n a_ij w_jと定義しても > http://www.geocities.jp/merissa0/study/linear_algebra/commutative_diamgram_20090816.jpg > という風に可換図式をなし,更には > http://www.geocities.jp/merissa0/study/linear_algebra/matrix_representation_20090816.jpg > とそのまま行列表示もできシンプルですが > 西欧人の文化的背景により,(常に行と列の逆転に気を配らなればならない)不便な > f(v_j)=Σ_{i=1}^n a_ij w_i (但し,j=1,2,…,m)という定義が定義が > 定着してしまったという訳ですね。 どっちでも, 一方はタテ, 一方はヨコになります. ですから, それだけではどちらが不便ということは ありません. しかし, 数式が横書きされる以上, 沢山使う数ベクトルのほうをタテにするのが便利だ という考え方が支配的です. 但し, それなら, スカラー倍は右から掛けることにしておいた方が 良かった. それが西欧人の文化的背景によって齎された, 記法の内部矛盾です. > 結局,f(v_i):=Σ_{j=1}^n a_ij w_j (但し,i=1,2,…,m) と定義しておけば > 行列表示した場合にそのまま記述できたのですね。 そうしてヨコベクトルの数ベクトルばかり使うように するのは一つの方法です. -- 塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学 Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp