Re: 基底変換写像は恒等写像?
工繊大の塚本です.
In article <8d95f567-260b-4386-838d-4d9924d01b85@d15g2000prc.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 一つ疑問なのですが
> f:V→Wという線形写像の基底[v_1,v_2,…,v_m]から基底[w_1,w_2,…,w_n]に対する
> 表現行列は
> f(v_j)=Σ_{i=1}a_ij w_i (但し,j=1,2,…,m)と書いた時の
> (a_ij)の事であるとなっているのですが
> f(v_i)=Σ_{j=1}a_ij w_j (但し,i=1,2,…,m)と書いた時の
> (a_ij)の事と言ってもいいのでしょうか。
駄目です.
基底を与えるということは,
ベクトル空間 V と 数ベクトル空間 K^m との同一視 ι_v を,
ベクトル空間 W と 数ベクトル空間 K^n との同一視 ι_w を,
与えることです.
n×m 行列 A で定まる K^m から K^n への線形写像 ψ_A は
通常, x ∈ K^m に対して y = A x ∈ K^n を対応させます.
( x, y はタテベクトルとして扱います.) そのとき,
f
V ――→ W
| |
ι_v | |ι_w
↓ ↓
K^m ―→ K^n
ψ_A
が可換な図式になるようにしておかないといけません.
> これなら t(f(v_1),f(v_2),…,f(v_m))=(a_ij) t(w_1,w_2,…,w_n)と
> そのまま行列と縦ベクトルとの積と
> いう形に書けて便利だと思うのですが,,,
> どうしてf(v_j)=Σ_{i=1}a_ij w_i (但し,j=1,2,…,m)の(a_ij)が表現行列なら
> t(f(v_1),f(v_2),…,f(v_m))=t(a_ij) t(w_1,w_2,…,w_n)と
> 書かなければなりませんよね。
X ∈ V が X = (v_1 v_2 … v_m) x であるとき,
f(X) = Y = (w_1 w_2 … w_n) y として,
f(X)
= (f(v_1) f(v_2) … f(v_m)) x
= (w_1 w_2 … w_n) A x
= (w_1 w_2 … w_n) y
であれば, y = A x とつじつまが合います.
# ι_v(X) = x であり, ι_w(Y) = y です.
--
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
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