工繊大の塚本と申します.

In article <7b1072e4-a830-4326-a252-2f871220d56d@y10g2000prg.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> [Q.] Let M be a proper subspace of an n-dimensional inner product
> space. Calculate the determinant of the orthogonal projection P_m on M
> and determine all eigenvalues of P_m.
> 
> という問題です。
> 
> orthogonal projectionの定義は
> 「MをVの線形部分空間とする時,V=M(+)M^⊥と書ける。
> この時,∀v∈Vに対して,∃!x∈M,y∈M^⊥;v=x+y.
> この時,P_m(v)=xと定義し,P_mをVのMに於けるorthogonal projectionと呼ぶ。」
> です。

ま, どういう定義から出発するか, にもよりますが,
( (P_m)^* = P_m, ) (P_m)^2 = P_m という線形変換が
与えられているならば,
 α がその固有値であれば,
つまり, P_m v = α v となるベクトル v ≠ 0 があれば,
 0 = O v = P_m(P_m - I) v = α(α - 1) v
となりますから, α = 0 または 1 であることが分かり,
固有値 0 に対応する固有空間は P_m の核 Ker P_m であり,
固有値 1 に対応する固有空間は P_m の像 Im P_m である
ことも直ぐに分かります.
 M = Im P_m が真部分空間であれば, dim Ker P_m > 0
ですから, det P_m = 0 も自明です.

> Mは真部分空間というので0≦dimM<dimV(=n) (但し,Vは題意の内積空間)
> よって,
> (i) 0<dimMの時,Vの基底を{v_1,v_2,…,v_n},
> Mの基底を{v_1,v_2,…,v_m},M^⊥の基底を{v_{m+1},v_{m+2},…,v_n} (但し,1<m<n)
> とすると

 V の基底としてそういう基底が取れることを認めれば,
以下の議論で結構だと思いますが,

> よって,det([P_m]-λI)=0として固有値を求めると

> =(1-λ)^m・(-λ)^{n-m}
> =0
> 
> より,λ=1(重複度m),0(重複度n-m)。

これは det([P_m] - λI) = 0 の代数的な解の重複度を
求めただけですから, 固有空間の次元と一致することは
別に示す必要があるでしょう. 難しくはありませんが.
 
> (ii) 0=dimMの時は表現行列はОなのでλ=0
> 
> となるかと思いますがこれで正しいでしょうか?

上の注意を除いては正しいですが, 基底や表現行列を
使わない考え方にも慣れておかれた方が良いでしょう.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp