工繊大の塚本です.

In article <2fa4d1d6-7bf2-4e3e-84e4-404a9a52079c@f40g2000pri.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> つまり纏めると
> U,V,WをF上線形空間としψ:U×V→Wを双線形写像とすると
> このψにより線形写像Ψ:span(U×V)→Wを∀ψ(u,v)=Ψ(u,v)と決めると
> Ψはこのψにより一意的に定められる。
> そして
> T⊂KerΨで∀u(×)v∈U(×)Vをf(u(×)v)=Ψ(u,v)と定義すると

 f は U(×)V の u(×)v の形の元にだけ定義できているわけでは
ありません. U(×)V の任意の元, 即ち,

  [Σ_{i=1}^n c_i (u_i, v_i)] = Σ_{i=1}^n c_i u_i(×)v_i

に対して,

  f([Σ_{i=1}^n c_i (u_i, v_i)]) (= f(Σ_{i=1}^n c_i u_i(×)v_i))
  = Ψ(Σ_{i=1}^n c_i (u_i, v_i))

により定義されています.

> このfはT⊂KerΨという条件より写像をなし、しかも線形もなす。

ということです.

> わかりました。これも纏めると,
> [命題1] U,V,WをF上の線形空間としψ:U×V→Wを双線形写像とし
> Ψ:span(U×V)→Wを∀(u,v)∈U×V,ψ(u,v)=Ψ(u,v)とすると
> Ψはψにより一意的に定まる。
> [命題2] 更にM=span(U×V)とし,
> T=span{(u_1+u_2,v)-(u_1,v)-(u_2, v) (u_1,u_2∈U,v∈V),
> (u,v_1+v_2)-(u,v_1)-(u,v_2) (u∈U,v_1,v_2∈V) (αu,v)-α(u,v)
> (α∈F,u∈U,v∈V)
> (u,αv)-α(u,v)  (α∈F,u∈U,v∈V)}
> とし,T⊂KerΨならf(u(×)v):=Ψ(u,v)なる線形写像∃f:U(×)V→Wが存在する。
> という事で,T⊂KerΨが
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/hoge2.jpg

 ψ が双線形であるから,

  r_i Ψ((x_i, y_i)) - Ψ((r_i x_i, y_i))
  = r_i ψ(x_i, y_i) - ψ(r_i x_i, y_i)
  = 0

などが成立する, ということはどこかに書いてあるべきですね.

> と示せたので

命題1から決まる Ψ は T ⊂ KerΨ を満たしますから,
線形写像 f: U(×)V → W が存在して, それは

  f(u(×)v) = Ψ((u, v)) = ψ(u, v) 

も,

  f(Σ_{i=1}^n c_i u_i(×)v_i))
  = Ψ(Σ_{i=1}^n c_i (u_i, v_i))
  = Σ_{i=1}^n c_i Ψ((u_i, v_i))
  = Σ_{i=1}^n c_i ψ(u_i, v_i)

も満たしています.

> あとfがf(u(×)v):=Ψ(u,v)となっているか確認してみると

確認ですか?

> f((v+v')(×)g):=g(v)+g(v')=Ψ(v+v',g)でなければならなくて、

 f は ψ((v, v'), g) = g(v) + g(v') により定めた
双線形写像 ψ: (V(+)V)×(V^*) → F から上の手順で構成した
のですから, 当然そうなっています.

> Ψ((v+v',g)+(u+u',h))=Ψ((v+v',g))+Ψ((u+u',h)) (∵Ψは線形)
> =(g(v)+g(v'))+(h(u)+h(u'))=f((v+v')(×)g)+f((u+u')(×)h)、、、
> 
> でもΨ((v+v',g)+(u+u',h))はfで表しようがないですよね。

いえ, それが f([((v, v'), g) + ((u, u'), h)]) です.

> f((v+v')(×)g+((u+u')(×)h)=f((w+w')(×)k))と表せたとして、、

そんな表し方は出来ませんが, 何も問題ありません.

> =k(w)+k(w')これから
> =(g(v)+g(v'))+(h(u)+h(u'))に簡単には持っていけませんよね。

 span((V(+)V)×(V^*))/T = (V(+)V)(×)(V^*) はベクトル空間で,
 [((v, v'), g) + ((u, u'), h)] = [((v, v'), g)] + [((u, u'), h)]
が成立していますし, f は線形写像なのですから,

  f([((v, v'), g) + ((u, u'), h)])
  = f([((v, v'), g)]) + f([((u, u'), h)])
  = f((v, v')(×)g) + f((u, u')(×)h)

などは当然成立していますが, こういったことは「確かめ」とは
関係ないですね.

> うーん、こんがらがってきました。
> 結局,どうすればfが線形である事が言えるのでしょうか?

既に f は線形写像として構成されているので, 何もする
必要がありません.

もう一度結論から議論しておきますと,

  f: (V(+)V)(×)(V^*) → F

は,

  f(Σ_{i=1}^N c_i (v_i, v'_i)(×)g_i)
  = Σ_{i=1}^N c_i ψ((v_i, v'_i), g_i)
  = Σ_{i=1}^N c_i (g_i(v_i) + g_i(v'_i))

が成立するように構成されています. 和やスカラー倍に
ついての「線形性」の成立は, この式を認めれば,
自動的に出てきます. 問題は, この式が well-defined で
あることで, その為に構成に注意を払っているわけです.
そして, 再度強調すると, 構成から線形性は自明です.

確かめるべきポイントがずれていることをご理解いただけ
ますでしょうか.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp