In article <3993761news.pl@rananim.ie.u-ryukyu.ac.jp> kono@ie.u-ryukyu.ac.jp writes:
>> 「物理量ではない仮想的な存在」だからといって
>> それが「物理空間を伝播」できないなんて理由は何ひとつ無い。
>一つの解釈としては、伝搬を観測できなければいけないわけだから、
ってのは正しいんですかね?
「伝播」にせよ「伝搬」にせよ、観測できなきゃいけない対象なんだろうか?

結局のところ、
In article <080920091948.M0127619@nanyanen.lbm.go.jp> I write:
>(「伝播」という表現が妥当かどうかという問題は残るけど。
> 「移動」とか「変遷」の方が妥当なケースもあるだろうとは思う。)
という問題に帰着するってことなんですけどね。
要するに「用語の定義」「用語表現」の問題ってこと。

「伝播」なり「伝搬」なりという用語を
「物理的に観測できる量」が時間とともに位置を変えていく現象を
表現するのに使うと「定義」すれば、
その定義に「従う限りにおいて」波動函数が伝播するなんてことは有り得ない。

でも、その定義は共通の約束事では無いハズだし、
妥当な定義だとも思いません。

しかるに、元記事はというと、
In article <gathk1$kqb$1@news-wst.ocn.ad.jp> eurms007@gmail.com writes:
>よく考えてみると、確かに、「確率(密度)が時空間を波動となって
>伝播する」というのは≪おかしな話≫である。
>確率(密度)は、決して、〔物理量〕ではないからである。
という具合に、
「伝播」という用語は「物理的に観測できる量」に対してのみ使うという「定義」を、
他の論拠から論証するでもなく、適用範囲を限定するでもなく、
全く天下りに正しいものとして持込んでいるわけです。

そして、その「定義」を元にして、
明らかにそれとは「異なる定義」に基づく表現である
「波動函数の伝播」という語法に噛みついているわけで、
それは全くのナンセンスですね。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp