北朝鮮に一兆円出せば総てが解決する程防衛は単純ではないのでは?
 そもそも、北朝鮮の軍事力と自衛隊の能力を比較すれば、刀と機関銃程の差があり、誰も北が攻撃して来ると本気で思っている者は居ないのではないでしょうか。
 遠くで吠えている駄犬を相手にする者はいないのと同じと思います。只厄介な事は現在では多少減少したとは言え北から見れば日本はつい最近迄国交が無いにも関らず最大の貿易相手国であったと言う奇妙な現象が続いていいました。 現在でも重要な貿易国の一つと思います。
 北の命運は韓国の意思に任せれば良いと思いますが、北の集団が崩壊し、韓国に大きな負担となる事は避けなければならないとの考え方から言えば、北が韓国に投降した後に大韓民国と再度韓国の北部地域に対する賠償交渉をすれば良い事で、それまでの間は原則として北との貿易、交流は極めて限定しておくべきです。
 基本的には南北間も講和した状態ではなく、一時休戦状態が継続しているに過ぎません。韓国軍の指揮権を国連軍(実質米軍)が持っているのも、単に休戦との認識が変わらないからではないでしょうか。 尤も韓国は米軍指揮下からの脱却を目指してはいますが、北に甘い現政権では実現はありえません。

 戦略、戦術は通常仮想敵国と戦略的行動範囲を想定して策定します。日本の実質的な仮想敵国はロシアと中国です。又戦略的にも戦術面でも必要な範囲は中東〜太平洋中部です。他国領土に踏み込むわけには行きませんが、マラッカ海峡、バ−シ−海峡は現在でも石油を含む鉱物資源輸入の大きなネックとなっています。緊急時にはオ−ストラリア(英連邦軍)、米軍、自衛隊が実質的に警備する事になると思います。米国がシンガポ−ル政府と緊急展開部隊用の備蓄と港湾、空港の優先使用協定を結んだのはこの為です。
 台湾海峡は何時火が出てもおかしくない地域です。中国海軍が遠洋艦隊を増強しつつあり、台湾攻撃が本土側からでなく太平洋側から行える能力を備えつつあります。 台湾の首脳が先日、実質的な日本との防衛協定に言及したのも、この為だと思います。
 集団的自衛権は有っても、現行法と対中国国交回復時の状況から、協定を公には結べない事を十分承知していても、敢えてこの様な発言を行った意味を興味深く見ています。
 琉球列島から台湾に至る防衛線は台湾有事の際にはかなり重要な意味を持ちますが、日本が中国から攻撃されない限り、目の前を無害航行権を主張して通過されれば、現状では台湾との協定のある米軍が戦火を交える事になります。
 ロシアから見れば、日本列島はロシアを囲むまさに浮沈空母の大艦隊です。ロシア極東艦隊は日本を避けて通れない状態です。まさに目の上のこぶで、日本に米軍基地が全く存在しない状況で、且つ日米安全保障条約が無い状態であったにしても、ロシアと米国、NATO諸国との有事の際には、ロシアの伝統的考え方では日本を攻撃占領すると思います。

 宮沢内閣の時に思いやり予算が始まりました。当初聞いた時には何を考えているのかと思いました。 当時は円高でもあり、米軍基地で働く日本人の給与補填、雇用確保が主たる目的であり、この事自体は必ずしも非難される事とは言えませんが、後に宿舎の建設、今回のグアム移転に至っては理解し難い支出にも理屈をつけてリ−ス方式で合意しており、高いものにつたとの感は否めません。

 全体として高いか安いかは考え方次第ですが、事の原則から見れば本来は基地使用料を米軍が支払うところから考えるべきと思います。 既に基地の無償提供の効果は無く、本来の意味で対等な条約であれば見直す時期と言えます。
 見直さないのは、国内では施設庁が管轄している部分での利権の確保に過ぎないとも思えます。
 日本人の為に米軍が血を流すと考えている者は誰一人いないとは思いますが、自らの権益、利益は離したく無いのも人情ですかね。