盧武鉉大統領の国民向け演説は穏やかな口調の中にも苦悩が読みとれる。韓国語が理解出来る訳では無いが、明らかに通常の韓国の人が相手を非難する時の口調とは異なる。これは何故だろうか。
 彼はサンフランシスコ講和条約の全文を理解した上で、今更引き返せ無い過ちに気がついているのだろう。
 多くの良識ある韓国人は、近代の歴史を理解しているし、人口比では日本の十数倍のアメリカ留学経験者が居る国で、事実を理解出来ない筈が無い。
 講和条約時点での韓国に帰属する島に竹島は含まれていない。先ずこの事を国民に説明すべきだった。
 悪戯にこの事で国民感情を反日に誘導しようとしても、何の利益も無いし、自らの勉強不足を露呈するだけで、果たして国民の支持が得られるか疑問だ。
 現在の様に、国交も人的交流も、又経済的にも相互に国境が無いかの如き成熟した交流がある中では、相互に事実は事実として認識した上での交渉が適当だったと思う。
 まして、韓国沿岸警備隊が日本の巡視船を拿捕する事など、宣戦布告とも言える正気の沙汰では無い。もし、日本が護衛艦隊を日本海に投入してでも、測量を行うと言った場合、彼はどの様に対応するつもりだったのだろう。日本海海戦を始める意志があったのだろうか?
 一国の首長は総てを想定して発言すべきと思う。今回の国民向け演説は双方の協力に少なくない陰を投げかける結果となった。言わせて貰えば歴史を歪曲して教育しているのはどちらだろう。
 既に世界の一翼を担う程の国の大統領としての発言としては不適切と言わざるを得ない。彼は国をどの様に導きたいのだろうか? 北朝鮮の属国にでもなるつもりだろうか? 理解出来ない。