こん○○わ、PARALLAXです。

"S. GOTO" <goto.shinichiro@tx.thn.ne.jp> wrote in message
news:9er4vo$b92$1@news.thn.ne.jp...
> 後藤です

ども(^○^)/。では、続き。

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【突然妄想劇場】瀬戸内少女野球団 球魂一発 北の○○・南の××
        炸裂! 女の意地が、マリンスタジアムに花開く
                         (5回表)
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◆15:30 5回表 十番高校の攻撃

 さて、もう少しで「おうちがなくなっちゃう」状態だったシスプ
リチーム側だったが「こんなこともあろうかと」と用意されていた
第2プロミストアイランドに首尾良く移住も完了した。なお如何な
る場所さえも寸分たがわずに再現されている第2島で自分の部屋を
覗いた兄ちゃんは、ほんの数時間前に散らかした部屋の状況が寸分
たがわず再現されているのを見た瞬間、思わず呟いた。

兄ちゃ「・・・・・そんなバカな。」

 そんな訳プライバシー皆無のリゾートにある、此処は新プロミス
トアイランド球場。流石に4回裏までの傷跡の再現は無い。

衛  「へぇ、流石に新しい・・・かな?」
咲耶 「そうかもね。誰も使ってなかった筈だし。」
千影 「静謐な空気を感じる・・・確かに長い時間眠りに付いてい
    た場所のようだな、此処は。」
春歌 「例えて言うなら?」
千影 「・・・墓所。」
   「いやぁああああああああああああああ!」

 まぁ妹たちにも概ね好評の様だ(何処が?)。こうして新しい球場
を確認した彼女たちだが、やらねばならない事が2つほどあった。

花穂 「うーん、でもまだ起きそうに無いよぉ。」
四葉 「無理矢理起こすしかないデスかねぇ?」
白雪 「それならこれ。白雪特製スペシャルウェイクアップジュー
    スなら、死体だって起き上がりますの。材料はグァテマラ
    と青唐辛子とタバスコとセロリとピーマンと青汁と炭酸と」
鞠絵 「そ、それじゃ幾ら何でも可哀想よ。でも・・・」





亞里亞「と〜て〜も〜気〜持〜ち〜良〜く〜寝〜て〜る〜の〜。」





雛子 「ねーねー可憐ちゃん。起きて起きてー。」

 ぺちぺちと雛子が頬を叩いてみるが、いっかな可憐は目を覚まそ
うとはしなかった。まぁいくら鈴凛特製の衝撃吸収繊維で全身を守
られていたにしてもセーラー戦士のボディスラム(爺や使用)を食ら
っては、そう容易く復活するとも思えない。そう、あの衝撃の3回
裏の攻防で失神した可憐は、実はまだ失神し続けていたのだ。しか
し4回表にはきっちりセカンドの定位置で守っていた(様に見えた)
可憐。一体、どういう仕組み? と、其処へ鈴凛が語る。

鈴凛 「ねぇ、そろそろバッテリーが切れるよ?」

 そう。電気仕掛けの可憐・・・ではなく、秘密は鈴凛特製のユニ
フォーム。只の強靭な繊維で作られたユニフォームにしか見えない
これは、実は任意のポイントにパルスを送り込む事で自在に伸縮・
屈曲させる事が出来るのだった。例の「糸」の物性を弄る内に偶然
できた新素材だったが、これを鈴凛は布製パワードスーツとして仕
上げてしまった。おそるべし、鈴凛。つーかなんでもアリですか。

千影 「うむ。それはますます問題だな。」
咲耶 「そうね、仕方ない・・・





    交代させましょ。」





    さいわい、代わりは居るもの。」

 だったら4回表に交代させてあげれば良かったのではと良識ある
読者は思うだろうが、何せベンチに残るのは病弱の眼鏡っ娘と小学
生が2名だけ。あらゆる意味で「人類を超えている」セーラーチー
ムの相手をさせるには流石に辛い。そこで妹たちは「グラウンドに
出てもどうせぼーっと突っ立ってるだけなんだから」と、失神した
ままの可憐を、パワードスーツを外部から無線コントロールする事
であたかも彼女が歩き走り守ってるかのように操作し、出場させて
いたのだった。マリオネーション可憐。意外に惨い妹たちだが、

   「これでライバルが一人でも減れば・・・」

とか密かに思っていたらしい事は、書き手も預かり知らぬ事である(爆)。

 さて、そんなこんなで可憐と鈴凛の交代が発生したシスプリチー
ム。流石に棒倒しまではしなかったが、すったもんだで決めたポジ
ションは等幅フォントな図で以下の通り。

      衛
      |
 春歌   |   花穂
  \  /\  /
   鞠絵  雛子
   /    \
 咲耶  千影  白雪 控:可憐(気絶中)
   \  |  /     鈴凛(降板投手)
    \ | /      亞里亞(....ZZZZzzzz,,,,)
     四葉

 なんだかライト方向がものすごーく不安なポジションだが、人数
は揃っているものの使えないキャラが多いシスプリチームではこれ
が精一杯。千影の投球如何に頼るしかない状態・・・だったが。

爺や5「バッターラップ!」

 新球場の開放と合せて補給された新審判の主審がコールする。
3塁側から今回第1打者の亜美がすたすたと歩いてきて一礼し、
バッターボックスに入る。流石セーラーチームの良心。

爺や5「プレイ!」

 主審のコールで、きりりとマウンドの千影へ構える亜美。まだま
だ持ちネタの多い彼女の事、油断はならない。が、無造作にクイッ
クモーションを起こした千影が、実に打ち頃の球を投げて来た。

亜美 「?・・・でも、打つ!」

 何せ脅威の憑依システムを持つシスプリチーム。不用意に相手へ
時間を与える事は、此方に対し幾つもの隠し球を用意させることに
なる。先手必勝。これまでの攻防でこれが身にしみた亜美は、遠慮
なくバットを振るった。と、そこへ届いた、声一つ。





千影 「・・・・・・・・・呪うぞ。」





 ・・・・・・・・・・・ぱす。

爺や5「すたーいく、わん!」





亜美 「・・・・・・え?」

 突然届いた千影の声に、フリーズしてしまった亜美。思わず打ち
頃だった第1球を見逃してしまった。呆然としてマウンドの千影を
見るが、われ関せずと言った表情で淡々と投球ポジションに着く。

亜美 「・・・聞き間違い・・・かな?」

 が、届いた声はまだ耳に残っている。でも、

亜美 「・・・どんな事、言われたんだっけ・・・?」

 そう、正確には「声の持つ雰囲気」だけが、印象に残っていた。
記憶力には自信がある亜美だったが、たった今聞いたばかりの声の
内容を忘却している事がこれで自覚され、愕然とする。が、ともあ
れ迷っている暇は無い。慌ててマウンドの千影へ構える亜美。第1
球と同様の無造作なフォームで、また打ち頃の球が来る。





亜美 「貰った!」
千影 「・・・・・・・・・夢見るぞ。」





 ・・・・・・・・・・・ぱす。

爺や5「すたーいく、つー!」





亜美 「・・・・・・なに、いまの・・・?」

 またバットが止まってしまった亜美。結局みすみす打ち頃の球を
見過ごしてしまった。相変わらず、声が聞こえた事は覚えていて、
自分がそれのためにバットを振れなかった事は判るものの、言葉の
内容がさっぱり覚えられない。下手に自分の脳に絶大な自信があっ
た亜美だから、これで完全に自壊してしまった。結果。

 ・・・・・・・・・・・ぱす。

爺や5「すたーいく、すりー! ばったー、あうっ!」

 第1打席に引き続き、三振。しかも3球立て続けの見逃し。しか
しそんな自分の成績すら気にならないほどに、亜美はパニクッたま
ま3塁側ベンチに帰ってきた。意気消沈している彼女が気にかかる
のか、第2打者の8番バッターほたるがちらちらと亜美を振り返り
つつ、打席に向かう。そして沈みきっている亜美を迎える3塁側ベ
ンチ。心配そうに、先ずはうさぎが遠慮なく聞く。

うさぎ「亜美ちゃん、どうしたの? まさかっ始まっちゃったの!?」
みちる「レイちゃん、御願い。」
レイ 「らじゃ。」

 どごす。

美奈子「目標、沈黙。」
レイ 「ったく。我々には時間が無いのよ? お得意の吉本ボケに
    付き合ってる暇は無いの。」
まこと「まぁまぁ、うさぎちゃんだって悪気があってやってる訳
    じゃないんだから。」
はるか「これで悪気があったら王制打倒の革命を宮殿内から起こし
    てるよ。で、亜美。何があったんだ?」
せつな「そうです。第1打席であれだけ慎重に球筋を見据えられた
    貴女らしくありません。あんなに打ち頃の球だったのに?」

 悄然としながらも、ぽつりぽつりと打席で聞いた声に付いて話し
始める亜美。彼女らしからぬ要領を得ない抽象的な話になったが、
なにやら得体の知れない力が働いている事だけは伝わった。どよど
よ〜んとした雲を背負いながら、相談を始めるセーラーチーム。

はるか「・・・聞いたこともない力だな。」
みちる「それが、亜美ちゃんの言う通りに千影ちゃんの声なら、」
せつな「千影さんが操る力に、ほぼ間違いないのですが・・・」
美奈子「ねぇ、こう言ったのってレイちゃん専門でしょ?」
レイ 「わかんないわよ、そんな事。 確かに神社は人界の外の力
    についての専門機関だけど、人が操る力までは想定外よ。」
まこと「しかし結局は、声、なんだろう? だったら耳栓とか。」
みちる「甘いわね。記憶に残らない声、なのよ? 絶対に脳へ何ら
    かの作用を及ぼしているに違いないわ。」
はるか「耳から聞こえているわけではない、と言う事か・・・」
せつな「・・・厄介ですね。究極の囁き戦術ですか。」

 そう。バッターが打席に立ち集中力を増したところで、キャッ
チャーがぽつり、と話し掛ける一種の精神攻撃こと囁き戦術。バッ
ターが精神的に弱い場合には絶大な効果があり、かつリズムを崩す
事も出来るので凡打を誘いやすい。老練なキャッチャーなら相手を
任意に突き崩す事は容易い事だ。しかし、

うさぎ「でもでもぉ、それって千影ちゃんの声なんでしょ?」

 その通り。これが自分の背後に居る四葉が喋る声ならまだ納得が
行く。亜美にしてもそう易々と動揺されはすまい。なんと言っても
相手は自分たちより3つも4つも5つも年下の少女たちなのだ。何
を言われようが受け流すくらいの度量程度は流石に持っている。が、
今回はそうではなかった。マウンドにいるはずの千影。投球を終わ
ったばかりの千影が囁く声が、バッターボックスにいて聞こえる訳
が無い。そう思い、とても亜美の言う事が信じられなくなりつつあ
るセーラーチーム・・・だったが。

ほたる「ふぇっ・・・ふえぇっ・・・ひっく・・・ひっく・・・」

 泣きじゃくりながらほたるが打席から帰ってきたのを見ては、そ
う鷹揚に構えている訳にも行かなくなった。どうやらあっさり亜美
と同様の手段で料理されたらしい。オーロラビジョンのスコアボー
ドを振り返れば、丁度ストライク3つのランプが消え2アウト目の
ランプが点くところだった。慌ててヘルメットを引っつかみあみだ
気味に被りながら、ベンチからうさぎが飛び出していく。とるもと
りあえず、大事な愛娘へ優しく声をかける3戦士。

はるか「どうした、ほたる?」
ほたる「・・・声が・・・声が聞こえるの・・・」
みちる「・・・なんて言われたの?」
ほたる「・・・覚えてない・・・でも、とっても悲しい事・・・」

 外見は如何にも儚げな病弱美少女に見えるほたるだったが、これ
でギャラクシアに復活させられたネヘレニアにたった一人で立ち向
かう事が出来る(セラスタ編・最初のエピソード参照)くらいだから、
芯は強い。その彼女をして、たった3球で泣かせる「声」。仲間が
泣かされた事に憤る以前に、その精神攻撃の有効性に愕然とする
セーラーチーム。打つ手は無い・・・かに思えた、その時。

うさぎ「亜美ちゃんいじめた、ほたちゃんもいじめたーっ!」

 突然、打席方向から声が聞こえた。はっとして打席方向へ向く
3塁側ベンチ。ほぼ同時に

 きんっ!

 鋭い金属音が上がる。なんとうさぎがバットを振りきり、打球が
高く高く舞い上がるのが見えた。信じ難い事実。

レイ 「うさぎ!どうして!?」
美奈子「そんな、亜美ちゃんやほたるちゃんが打てなかったのに!」
せつな「・・・いえ、これでこそセレニティです。」
はるか「そうか。人の思いが掛かれば掛かるほど、失われた人の思
    いが大きければ大きいほど、彼女の力は増す。」
みちる「そんなセレニティに、囁き戦術なんか通用しないわ。」
まこと「やったな、うさぎちゃん! ほらほら亜美ちゃん!」
亜美 「えぇ。うさぎちゃん、ありがとう!」

 口々にうさぎを讃える3塁側ベンチ。そして打席に立っていた
うさぎは、それを聞くと嬉しそうに頷き、そして、





うさぎ「今のは、亜美ちゃんの分! さぁ来い、次!」





 と叫び、再びバットを振りかぶった。勿論、打席のまま。





   「だぁあああああ!」 どんがらがっしゃん

 思いっきり崩れ落ちる3塁側ベンチ。勿論、打席でバットを構え
るうさぎはそんな事は知っちゃあ居なかったりする。自分の目の前
に転がってきたボールを怪訝な顔で拾い上げた咲耶は、それをぽい
と1塁白雪へトスする。ぱす、とそれを受け取った白雪はぎゅっと
ボールを握ると、おもむろに1塁をちょんと踏んだ。これを確認し
た1塁塁審の爺や4が、

爺や4「アウト!」

を宣言した。

うさぎ「えー、なんで?どして?」
レイ 「こぉの、おばかー! 今まで試合を見てきたんじゃなかっ
    たの!? 打ったら走る! さんざか教えたでしょ!」(;_;)
うさぎ「えー? でもでもぉ、まこちゃんに連れてってもらった
    野球場って、打っても走らなかったよ?」
まこと「うさぎちゃん・・・アレはバッティングセンター・・・」(;_;)
うさぎ「・・・野球って、1コイン30球で打つものじゃないの?」
美奈子「ルールブック、全部読んだって言ってたじゃない。」(;_;)
うさぎ「うん! 面白いノンフィクションだったけど、あれ、何?」
はるか「・・・そもそもクィーンセレニティが普通の人だ、と考え
    ていた我々が間違っていた。そういう訳か。」(;_;)
みちる「したり顔で言わないでってばぁ。代えのメンバーは無い
    のよ? もう1回くらい、クィーンの打順が来るのよ?」(;_;)
せつな「クィーン・・・私は、こんな御方の為に、悠久の時間を…」(;_;)
うさぎ「まー、済んじゃった事は仕方ないって! さぁさぁ守るぞ!」

 あらゆる意味で常人を飛びぬけているクィーンセレニティの感覚
を前に、自分たちが背負う苦労と前途多難さに思いを馳せ、ただた
だ号泣するしかないセーラーチームであった・・・。

■5回表 終了 |1|2|3|4|5|6|7|8|9|− ■
■Sailors|0|0|1|1|0| | | | |2 ■
■Sisters|2|0|1|0| | | | | |3 ■
■      NEXT:花穂・白雪・衛 ◆ マウンド 美奈子 ■

しまった。ほたるちゃんの出番が少なすぎる(^^ゞ。 では。
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