後藤です

本スレッドは、アニメ「機動天使エンジェリックレイヤー(以下、AL)」
の設定を元に、「AL」「カードキャプター(以下、CC)さくら」、そ
して筆者の好みで「セーラームーン」のキャラクターで繰り広げる庶民派
SFちょっぴりアクションものな愛の劇場を、リレー妄想の形式でお送り
しているものです。そういうのがお好きな方だけ、お付き合いください。

なお、水野夢絵さんのご好意により、水野さんが開設されているネットニ
ュースアニメ作品別アーカイブ(略称CCSF)にて、「機動天使エンジ
ェリックレイヤー2nd」の過去記事が記事一覧付で掲載されています。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます>水野様

○CCSF
http://ccsf.homeunix.org/

○「機動天使エンジェリックレイヤー2nd」スレッド記事一覧
http://ccsf.homeunix.org/ccs/ccsF-list12.html#AngelicLayer2nd


☆本編☆
本記事はストーリー本編です。
ab4vsu$7mc$1@news.thn.ne.jpへのフォローの形式をとっています。

☆★せらむんショート劇場☆★
第11話『亜美ちゃん達の活躍』

☆第2回戦

ばきっ

「あっ…」

唐突に始まっていた第2回戦、亜美ちゃんの相手はお馴染みゲーセンのバ
イトのお兄さん、古幡元基でしたが、亜美ちゃんにはまるで歯が立ちませ
ん。亜美ちゃんの操るヘルメスの、芸術的とも言える動きに、妹の宇奈月
ちゃんの付き合いで遊び半分で始めた元基では、わずか1分、レイヤー内
に留まるのが精一杯でした。
#宇奈月ちゃんとの試合はいつにしようかな……なるちゃんの試合も考え
#ておかないと。

「あーあ、強いな、亜美ちゃん……」
「お疲れ様でした」

亜美ちゃんは対戦相手への労いの言葉を忘れません。
この一部始終を見ていた連中は、モティベーションが低下していたどころ
か、無礼にも元基の方を応援していたのでした。

「あーん、やっぱ負けちゃったよ…」
「もうちょっとだったのにぃ」
「……どこがもうちょっとなんだ」
「あたしも元基さんと対戦したいー!」
「あたしの方が先よー」
「みんな、亜美ちゃんの応援は……」

などと衛が口を挟もうものなら、一斉に反感を買ってしまうのでした。

「何よ」ぎろっ
「……いや、何でも……」

もちろん他の4人も順調でした。まこちゃんは優雅に、レイちゃんは何と
なく、そしてうさぎちゃんは鈍臭くも、順調に勝ち星を重ねていきました。
ただし、美奈子ちゃんはこのときの相手が3歳児であることなんぞおかま
いなしで、全く大人気ない試合をし、顰蹙を買っていたのでした。

「何よー、勝てばいいんでしょー!?」
「そういう問題じゃなくって……」
「相手は3歳の子供じゃないか。ひどいよ、美奈子ちゃん」
「かわいそー、わんわん泣いてたよー」
「な、何よ……勝ってナンボじゃ……子供だからって、関係ないんでしょ、
亜美ちゃん!?」
「え……ええ、年齢も身長も、関係……ない……わ……」
「亜美ちゃん、冷静にそんなこと言ってる場合じゃないっしょ」
「美奈子ちゃん、大人気ないわよ」
「いいわよ、あたし一人悪者にすればみんなそれで満足でしょ!?」
「みんな、もうよさないか……インターバルだし、軽く食事を……」

ところが、そう言う衛自身、そわそわと落ち着かなくなってきたのでした。

「……どしたの、まもちゃん?」

☆モニター室
いつものように大会の様子をモニター室で見ていたレイヤー社の面々は戦
況を占っていました。

「2大会に分けた甲斐がありましたね。熱いですよ」
「あの高1の水野亜美って娘、初出場とは思えませんね」
「でもあの娘は、ネットでは前評判高かった娘よね」
「動きに無駄がないな」
「自分も相手もよく見ています。眼鏡を着用しているようですが、すごい
動体視力ですよ。記憶力もよさそうだし」

いっちゃんは早くも全国大会のことを考えていたりしました。

(苦労しそうやで……どうする、チャンピオン……)

彼女がみさきちと対戦したら……?期待半分、不安半分な心境でした。

「どうやら、あの娘が実力ナンバーワンらしいな」
「あの背の高い、ポニーテールの娘もなかなかの実力者と見ましたよ」
「あの黒髪の娘はどうなんでしょうね」
「ちょっと軽そうじゃないか」
「軽いと言えば、変な髪型の娘がいたわね」
「ああ、エントリーのときにあの懐かしのアニメの決め台詞を言ってた娘
ね」
「受けてましたね」
「いや、ああいうのが場数を踏んだら力を発揮するんじゃないかなあ」
「パンチ百連発の娘もすごかったけど、如何にもアーケードゲームでなら
してるって感じでしたけど……」
「あの、ショートカットの小学生はどうなんだろう?」
「2回戦で、いきなり翼を生やしてましたけど。すごかったですね。只者
ではないですよ」
「衣装もど派手でしたね。勝ち抜いていくごとに衣装替えがあるんでしょ
うかね?」
「うーん、何となくみんな残りそうな気がしてきた」
「でも、関東大会進出者は4人ですよ」

そこへ、何らかの用事で離席していた尾形くんが入ってきました。どうや
ら、重要なことをいっちゃん達に告げに来たようです。

「い、いっちゃんチーフ、大変です!」
「何や」
「実は……」
#AL2第15話のシーンにつながります。

☆インターバル
インターバルの間に、軽い食事をとろうということになって、まこちゃん
のお弁当をパクついています。
亜美ちゃんはこのとき、連中のモティベーションが明らかに低下している
ことに気づいていました。必死になってその気にさせようとしますが、み
んなお気楽な様子。せっかく亜美ちゃんが、対戦相手のデータを分析して
みんなに情報公開してあげているのに、うさぎちゃんにいたっては、右か
ら左へとあみちゃんの言葉が通り抜けているかのようで、亜美ちゃんはと
ても心配になりました。

「おいしい」
「やっぱ、まこちゃんのお弁当よね」
「試合前だから、あまり食べ過ぎないようにね」
「えー、いいじゃん」
「だいじょうぶだって。レイヤーって運動じゃないんだから」
「あー、また亜美ちゃんのことだから、『食べ過ぎると満腹中枢が刺激さ
れて眠気を催すから、試合に影響するのよ』とか、言うんだ」
「な、なんで口真似するの……それに、満腹中枢じゃなくて……」
「はいはい、難しい話はここまで」
「堅い話は抜きよね。昔から言うでしょ、『人の食い意地を邪魔する奴は
馬に蹴られて痛かった』って」

 しーん……

「あ、あれ?違ったっけ?」
「ぜんぜん違うんだけど……」
「馬に蹴られたら、痛いどころの話じゃないよ、美奈子ちゃん」
「えー、うさぎちゃんにまで言われたー」

いつもなら亜美ちゃんが美奈子ちゃんのボケに突っ込むところですが、と
てもそんな気分にはなれないのでした。ならば、年長者の衛がその代わり
を……と行きたいところですが、実は衛も心ここにあらずで、時間ばかり
を気にしていました。
そうこうしている間に、短いインターバルも終わり、軽い食事を済ませた
亜美ちゃんは次の試合に臨むのでした。
亜美ちゃんが席を離れたすぐ後、衛が立ち上がりました。

「あれー、衛さん、どこ行くの?」
「ちょ、ちょっと、トイレ……」
「あ……そう……」

衛もその場を離れました。

「またトイレか?」
「3回目だよね……」
「え?そうなの?」
「なんかおかしいよね」
「怪しいわね。さっきは迷ったとか言ってたけど、時間かかり過ぎじゃな
い?」

☆第3回戦対戦表
席に戻る前に、対戦表を見ておこうということになりました。

「あー、あたし次、元基さんとだー」
「えー、いいなあ」
「えーと、亜美ちゃんは…………」

その対戦相手の名前を見た、うさぎちゃん以外の3人は絶句してしまいま
した。

「ねえねえ、どうしたの?みんな、知ってるの?」
「あんたねえ……あたしたちにしてみれば、こんな偽名、バレバレでしょ!?」
「えー、わかんなーい」

対戦相手の名前は「月影」と書いてあったのでした。

☆第3試合

「イーストコーナー、エンジェル・ヘルメス!デウスは、今大会、3試合
目にして早くも会場の注目を一身に集めています、水野亜美!」

事前に対戦相手の名前をチェックしておいた亜美ちゃんには、もうその正
体が誰であるのか、考察無用なのでした。いや、亜美ちゃんには、それ以
前の衛の様子から、彼もALに隠れて出場していたことを察知していたの
です。

(いくら試合用のレイヤーが複数用意されているからって……いずれ判っ
てしまうのに……)

衛は、偽名を使ってこっそり出場していました。幸いにも前の2試合は別
会場で行われていたために、うさぎちゃん達には気づかれなかったのです。

「ウェストコーナー、エンジェル・オファニエル、デウスは月影!」

さすがに、いくらボケボケのうさぎちゃんでも、この見え見えの変装に気
づかないわけがありませんでした。

「……」
「盲点だったわね」
「逆にすごいぞ。衛さんが今まであたし達に気づかれずに試合をやってた
んだからな」
「てゆーか、今まで気づかなかったあたし達の方がおバカかもね」
「まもちゃんの、ばかーーーっ!!
……でも、かっこいいかも(うっとり)」

どんがらがっしゃん

「このおバカ!やっぱ、おバカはあんただけよ!」

さすがの衛も、まさか亜美ちゃんと当たることになるとは予想だにしなか
ったのでしょうか。

(しらばっくれよう……)

彼のとった態度は上記の通りでした。
しかし、同時に亜美ちゃんも、自分達に、うさぎちゃんに隠れて出場して
いたのには何か訳があるのだろう、ならば敢えて正体を明かすようなこと
は避けるべきであると考えました。

(でも、みんなにだって判ってしまうわよね……)

司会者の合図と共に、試合開始。両者とも、素早い動きを見せます。ヘル
メスの攻撃がなかなか当たりません。さすがはタキシード仮面。自分では
妖魔やダイモーンを退治せずに、気障な登場をしては相手にスキを与える
だけの、あまり大した役には立っていない役どころのくせに、女の子に好
印象を残しておいしいところだけいただいて去っていく姑息で卑怯なな戦
法です。

「甘いぞ、このオファニエルには全てお見通しなのだ」

加えて大部屋役者のようなベタな台詞回し。並みの人間ならここでやる気
をそがれるところでしたが、亜美ちゃんには全てお見通しでした。わずか
十数秒でエンジェルの動きを見切り、激しい攻撃をかけてきます。オファ
ニエルの劣勢が明らかになってきたところで、ヘルメスの大技が炸裂。

「しまった!!ローリング・サンダー!?」
「決まったーーーっ!!」

試合は、あまり歯ごたえのないものになってしまいました。

「ふう……」
「お疲れ様でした、衛さん」
「あ……い、いや、その……」
「もういいですよ。きっとうさぎちゃん達にもばれてます」
「そ、そうだな……」
「衛さんも出場するのなら、一言言ってくれれば……」
「あ、ああ……実は……」

衛は、亜美ちゃんなら判ってくれると思い、全てを話しました。元基と賭
けをしてしまい、今更後には引けなくなってしまったことを。
しかし、うさぎちゃんにはこっぴどく叱られてしまい、以降の試合を辞退
せざるを得なくなりました。
ちなみに、他の4人も勝利をおさめました。
#だんだんいいかげんになってきてます。ごめんなさい

☆第4回戦対戦表
そのうさぎちゃんは、第4回戦の対戦表を見て、体が凍り付いてしまいま
した。

「えーと……あたしは……
どしぇーーーっ!!
……来てたんだ」
「……が、頑張ってね、うさぎちゃん……」

うさぎちゃんにとっては、全く予想外の人物でした。

【第11話 終わり】

#この時点で衛を出してしまったことが、ネタに詰まっていたことをよく
#物語っているのですが……ごめんなさい。
#賢明なせらむんファンなら、うさぎちゃんの次の対戦相手はもうお分か
#りのことでしょう。勿論、ちびうさではないです。

次回から、亜美ちゃんの試合+誰か、という形式にします。

☆★機動天使エンジェルックレイヤー2nd☆★
第17話『さくらと小狼の動揺』

☆モニター室

 ばたん

「はあ……はあ……」

罰ゲームから尾形くんが戻ってきました。疲れきっています。相変わらず
律儀に罰ゲームを実行にうつしていても、誰も見ていてくれるわけでもな
いのに。

「遅いで、オガタ」
「急いで。これから6人をどうやって選考するか、緊急会議よ」
「は、はあ……」

結局オガタくんのアイディアそのまんまだったのに、罰ゲームをやるはめ
になってしまった、可哀想なオガタくんでした。

「そ、そんな!ひどいじゃないですか〜」
「やむを得ない事情や」
「ボクの罰ゲームは……」

☆某少女の第3回戦

「しまった!!ローリング・サンダー!?」
「決まったーーーっ!!」

3回戦を控えていた珠代ちゃんが、虎太郎とともにとある試合を見ていま
した。

「げーっ、ローリング・サンダー、しかもちょっとアレンジ入ってる」
「すごいな、あの人、パワーは大したことなさそうだけど、技、スピード、
戦術・戦略に加えて闘志、全てが上をいっている」
「まいったなあ、さっきの小学生もそうだけど、あんな人と当たったら、
太刀打ちできないよ」

同じように、その試合を遠くから見ていた人物がいました。

「……」

彼の視線は、一人の女性に注がれていました。今しがた試合の決着をつけ
た、ショートカット、メガネのセーラー服美少女。彼の目はその美少女の
姿に釘付けになりました。
彼は、この日この美少女の姿を初めて目にしました。いつか、とあるデパ
ートで、みさきちを初めて見たときのように、彼の胸はぎゅーっと締め付
けられるような痛みを感じました。

(まただ……この感じ……)

体は、自然と彼女のいる方角に向かおうとしていたのでした。
#特訓はどうなったんでしょうか?

☆鳩子ちゃんインタビュー

そのとき鳩子ちゃんは、雑誌のインタビューを受けていました。質問が、
今大会注目している選手についてのコメントに及んだちょうどそのとき、
鳩子ちゃんの視線には、今しがた試合を終えたショートカット、メガネの
セーラー服美少女の姿がありました。もちろん鳩子ちゃんにとって彼女は
注目すべき選手の筆頭に挙がっていました。
話しながら、インタビュアーの視線も、自分と同じ方向に向けようとする
鳩子ちゃん。しかし、そのさらに先には、さっきまでみさきちに熱い視線
を投げかけていた彼がいました。

(あいつ、さっきの……)

鳩子ちゃんにも、事態は飲み込めていました。

(とんでもないわ。女の子なら、誰でもいいのね。許せない)

ますます、みさきちは自分が守らなくては、という気になっていく鳩子ち
ゃんなのです。

☆お着替え
第4回戦を間近に控えて、知世ちゃんはさくらちゃんに、コスチュームを
着替えるように言います。

「次は、この衣装を着ていただきたいのですが」
「え……また、着替えるの?」
「はい」

例によって、コスチュームのど派手さがどんどんエスカレートしていく知
世ちゃんのセンスですが、この日の2着目は、未だに某埋立地でも見かけ
るほど根強い人気の、ロボット物の戦闘服のようですが、知世ちゃんは何
故か下着も脱ぐようにと言います。

「この服は、肌に密着するようにデザインしたものですわ」

事情が飲み込めないさくらちゃんですが、どんなことがあっても、知世ち
ゃんのいいなりなのです。

「それから、これを」

そういって渡したのは、なぜか魔法の杖でした。

「……な、なんで!?」
「魔女っ子の必須アイテムですわ」
「だって、レイヤーだよ!?」
「さくらちゃんが、いつもの鍵をお持ちでないので、寂しいと思ってご用
意しました」
「寂しくなんかないんだけど……」

もちろん、「寂しい」と思ったのは知世ちゃんなのです。知世ちゃんは、
熱い視線をますますさくらちゃんに注いでいくのでした。

「……さくらちゃん」
「ほえ?」
「この先、どんなことがあっても、私だけはさくらちゃんの味方ですわ」
「え?……う、うん、ありがとう」

口ではこんなことを言っておきながら、まんまとせしめたさくらちゃんの
脱ぎたての下着を握り締めて、これは自分のコレクションに、と企んでい
たのでした。

「さ、もうすぐですわ。落ち着いて」
「うん」

こうして、次の試合に臨むさくらちゃんでした。

【第17話 終わり】

そろそろ、両者の接点を増やしてみようと思いました。ただ、今後も別の
視点から描いていくということで、せらむん、AL2と2本立てで行こう
かと思います。うーん、でも前半の方が長くなってしまうなあ。
最後は定番のさくらちゃんコスチュームお色直しで括ってみました。杖を
持たせたのは、知世ちゃんの裏工作でもよし、単に趣味の問題で持たせた
でもよし、自由な解釈ができると思います。
そういえば、再燃した苺鈴ちゃんの恋はどうなったんでしょうか?

☆おまけ編☆
某少量番組のパロです。
AL2とは全く関係ありませんし、また続くという保証もありませんので。
久川キャラか小野坂キャラが出てこないと、無理があるんだろうな、きっ
と。

☆カードキャプターちぃ
第1話「ちぃ カードばらまく」

都内のとあるボロアパート。ちぃは本須和の本棚から、1冊の古い本を見
つけました。本須和が、志望校で考古学を研究している教授の研究室の手
伝いをしているときに、教授からもらったものなのです。ちなみに、某教
授には小学生の娘がいました。チアリーディング部に所属していましたが、
いたずら好きで、バイトをしていたときにもさんざん邪魔されました。
#某温泉ものと某札収集ものが混じっていると感じるのは気のせいです。

「ち?」

初めて見る装丁。背表紙には「THE CLOW」と書いてありました。
普通の本と違って、鍵がかかっているため、開きません。今までに学習し
た「本」の概念からはずれています。

「開かない」

無理にこじ開けようとしたら、鍵の部分が壊れて、本が開きました。中に
はカードが入っていました。そのうちの1枚を取り出して、書いてある言
葉を読もうとします。

「昨日、秀樹が勉強してた……WINDY……」

偶然にも手にしたその1枚が、ちぃの発したその一言に反応して、ちぃの
足元には魔法陣が現れます。そして、他のカードを一斉に撒き散らしてし
まいます。

「ちー」

カードは天井を突き抜け、勝手に四散してしまいましたが、ちぃは目でそ
れを追いかけるだけで、あまり気にも止めていませんでした。
そして……本からはさらに「何か」が出てきました。その「何か」とは、
何らかの生き物のようにも見えるし、ぬいぐるみのようでもあるのですが、
何せちぃには「生き物」といったら猫か犬か鳥など、身近に見られるもの
しか認識していませんし、「ぬいぐるみ」というものが何であるかは当然
学習していません。そうこうしているうちに、その「何か」から言葉が発
せられました。

「こにゃにゃちわ〜」
「ち?」

その正体が何であるか、判断できないちぃ。唯一発せられたその言葉から、
とりあえず指を差して

「こにゃにゃちわ」

と命名してしまいます。その生き物は、挨拶を返してきたものと勝手に解
釈して畏まってしまいます。

「あ、こらどうも。わいはケルベロス、封印の獣や」

しかし、ちぃが無理に本をこじ開けたことを思い出し、急にむかついた態
度をとります。

「……って、そんな挨拶しとる場合やあらへん。
こらこら、何で無理にこじ開けたんや!?」
「ち?」
「この本にはな、クロウカードっちゅう魔法のカードが封印されとったん
や。わいはそのカード達の番人をしていたんやで。それを……」
「ちー」
「……ほんま、わかっとんのかいな」
「ちぃ、わかった」
「……しかし、よう開けられたな。鍵が錆付いとったから脆かったんやろ
か?それとも……」
「ち?」
「おまえ、名前は?」
「ちぃ」
「ちんけな名前やな。まあええ。これから契約するさかい」
「契約?」

ケルベロスは不安ながらも、ちぃに封印の鍵を与えるための契約を行いま
した。そしてちぃに、この世に災いが起きないよう、残りのカードを集め
るようにいいます。

「ち?」
「わかったか?」
「……こにゃにゃちわ」
「……何か、ダメダメやな。こんなんで、大丈夫なんやろか」

その一部始終を、開いたドアのわずかな隙間から、ずっと撮影していたこ
のアパートの管理人さんの姿がありました。もう一方の手には、描きかけ
の絵本を彩色するための筆(注:原作ネタバレ)と、自分のお古の服を持
って、今度はちぃちゃんにこれを着てもらおうと。まるで某黒髪美少女み
たい。
そんなことをしている間に、本須和がバイトから帰ってきました。

「ただいま」
「おかえりなさい」
「……げっ」
「……ちぃ、な、なんだ、そのぬいぐるみは!?」
「わいはぬいぐるみやない!」
「しゃべった……」
「あたりまえや。わいは……」
「わかった、これもパソコンか!」
「……」
「最近のパソコンは、空も飛べるのか」
「いや、だから……」
「こにゃにゃちわ」
「ん?なんだ、ちぃ?」
「これ、こにゃにゃちわ」
「……そういう名前なのか」
「ちゃう!わいは……」
「後で新保か稔くんに聞いてみよう。何かわかるかもしれない」
「こにゃにゃちわ」
「ちゃうねんて!」
「しかし、誰の持ち物なんだ、このパソコン?」

【終わり】

#こちらは、ご自由にどうぞ。もちろん、このまま終わらせるのもあり。

それでは、また。

--
s.goto