石崎です。

現在はNetNewsをお休み中の藤森さんによるカードキャプターさくらの
妄想小説の続きです。
アニメを題材とした二次小説が好きな方のみ。

全文で約2,000行程ありますので、以下の4つの記事に分けて投稿します。
この記事は、おまけのエピソードです。

・アニメ版妄想小説No.11『さくらと鏡と凸レンズ』(Aパート)
 <a44o2f$1od$1@news01dj.so-net.ne.jp>からお読み下さい

・アニメ版妄想小説No.11『さくらと鏡と凸レンズ』(Bパート)
 <a44oif$bk8$1@news01di.so-net.ne.jp>からお読み下さい

・アニメ版妄想小説No.11『さくらと鏡と凸レンズ』(エピローグ)
 <a44pom$7g6$1@news01ch.so-net.ne.jp>からお読み下さい。

・おまけエピソード 『さくらと知世のクリスマス』
 この記事です。


それでは、藤森さんの妄想小説の続きをお楽しみ下さい。


(以下、藤森さんのメールより)


●おまけエピソード 『さくらと知世のクリスマス』

空を飛んで太陽光線を集めて攻撃してくる巨大凸レンズと鏡との戦い、
破壊しても再生する動く手摺との戦いから数日後・・・今日はクリスマスイブ。

木之本家でもささやかなクリスマスパーティーとプレゼント交換が
予定されていますが、いかんせん今年のイブは平日です。
大学教授である藤隆お父さんはもちろん学校に行っていますし、
桃矢兄ちゃんは書き入れ時のケーキ屋さんで夕方からアルバイト。

二人とも夜遅くなってしまいそうなので、
クリスマスのお料理当番は必然的にさくらちゃんとなりましたが・・・

「まあ、それではクリスマスイブは夜まで時間があるのですね?」
「その日は、私は早く帰って晩ご飯作らないと・・・」
「料理はわたくしが用意いたしますから、
 ぜひわたくしの家にいらしてください。あ、ケロちゃんも一緒に。」
「で、でも・・・」
「だめですの?(うるうる)」

知世ちゃんにうるうるお目々で懇願されては、
さくらちゃんには断ることなどできません。
たとえ、行けば知世ちゃんのプレゼント攻撃とビデオ撮影攻撃が
待っていることがわかりきっていたとしても。


・・・というわけで、さくらちゃんは夜までの約束で
大道寺家のクリスマスパーティーにお呼ばれしています。
といっても、おもちゃ会社社長の園美お母さん自身が
クリスマス商戦と年末年始商戦の販売戦略会議のため家にいませんので、
知世ちゃん演出による個人パーティーなのでした。

「おう!来たで〜っ!」
「こんばんわ、知世ちゃん。お招きありがとうございます。」
「いらっしゃい、さくらちゃん、ケロちゃん。
 今日はわたくしだけですので、お気軽になさってくださいな。」
「ほえ?知世ちゃんのお母さんも、メイドさんもいないの?」
「母はまだ会社ですわ。それと、ケロちゃんがいらっしゃいますので
 メイドさんには別室で待機していただいています。」
「知世ちゃんのお母さん、相変わらず忙しいんだね。」
「んなことより、ケーキや、ケーキぃ〜っ!」
「はいはい。」

さくらちゃんとケロちゃんを自分の部屋に案内する知世ちゃん。
知世ちゃんの部屋はクリスマス風に飾り付けられており、
クリスマスツリーがないと思ったら窓の外の杉の木に電飾が施され、
巨大なクリスマスツリーとなっていました。
そして、部屋の中央には大きなテーブルが出されていて、
様々な料理が並んでいます。

「こ、こんなに食べられないよう!
 それに、この後私の家でもパーティーがあるのに・・・」
「余ったお料理は全てお持ち帰りで、
 さくらちゃんのお家のパーティに出せば大丈夫ですわ。」
「わいがおるんやから、大丈夫や!」

どんと胸を叩くケロちゃんを見て呆れ顔のさくらちゃん。
いつも思うのだが、どう見てもケロちゃんは自分自身の体積よりも
たくさん食べている。いったい体のどこに入るのだろう?

「えと、知世ちゃん、これ、クリスマスプレゼント・・・」
「まあ!さくらちゃんに来ていただいただけで充分ですのに!」
「ちょっと時間が足りなくて、簡単な物になっちゃった。」
「さくらちゃんからいただける物でしたら、何でもわたくしの宝物ですわ。」
「・・・(汗)」

さっそく料理を平らげ始めたケロちゃんをよそに、
おずおずとさくらちゃんが差し出したのは、
一応リボンが付いている小さな紙袋に入ったプレゼント。
知世ちゃんが感激しながら開けて見ると、一見してさくらちゃんの
手作りとわかる、ハンカチともスカーフともつかないようなレース付の布。
それに、簡単な刺繍と知世ちゃんのイニシャルが入っていました。

その大きさと手触りから、これはスカーフだとわかった知世ちゃんは、
さっそく自分の首に巻いてみます。

「ありがとうございます!大切にいたしますわ!」
「もっと時間があれば、毛糸でマフラーを編んでみたかったんだけど・・・」

これをスカーフだと判断したものの、
少し自信がなかった知世ちゃんもさくらちゃんの様子を見て一安心。
知世ちゃんの手にかかれば、どんなスカーフでも襟巻きでも美しく着こなす
自信がありますから、少々つたないとはいえさくらちゃん手作りの品は
本当に嬉しいものだったのです。

「わたくしからのプレゼントは、帰る時のお楽しみということで・・・」

コンコン!

「あら?どなたかしら?
 メイドさんには呼ぶまで来ないように言ってありますのに。」

いきなりドアがノックされたため、ケロちゃんは口一杯にほうばった料理を
慌てて呑み込んで、テーブルの上でぬいぐるみのふりをします。
それを確認して知世ちゃんがドアを開けると、
そこには園美お母さんが立っていたのでした。

「ああっ!さくらちゃ〜ん!いらっしゃ〜い!」
「ほえ〜っ!」

知世ちゃんの部屋の中に走り込んで、
いきなりさくらちゃんに抱き付いてしまう園美お母さん。

「お、お母様、今日は遅くなるっておっしゃっていたのでは・・・?」
「だってぇ〜。さくらちゃんが来るって聞いて、
 いても立ってもいられなかったんだもの。」

園美お母さんはさくらちゃんのほっぺたに
自分のほっぺたをすりすりしながら、苦しい言い訳をします。

「だから、会議を途中で抜け出して来ちゃった。(てへ。)」
「お母様・・・(ふう。)」

片目をつぶって舌を出した母の姿に溜め息をつく知世ちゃん。
結局、自分の娘のためよりもさくらちゃんのために来てくれた母が嬉しいのだ。
自分でもおかしいとは思うが、嫉妬の感情はさくらちゃんに
ほっぺたすりすりしている母がうらやましいという程度にしか感じない。

(うぐぐ・・・)
「?」

知世ちゃんがふとテーブルの上を見ると、どうやら慌てて呑み込んだ料理を
喉に詰まらせたらしいケロちゃんが目を白黒させながら脂汗をかいている。
「動くぬいぐるみ」程度なら大道寺TOYSでも扱っているから
ごまかしようがあるが、さすがに「汗をかくぬいぐるみ」はごまかせない。

「わ、わたくしは次の料理の準備をしてまいりますわね。」

さくらちゃんに合図をしてから、
さりげなくケロちゃんを持って部屋を出て行く知世ちゃん。
知世ちゃんの演技も、かってケロちゃん曰く「アカデミー賞もん」の
演技からさらに数段パワーアップしており、園美お母さんに
全然気付かれずにケロちゃんを部屋から連れ出すことに成功したのでした。


*三つ子の魂

「そうそう!さくらちゃんへのプレゼント、いっぱい持ってきたのよ!」

思いっきり抱き締められたさくらちゃんがのぼせた頃、
ようやくさくらちゃんを開放して部屋の入口に放り出していた
プレゼントの袋を持ってくる園美お母さん。
社長権限で会社から開発中の物まで持ち出してきたのです。

「さくらちゃん、ゲームが好きだって知世から聞いたから、私の会社から
 この冬発売の最新ゲーム機とゲームソフトを全部持ってきたわ。」
「ほ、ほえ〜っ!こ、こんなに・・・」
「ほんとは、私の会社のおもちゃを全部あげたいくらいなんだけど・・・」
「と、とんでもないです!」
「さすがに持ち切れなかったから。ゲームなら、あんまりかさばらないし。」
「あ、ありがとうございます・・・」(・・・ケロちゃんが喜びそう。)

大きな袋の口を開けて覗き込み、嬉しそうな顔をしているさくらちゃんを見て
にこにこしている園美お母さん。

「喜んでもらえて嬉しいわ。うちの知世もねえ・・・」
「ほえ?」
「知世も、小さい頃は私が会社から持ってきた着せ替え人形や
 ぬいぐるみをとっても喜んでくれたのに・・・」

園美お母さんは、知世ちゃんがいないので、
少しさくらちゃんに知世ちゃんのぐちをこぼしてしまいます。

「いつのまにか、人形の服を自分で作ったり、
 ぬいぐるみを自分で作るようになってしまって。」
「・・・」
「せっかく私がおもちゃ会社にいるのに、自分の娘におもちゃや
 お人形じゃなくて、手芸用品だとかミシンだとかをねだられるのよ?
 ぜ〜んぜん、はりあいがないじゃないっ!」
「・・・そ、そうですね。」

(知世ちゃんって、ちっちゃな頃からお洋服を作ったりしてたんだ・・・)

三才くらいの知世ちゃんが、ちくちくとたどたどしい手つきで
お人形の服を縫っているシーンを妄想するさくらちゃん。
自分で作った服をお人形に着せてはクレヨンで絵に描き、
また着せ替えては絵に描き移しているちっちゃな知世ちゃんの姿が
容易に想像できたさくらちゃんは思わずくすくす笑ってしまいます。

「今では、さくらちゃんが着る服を作っているんですって?」
「え、あ、はい。」
「あの子がお人形に作ってあげてた服って、
 すんごい派手な服が多かったけど・・・
 さくらちゃん、あの子が作る服が気に入らなければ、
 無理に着なくてもいいのよ?」
「いえ!知世ちゃんの作る服、とってもかわいいし、ステキです!
 私、知世ちゃんの作る服が大好きです!」
「そう・・・なら、いいんだけど。」

思わず知世ちゃんを弁護するさくらちゃん。
知世ちゃんの作るバトルコスチュームは派手だが、かわいい服であるのは
間違いないし、さくらちゃんが知世ちゃんの作る服が好きなのも確かなことだ。
もちろん、着るのは少し恥ずかしいのだが・・・

「私も、こうしておもちゃを『作る』仕事をしてるわけだし、
 知世も『作る』のが好きなのは、やっぱり血筋なのかしらね。」
「お母さんの、血筋・・・」

そう言えば、さくらちゃんのお母さんはモデルの仕事をしていた。
血筋から言えば、さくらちゃんも『いろんな服を着る』のと、
『撮ってもらう』のが好きということになりそうだ。
さくらちゃんが恥ずかしいと思いながらも知世ちゃんの作った服を
着るのを断れなかったり、ビデオに撮られるのを断れないのも、
本当はそれが好きだからかもしれない。

・・・こんな話をしている内に、知世ちゃんのプレゼントが
超ど派手な服なのかもしれないと気になり出したさくらちゃんは、
そわそわと落ち着かなくなってしまうのでした。


*ケロちゃん専用クリスマスケーキ

部屋から外に出て、ケロちゃんの背中をポンポンと叩いてやる知世ちゃん。
ようやくケロちゃんは喉に詰まった料理を呑み込むことができるのでした。

「う・・・うぐっ!ぷはあ〜っ!知世、助かったで。」
「よかったですわ。ついでに、お約束のケロちゃん専用
 クリスマスケーキをお出ししますわね。」
「それや!どうもなんか足らへんと思とったら、ケーキがなかったんや!」

喉に詰まらせるほどさんざん料理を食べ散らかしておいて、
まだ食べる気満々のケロちゃん。
元々、今日来たのは先日の巨大凸レンズと鏡の事件の時に約束した、
「ケロちゃん用の大きなクリスマスケーキ」を食べるためだったのですから。

「それでは、オーブンで暖めなおしてまいりますので、
 少々こちらのお部屋でお待ち下さい。」
「へ?お、オーブン?」

スポンジケーキの土台ならオーブンで焼くだろうが、
完成したケーキをオーブンで暖めなおす?
知世ちゃんが用意したケーキに一抹の不安を覚えたケロちゃんを
自分の別室に押し込んで、知世ちゃんはキッチンへと向かうのでした。

*

「お待たせいたしました!」

ケロちゃんが不安な気持ちのまま待っていると、ドアを開けて入ってきたのは
ドーム状の金属の蓋がお皿の上に乗ったワゴンを押す知世ちゃん。
半球状の巨大な金属のボールのようなものを知世ちゃんが持ち上げると、
中から湯気を立てた巨大な物体が現れます。

「こ、こりゃ・・・」
「おほほっ。」

それは、直径三十センチ級の三段重ね巨大お好み焼き。
段と段の間には生クリームの代わりに焼きそばが挟まれ、
一番上にはたこ焼きが丸くトッピングされていて、
マヨネーズが生クリーム代わりに塗られている。
そして、真ん中にはソースで「Merry Christmas to KERO!」と書いてあった。

これを見て、だらだらとよだれを垂らすケロちゃん。
しかし、知世ちゃんにちょっと文句をつけてみます。

「・・・ものごっつうおいしそうやしとってもうれしいんやけどな、知世・・・
 クリスマスケーキっちゅうのとはちょっとイメージがかけ離れとらんか?」
「お気に召しませんか?」
「いや、気に入らんっちゅうわけやないんやけどな・・・」
「もちろん、生クリームとイチゴのケーキもありますわ。
 これを食べ終えられたら、デザートとしてそちらもお食べ下さい。」
「そ、そやったんか!ほなら、遠慮なく・・・」
「それで、またケロちゃんにお願いがあるのですが・・・」

舌なめずりをしながらナイフとフォークを手に、巨大お好み焼きケーキに
いどもうとしているケロちゃんになにやら耳打ちする知世ちゃん。
この部屋にはケロちゃんと知世ちゃんしかいないので、
ヒソヒソ話にする必要はないのですが、これは気分の問題です。

(・・・ひそひそ・・・)
「なんや、そんなことなんか!まかせとかんか〜い!」
「お願いしますね。それでは、わたくしは準備をしてまいりますので。」
「いっただっきま〜す!」

こうして、部屋を出て行く知世ちゃんをよそに、
ケロちゃんはむさぼるように食べ始めるのでした。


*知世のクリスマスプレゼント

「知世ちゃん、遅いな・・・」
「ほんと。何しているのかしら?」

園美お母さんと二人で、料理をつまみながら
知世ちゃんを待っているさくらちゃん。
知世ちゃんが用意しているプレゼントがどんなものなのか
気になるさくらちゃんは、さっきからもじもじ、そわそわ。
しかし、園美お母さんの方は落ちついて料理を食べながら
さくらちゃんに熱い視線を送っています。

(ああ、さくらちゃんと二人っきり・・・
 知世、もう少し遅くてなってもいいわよ。)

ぷるぷるぷる・・・(<PHS着信音)

「んもう!せっかくさくらちゃんと二人っきりなのに!」

もちろん、その電話は社長に重要な会議を抜け出されてしまった会社から。
しばらくけんか腰で相手とやり取りしていた園美お母さんですが、
溜め息をつくと電話を切ります。

「はあ・・・私がいないと、なんにも決められないんだから!
 まったく、うちの会社の男共ときたら・・・」

コンコン!ギィ〜ッ。

「お待たせいたしました。」

ちょうどその時、大きなクリスマスケーキを乗せたワゴンを押して、
知世ちゃんが入ってきます。
まるでウエディングケーキのように大きいイチゴと生クリームのケーキですが、
なぜか半分しかありません。

「ごめんなさいね、さくらちゃん。
 私は会社に戻らなくちゃいけなくなっちゃったの。
 でも、ゆっくりして行ってね。知世、さくらちゃんのことをお願い。」
「はい。おまかせください。」

会社の重役に泣き付かれたらしい園美さんが名残を惜しみながら出て行くと、
今度は知世ちゃんがさくらちゃんの相手をします。
知世ちゃんが大きなケーキをさくらちゃんに切り分けようとすると、
もう時間が時間なのでさくらちゃんは首を横に振って断るのでした。

「私、そろそろ帰らないといけないんだけど・・・」
「まあ!もうそんなお時間ですの?おなごりおしいですわあ。
 それでは、余った料理は全部お持ち帰り下さいな。」
「で、でも、こんなに持って帰れないよう。」
「それはおまかせください!そして、いよいよわたくしのプレゼントを
 さくらちゃんに着ていただきたいのですが・・・」
「や、やっぱり、服なの?」
「おほほっ。さあさあさあ。こちらですわ。」

内線電話で呼び出されたメイドさんが手早く料理やケーキを箱に詰めている間に、
知世ちゃんはさくらちゃんの手を引き、隣の部屋へと連れ込みます。

「じゃ〜ん!これが、本日のメインですわ!」
「こ、これって・・・(汗)」

知世ちゃんがさくらちゃんに差し出したのは、
真っ赤な布地に白のアクセントがある服。
それは、まさしくサンタさんの衣装そのものだったのです。

まさかトナカイに乗れとは言われないでしょうが、
これを着て帰るのはさすがに恥ずかしい。
それでも、目をキラキラさせている知世ちゃんを見ると、
とても断れそうもないさくらちゃんなのでした。

(お兄ちゃんも、サンタさんの格好でケーキを売るって言ってたっけ・・・)

クリスマスイブの今日なら、サンタクロースの格好をしていても
それほど恥ずかしくはないかもしれない。
とうとう観念したさくらちゃんは、仕方なくこの衣装に着替えるのでした。

*

「ああっ!やっぱり、さくらちゃんに超絶お似合いですわあ!」

さっそくサンタクロース風さくらちゃんを撮影している知世ちゃん。
さくらちゃんのお姿は本物のサンタさんとは異なり、
某「マンガ本付フィギュア レイ&アスカ」に近く、
もちろんミニスカートである。
恥ずかしさで赤くなったさくらちゃんが元いた部屋に戻ると、
たくさん残っていたお料理はもうどこかへ片付けられていました。

「こちらですわ。さくらちゃん。」
「ほえ?」

知世ちゃんが次にさくらちゃんを案内したのは、大道寺邸の中庭。
そこには大きなそりが用意されていて、その上には大きな白い袋と
リボンのかけられた大きな箱がいくつも乗せられていました。

「遅かったやないか!さくら!」
「ほえ〜っ!け・・・ケロちゃん?」

そのそりを引いているのはトナカイならぬトナカイのコスプレをした、
真の姿に戻ったケロちゃん。
頭に大きな2本の角を付け、顔には丸い赤鼻、首には鈴、
背中には羽を出す穴の開いた赤い鞍を乗せています。

ケロちゃんの口の回りやひげにはソースにマヨネーズ、青海苔に
生クリームまでくっついていて、何を食べていたのかすぐわかる。
どうやら、さすがのケロちゃんも小さな仮の姿のままでは
巨大なお好み焼きケーキとクリスマスケーキを持て余したようで、
真の姿に戻ってぱくついていたらしい。

「そりの上に乗っている荷物は、さくらちゃんへのプレゼントとお料理、
 それに先程のケーキですわ。」
「で、でも、このそり、このままケロちゃんに引いてもらって帰ったら、
 大騒ぎになっちゃうよう!」
「心配あらへん!フロートのカードを使うんや!」
「ほえ?」
「さくらがフロートでそりを浮かせたったら、わいがそのまま空を飛んで
 引っ張ってったるさかい、誰にも見られることはないで。」
「で、でも・・・(汗)」
「だめですの?(うるうる)」

さくらちゃんから知世ちゃんへのプレゼントが簡単な物だったこともあり、
いつも山ほどプレゼントをくれる知世ちゃんに悪いと思っていた
さくらちゃんは、知世ちゃんのお願いを断れません。

「・・・う、うん、やってみるね。」
「ありがとうございます!それではさっそく・・・」

さっそくビデオ撮影を始める知世ちゃんの前で、
星の鍵とフロートのさくらカードを取り出すさくらちゃん。
フロートは一ヶ月ほど前に小狼とエレベーターに閉じ込められた時、
クロウカードからさくらカードへと変換されています。

「星の力を秘めし鍵よ、真の姿を我の前に示せ。」

「このそりを浮かび上がらせよ!フロート!」

さくらちゃんはそりに乗り込み、ミニスカサンタ姿で星の鍵を杖に変換し、
フロートのさくらカードを使うのでした。

「ああっ!サンタさんの衣装を着て、そりに乗って
 クリスマスの夜を舞うさくらちゃん!超絶かわいいですわあ!」
「はうぅ〜。」

ふわりと宙に浮かび上がったそりの上から、お別れのあいさつをして手を振る
さくらちゃんと、左手でビデオ撮影しながら右手で手を振り返す知世ちゃん。

「それじゃ、知世ちゃん、さようなら。」
「おやすみなさい、さくらちゃん。」
「あ・・・」
「・・・雪ですわ・・・」

二人の間に舞い落ちる白い雪。
さくらちゃんが雰囲気出しにスノウを使ったわけではないので、
これは自然の雪である。

「今年はホワイトクリスマスになりそうですわね・・・」
「うん・・・」
「行くで!さくら!しっかりつかまっとるんやでぇ!」
「ほええ〜っ!」

シャンシャンシャン・・・

大きく翼を広げて飛び上がり、宙に浮かぶそりを引っ張るケロちゃん。
しがみつくさくらちゃんを乗せたまま急角度で高度を上げたそりは、
鈴の音も高らかに、知世ちゃんへのサービスで大道寺家の上空を
三回ほど回ってから木之本家へと進路をとる。

降りしきる雪の中、大道寺家のサーチライトでライトアップされたその姿を、
知世ちゃんのビデオカメラはいつまでも追い続けるのでした。

「ああっ!最高のクリスマスプレゼントですわ〜!」


*エピローグ 木之本家クリスマスパーティー

「せっかくバイト先からケーキ持って来てやったのに・・・
 なんだよ、このでかいケーキは。」

バイト先での売り子のサンタさんの格好のまま帰って来た桃矢兄ちゃん。
忙しく料理を並べていたさくらちゃんも着替える暇がなく、
まだサンタさんの格好をしていました。
桃矢兄ちゃんは自分の格好が格好なので、かわいいと思いながらも
さくらちゃんの着ている服には突っ込まず、ケーキの方に突っ込みを入れます。

「しかも、なんで半分しかないんだ?そうか、怪獣がつまみ食いしたんだな。」
「さくら、怪獣じゃないもん!」
「つまみ食いしたことには反論はないわけだ。
 こんなでかいケーキを半分も食っちまうとは、やっぱり怪獣だな。」
「ち、ちがうもんちがうもん!お兄ちゃんの意地悪〜っ!」

「誰が」ケーキを半分食べたのか薄々気付いていながら、
相変わらずさくらちゃんをいじめてしまう桃矢兄ちゃんであった。


おしまい。


#ああっ!おまけのつもりが、また異様に長くなってしまった。
#途中で園美お母さんなんか登場させたりするから・・・

それでは、これにて。

(メールはここまでです)

 藤森さんからの妄想はひとまずこれまでです。
 さて、感想を書かないと。

#…といって、実は夏の感想もまだでした。

 では、今後とも宜しくお願いします>藤森さん。


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Keita Ishizaki mailto:keitai@fa2.so-net.ne.jp