水野@秋田です。
カードキャプターさくら長編妄想です。

藤森さんの長編妄想は「いつ封印されたかわからないカードの話」ですが,
これは「いつさくらカード化されたかわからないカードの話」です。
# 全部で6枚あります。
# http://www2.tky.3web.ne.jp/~mwe/C.C.SAKURA/CardList.html

「矢」(アロー)のカードのさくらカード化を妄想してみました。
第67話「さくらと小狼と月峰神社」(2000年2月29日放送)と
第68話「さくらと過去とクロウ・リード」(2000年3月7日放送)の間にあたるお話です。

題は「さくらと桃矢の秘密の終わり」……うーん, いまいち合ってないなぁ。


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3月2日, 木曜日。
雛祭りの前日ということもあり, 街は賑わっています。
もちろん友枝小学校でも, その話題でもちきり……かと思いきや,
違う話題で盛り上がっている一角があります。

さくら「お兄ちゃん, 大丈夫かなぁ……」
知世  「お兄さまと月城さん, 今ごろは最後の面接ですわね」

桃矢兄ちゃんと雪兎さんは, 大学入試のために一昨日から友枝町を
離れているのでした。

知世  「お二人とも, このふた月はアルバイトをなさらず
        勉強に専念なさっていたようですし,
        日曜日にお贈りした合格祈願のお守りもあるんですから,
        きっと大丈夫ですわ」
利佳  「さくらちゃんのお兄さんたち, すっごく勉強できるもんね」
奈緒子「勉強だけじゃなくて, 何でもできるよね」
さくら「でもでも, やっぱり心配だよ。ずっと眠そうだったし……」

と, そこへ突然ひょっこり飛び出す顔。

山崎  「受験っていうのはね, 古代ローマの闘技場で, 予選として
        歴代チャンピオンの名前を暗唱したのが始まりなんだよ。
        これに答えないと本番の試合に出られないから,
        一年かけて沢山の名前を覚えたんだって」
さくら「ほ, ほぇ? でも, それじゃどんどん覚える人数が増えていくんじゃないの?」
山崎  「うん。それにヨーロッパの人は名前が長いから,
        何年も経つうちに予選を通過できる人がいなくなっちゃって,
        それで闘技場がなくなったんだよ」
奈緒子「へぇ, そうだったんだ〜」
利佳   (にこにこ)
千春  「さくらちゃんに余計な心配, させるんじゃないのっ」

山崎君の耳をつまんで引っ張り出しながら, 千春ちゃんが言います。

千春  「あのね, 去年お姉ちゃんが中学校を受験したときだけど,
        『全然だめだったよ〜!』って荒れてたけどちゃんと合格できたんだ。
        やることやってれば, 深刻に考えなくてもいいみたいだよ」
利佳  「ずっと頑張ってきたんでしょ, きっと大丈夫よ」
さくら「う, うん……千春ちゃん, 利佳ちゃん, ありがとう」

知世  「今夜, 駅までお迎えにいらっしゃるんですよね。
        私もご一緒していいですか?」
さくら「電車が着くの夜遅いけど, 大丈夫?」
知世  「家には連絡しておきますから」
さくら「それじゃあ, いいよ。小狼君も来る?」

隣の席で聞いていた小狼。
もちろん, 実際にはさくらちゃんの横顔を見つめてぼーっとしていたのでした。

小狼  「え?  あ, ああ……いや, 行かない。
        お前の兄さんと会うと, どうしても喧嘩になるからな」
さくら「そんなことないよ。お兄ちゃん, 本当は優しいんだよ」
小狼  「しかし……」
知世  「お兄さま, お疲れでしょうから, 気遣ってらっしゃるんですよね」
小狼  「!!」

一瞬にして顔を真っ赤にする小狼。
言い返そうとするけれど, 言葉が出て来ません。

さくら「そうだったんだ……ごめんね, 小狼君。
        お兄ちゃんたちに, 小狼君のこと言っておくね」
小狼  「でっ, いや, それはっ……」
堤先生「みなさん, 授業を始めますよー」
一同  「は〜い」がたがたがた



放課後。
さくらちゃんと知世ちゃんは, 一緒に木之本家へ向かいます。

さくら「お父さんも, 一昨日からお仕事でいないんだ」
知世  「では, ずっとお一人で全部家事を?」
さくら「うん。ケロちゃんが起こしてくれなかったら,
        朝起きられなかったかも」(てへ)

奈久留「さくらちゃ〜ん!!」
さくら「ほえぇぇ!?」

校門からいくらも離れないうちに, 突然降ってきた奈久留ちゃん。
さくらちゃんに抱きつきます。

奈久留「お兄さんもお父さんもいないんだ。大変だね〜」
さくら「は, はい……あの, 秋月さんは入試, 終わったんですか?」
奈久留「ううん, 私大学は受けないの」
さくら「えっ? どうしてですか?」
知世  「就職なさるんですの?」
奈久留「だって, エ……」

「エリオルが『もうすぐ終わる』って言っていたから」と言いかけて,
慌てて口を塞ぐ奈久留ちゃん。

知世  「どうなさいました?」
奈久留 (しどろもどろ)「え, えっとぉ……その, はっきりとはわからないから,
        まだわからないんだけど……」
さくら「何かあるんですか?」
奈久留「う……(あ, そうだ)わ, 私, 留学することになってるんだ」
知世  「どちらへ行かれるんですの?」
奈久留「んと, イギリス。いつ出発するかまだはっきりとはわからないんだけど」
# さくらちゃんしだいです(^^;

さくら「イギリスですか。観月先生も留学してるけど……どんな所かなぁ」
奈久留「(余計なことは言わないっ!)遠いけど, もし来ることがあったら
        私のところにも寄って。桃矢君と一緒にね(はぁと)」



木之本家で一緒に夕食をとったさくらちゃんと知世ちゃん。
お話などしているうちに, 時刻は夜9時前になりました。

ケロ  「さくら〜, もう時間やでぇ」
さくら「あ, ほんとだ。そろそろ駅行かなくちゃ」
知世  「それではさくらちゃん, こちらで着替えてくださいませ」
さくら「ほぇ?」

知世ちゃんに引っ張られて表に出てみると,
そこにはしっかりコスチューム運搬車が呼び出されていたのでした(笑)

さくら「な, 何もこんな時まで……」
知世  「さくらちゃん, お兄さまと月城さんをお迎えするの巻!
        こんな特別な機会は逃せませんわぁ! さぁ今日はこのコートを」
さくら「知世ちゃん……(汗)」
ケロ  「おっ, フードの内まで毛皮や。暖かそうやな〜」
知世  「ケロちゃんの指定席ですから」

フードにもぐり込むケロちゃん。

ケロ  「おお〜, こりゃええわ。知世, おおきにな〜」
さくら「あれ? ケロちゃん, 今日もフードの中なの?
        もうお兄ちゃんからも雪兎さんからも隠れる必要ないでしょ」
ケロ  「う〜ん……そやけど兄ちゃんには顔合わせづらいしなぁ。
        やっぱり隠れとくわ」
さくら「変なの。だったら家に残った方がいいんじゃない?」
ケロ  「月もおらんのに, 何かあったときさくらを護れるのはわいだけやないか!」

# もちろん, "何か"起こります(笑)



★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

木之本家から駅までは, 歩いて20分くらいです。
改札口近くで待っているさくらちゃん。
それを撮影している知世ちゃん。

知世  「人気の少なくなった改札口に立つさくらちゃん。
        寂しげな空気にさくらちゃんの可愛らしさが映えますわ,
        ああっ, 最高に幸せですわ〜」
ケロ  「わいというワンポイントも決まっとるやろ。
        こう, 場を引き締める効果があるからなぁ。
        ほらさくら, 笑っとらんでポーズ決めるんや」
さくら「はぅぅ……」

駅を出入りする人はあまりいませんが,
駅員さんたちが気になってしまうさくらちゃんでした。


と, そのとき。

ケロ  「! こりゃあ……」
さくら「クロウさんの気配がする。外の方から……」
知世  「まぁ, どうしましょう, 電車が来るまで10分もありませんわ」
さくら「でも, 放っておけないし……ちょっと, 様子を見てくるよ」

駅舎から出て鍵を杖に封印解除し,
雛祭りフェアの看板が並ぶ駅前商店街を歩くさくらちゃんたち。
クロウ・リードの気配は, 駅から少し離れたお菓子屋さんの方から漂って来ています。
このお店も雛祭りフェアのため, いろいろと飾り付けがしてあります。

さくら「この辺り, なんだけど」
ケロ  「ああ, 間違いない。この辺りがいっちゃん気配が強い」
知世  「でも, 何もないようですけど……」
ケロ  「……あそこや!」

ケロちゃんが指さした先には, お店の軒先にぶら下がっているミラーボールの一つ。
脇に数本のモールがくっついていて,
下には「雛祭りフェア」の垂れ幕が下がっています。
そして, 風に揺られているのとは明らかに違う, 妙な揺れ方をしています。


>>>
雪兎  「とーや, とーや。着いたよとーや」
桃矢  「ん, あ, ……もう着いたのか」

受験疲れで, 電車の中で眠っていた桃矢兄ちゃん。
試験中にはなんとか我慢できたのですが, 電車の中で眠ってしまい,
乗り換えの度に雪兎さんに起こされてきたのでした。

電車を降りて, 改札を通ります。

桃矢  「ふぁ〜あ……眠い, 疲れた。さっさと帰って寝よ」
雪兎   (くすくす)「さくらちゃんが迎えに来てくれてるんだよね」
桃矢  「ああ。そのはずなんだが……どこだ?」

辺りを見回す桃矢兄ちゃん。
しかし, さくらちゃんの姿はどこにも見当たりません。

桃矢  「まだ来てないのか? この時間に外に出ているのは辛いだろうが……
        (ボソッ)もっと遅くまで起きてたりしただろうに」
雪兎  「……」
桃矢  「ゆき? どうした?」
雪兎  「気配が……」

急に厳しい目つきになった雪兎さん。
歩調を速めて, 出口へ向かいます。

桃矢  「おい, ゆき!」


<<<
さくら「な, 何!?」

ミラーボールとモールがさらに激しく揺れ,
吊られていた軒先から外れて空中に浮かびます。
ミラーボールの表面は, 街灯の光を反射するだけではなく,
ぼうっと青い光を放っています。

ケロ  「気をつけるんや。ものすごい魔力を帯びとる」
さくら「うん……」

3人が見つめる中, 青い光は次第にミラーボールからモールへと移っていきます。
そして突然, モールが伸びてさくらちゃんに襲いかかってきます。

さくら「きゃあっ!」
知世  「さくらちゃん!!」

封印の杖でどうにか弾くと, モールは青い火花を放って元に戻ります。
しかし, 今度は2本のモールが襲ってくるのでした。


>>>
雪兎  「とーや, こっち!」
桃矢  「おい, 待てって!」

気配を追って, 商店街を走る雪兎さん。
桃矢兄ちゃんもその後を追いかけます。


<<<
さくら「『剣』(ソード)!」

杖を剣に変え, モールを切るさくらちゃん。
切れたモールは青い光を失って地面に落ちますが,
ミラーボールからはさらに何本ものモールが伸びてきます。
そればかりか, 軒先にあった他のミラーボールまでもが
次第に光を帯びてくるではありませんか。

さくら「これじゃきりがないよ〜!」
ケロ  「あかん, これはモールやなくて, 本体のボールを潰さんと!」


>>><<<
桃矢  「さくらー!!」
雪兎  「さくらちゃん!」

青い光とその下にいるさくらちゃんが見え, 叫ぶ桃矢兄ちゃんと雪兎さん。
さくらちゃんは思わず, 杖を鍵に戻してしまいます。

さくら「お, お兄ちゃん? 雪兎さん?」
ケロ  「う, 兄ちゃん……っと, さくら! 何やっとるんや!!」

モールは容赦なく, さくらちゃん, 知世ちゃん, ケロちゃん,
そして桃矢兄ちゃんと雪兎さんにまで襲いかかります。

知世  「きゃああっ!」
さくら「知世ちゃん!!」
ケロ  「でぇっ!」
桃矢  「うっ!」
雪兎  「桃矢!! さくらちゃん!」

さくらちゃんは, 知世ちゃんに抱きついて庇います。
そのさくらちゃんを, 真の姿に戻ったケロちゃんが守ります。

ケロ大「大丈夫かさくら!?」
さくら「う, うん平気。知世ちゃんは?」
知世  「大丈夫ですわ, さくらちゃんとケロちゃんが守ってくださいましたから」
さくら「よかった……お, お兄ちゃん!?」
桃矢  「ううっ……」

雪兎さんはケロちゃんのように真の姿に戻って防いだのですが,
桃矢兄ちゃんにの足にモールの1本が絡まり, 引きずられそうになっていました。

月    「はっ!」

モールを光剣で断ち切る月さん。
しかし, チャンスとみたか, 3つのミラーボールから次々にモールが伸びてきます。

ケロ大「さくら! 早くボールを壊すんや!!」
月    「こっちは任せろ, 必ず守る」


さくら「『星』の力を秘めし鍵よ, 真の姿を我の前に示せ。
        契約の元さくらが命じる, 封印解除!!」

ケロちゃんと月さんがガードする中,
ついに桃矢兄ちゃんの目の前で封印解除するさくらちゃん。
再び杖を手に取ります。

さくら「『駆』(ダッシュ)!」

迫りくるモールを魔法を使って避け, 3つのミラーボールの前に立ちます。

さくら「クロウの作りしカードよ, 古き姿を捨て生まれ変われ。
        新たな主, さくらの名の元に! 『矢』(アロー)!!」

新たに生み出されたさくらカードから実体化する「矢」の精霊。
矢を1本つがえ, 弓を引き絞り, 放ちます。
1本の矢は弾道上で3本に分かれ, 3つのミラーボールに同時に突き刺さります。

ミラーボールは, 矢が突き刺さったところから白い光を放ち,
数瞬の後, モールとともに破裂し光の粉となります。
そして, 辺りは再び静寂を取り戻すのでした。


桃矢   (これが, さくらの魔法――)


ケロ大「ようやったさくら!」
知世  「ご無事で何よりですわ(最高のシーンが撮れましたし)」
さくら「お兄ちゃんは?」
桃矢  「大丈夫だ。ちょっとコートが擦り切れちまったけどな」
さくら「良かった……ありがとうございます, 月さん」
月    「気にするな, 約束を守っただけだ」


小狼  「さくらー!」

今ごろになって駆けつける小狼。

小狼  「はぁ, はぁ……クロウ・リードの, それもかなり強い気配がしたが」
知世  「李君……もう終わってしまいましたわ」
小狼  「そ, そうか」
さくら「うん。でも, 来てくれてありがとう」


桃矢  「ケルベロス。俺とゆきが大学行って家を出たら,
        その後はお前がさくらを守ってくれよ」
ケロ大「お, おう。任しとき」
桃矢   (あのガキも, いつまでここにいるかわからないからな……)

さくらちゃんに笑顔を向けられ水蒸気爆発を起こしている小狼に向き直って,
額に青筋を浮かべる桃矢兄ちゃん。

桃矢  「お前, 今さら何しに来た!」
小狼  「何だと!」
さくら「ちょっと二人とも, 喧嘩はやめてよ!」
桃矢  「○Σ∝▲б×!!」
小狼  「ΦйЪ‰Ξ※£◆!!」
さくら「やめてってばーー!!」

知世  「大団円ですわね」(さくらちゃんたちの様子を撮影しながら)



ケロ大「兄ちゃん, わいのこと知っとるとは聞いとったけど,
        わいの名前まで知っとったな。月が喋ったんか?」
月    「いや, 言ってない」
ケロ大「……」


- おしまい -


だーっ, 疲れた!
藤森さんみたいにアイキャッチの位置調整できなかったし, ダメダメですね。


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水野夢絵@秋田 <mwe@tky3.3web.ne.jp>
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ねぇ○○殿? 私のことは……「夢絵ちゃん」って呼んで!! (嘘)