こん○○わ、PARALLAXです。しーえぃちおし(よ)おー…ベタアニメがもう1本

あ、「トラブルチョコレート」の事です(^^ゞ。見所は丹下桜だけだな。

寺田 晴男 wrote in message <7tkald$kvc$1@fujigw.fujielectric.co.jp>...
>寺田です。

ども(^○^)/。

>皆さま、大前提をお忘れではないでしょうか。知世様は大道寺財閥の
>御令嬢でございますぞ。
>秋葉原なんぞに出向かなくても、ここいらの手配は大企業の社長である
>お母さまに頼めば一発だと思うんだけど。

遂に来たか、この疑問(^^ゞ。と言う訳で、私なりの回答編を。

◆大堂寺家  執務室

園美)「『プレステ3用EM素子開発』…認可。
        『勇者育成玩具がががっち製造』…認可。
        『セガサターン復活プロジェクト』…却下。
        『大堂寺知世1/8フィギュア製造』…担当者馘首。」

原作でもアニメでも「ちょっとヌケ」を演じている大堂寺園美氏だ
が、伊達に国際巨大玩具アミューズメント企業を率いている訳では
ない。寸暇を惜しんで仕事をこなすその姿は、紛れも無くキャリア
ウーマンの鏡。と言う訳で、今日も今日とて日曜日の昼下がりにも
関わらず持ち帰った企画書に目を通す園美社長であった。かなりの
速度で読んでいた彼女だが、ふと、ある予算書に目を止める。

園美)「旧ソ連製スターライトスコープ…盗撮用ピンホールカメラ
        …ノンリニア編集用RAIDユニット…何、これ?」

表紙の担当社印に目を戻す。そこには一般社員なら間違いなく使わ
ない「らぶり〜」な印影があった。崩した字体だが「知世」とある。

園美)「知世が?」

愛娘の非凡なデザインセンスに目をつけた彼女がデザインセンター
に掛け合って次席部長待遇で知世を据えたのは、もう1年以上前に
なる。12歳の少女を予算配分権まである部長級に大抜擢する事へ
反感を覚えた者も少なくないが、小学生ながらデザインする機器の
非凡さと、その商品の売れ行きに何時しか的外れな反論は立ち消え
て行った。今の知世はDEA(大堂寺エンターティメント&アミュー
ズメント)にとって無くてはならない人材になっていた。

その愛娘の名前で、こんな代物が注文されている?

いち早く「オリジナルコスプレ」に目をつけた知世が玩具メーカー
にも関わらずアパレル産業に進出を始めた時にもかなり驚いた園美
だったが、知世が生み出す「チェリー・ブランド」の衣装や小物の
数々は今や玩具産業の枠を超えて世界のファッション界を脅かす迄
に成長している。その成功を足掛かりに、とんでもない予算要求を
「知世スクランブル」として押し通す事を獲得した愛娘だったが…

園美は続く予算書にぱらぱらと目を通した。新型のDVカムコーダ
を筆頭に民生用業務用を問わず各種映像機材がずらりと揃っている。
また詳細な調達手段まで添付した海外軍事用偵察機器も並んでいる。
番組制作プロダクションはおろか基幹放送局でも揃えない様な高級
映像ワークステーションのシステム構成図提案が最後に顔を出した
時、遂に大道寺園美氏は愛娘大堂寺知世に真意を質そうと決意した。

…2時間後。

知世)「上手く行かないものですわね。」

ふぅ。と一息ため息をついて、知世は母親の執務室から自分の部屋
に戻ってきた。様々に言を弄し何とか機材調達予算を認可させるべ
くプレゼンテーションした知世だったが、肝心の「さくらちゃんが
カードキャプターである事が秘密の為に、その活動が夜間に限られ
がちである事から、映像記録用には軍用やプロ用の撮影機材が必須」
である事が、その秘密故に公開できず、結局社長つまり母親を説得
できなかったのだ。ここに彼女の計画は潰えた…かに見えた。

知世)「お母様のお金を拝借しようとしたのがいけなかったのかしら」

彼女が自分のカメラを壊したのは、つい先日の事。撮影対象に何時
スクランブルが掛かるか判らない昨今では、新しいカメラを入手す
るのに掛けられる時間は少ない。その為、自分の小遣い(DTEか
らの報酬だけで年収四千万。但しストックオプションの株を除く)
からカメラを買おうとしたのだが、相棒から「親の金は使える内に
使い倒すモンや」とのアドバイスを受けて、自分の持つ予算枠から
機材を揃えるべく予算書を作ったのだった。

知世)「これは矢張り、自分のお金で揃えねば」

とは言え、まだ未成年である自分の口座は保護者である母親に厳重
管理されている。鋭い母親の事、払い込み先の略名と金額を見れば
何をどう揃えたかをたちどころに把握するに違いない。そうなれば、
これを使って何をどう撮るかを問い質されるのは明らかだった。

つまり、使えるのは自分のポケットマネーしかない。

ふぅ。とまた一息ため息をつき、知世は自分のPCを立ち上げた。
同時にランドセルの底から携帯電話とケーブルを取り出し、PCの
裏にあるUSBポートに繋ぐ。「アンテナが立っている」事を確か
め、ダイヤルアップ接続の設定を開始する。メモも見ないまま確実
に電話番号からプロバイダのドメインまで打ち込んだ彼女は、いま
設定した箇所に取り出した携帯電話からアクセスした。からからっ
とHDDが廻り接続済みのアイコンが出た事を確認し、今度はエク
スプローラーから直接EXEのアイコンを叩いて、特殊なブラウザ
を立ち上げる。流石に何時も使っている高速専用線よりは圧倒的に
遅いものの、現れたテキストベースの画面では不自由は無い。碌に
背景も貼り付けられていない無粋な画面へ、IDと第1パスと第2
パスと今週のアクセスパスを、やはりメモも見ずに打ち込む。と、
直ぐに明細画面が現れた。即座にプロバイダへの接続を切り、同時
に接続設定を消去する。手早く携帯電話とケーブルをランドセルの
底に仕舞い込んだ後、知世はPCの明細を注視した。日付、時刻、
数桁の英数字と略名、そして6〜8桁の3桁づつに区切られた数列、
つまり金額。明細末尾に表示されている10桁の合計金額を確認し、
それが先日作成した予算書の合計を数倍上回る事に安堵した友世は
今度は明細を確認して行く。と、ある明細に目を止め、表情を曇ら
せる。明らかに他より少ない金額が、そこにあった。

デスクの引き出しを開け、玩具箱にカムフラージュされた蓋を非接
触型キーで解除し開ける。中から軍用と思しきゴツい受話器を取り
上げた友世は、相手先の電話番号をスクランブルコード込みで打ち
込んだ。当然、メモなど見ていない。相手先のベル音を聞きながら
ボイスチェンジャーの作動ランプを確認し、知世は話し始めた。

知世)「もしもし、Tです。店長さん?  …そう、先日卸しました
        ビデオの代金ですけど、まだ入金されていない様なんです
        が…  いぇ、入金そのものは御座いましたが、あの額では
        先月御提供しましたグラビア本の卸値にも足りませんわ。
        …それは其方の御事情でしょう?  …何なら、全ての商品
        を引き上げさせて貰っても良いのですよ?  …そう、その
        様に言って頂ければ、此方も事を荒立てる積もりは毛頭、
        御座いませんから。  …はい、では3日以内に、必ず。」

流石に表ルートでは、ましてや大堂寺財閥が抱える裏ルートからで
さえ流出は憚られる品々を、相棒のアドバイスで彼女自らが開拓し
たルートで卸し始めてからもう半年以上になる。彼女も相棒も「こ
れは売れる!」と見込んで始めた物だったが、あっという間にそれ
ら自家製ビデオ&グラビアムックは「知る人ぞ知る」爆発的な人気
を「あの特殊な街」ではくした様で、五桁のプレミア価格を付けた
現在でも飛ぶ様に売れていた。特殊な街、即ち東京秋葉原に現在も
雨後の筍の様に増えて行く同人誌&ガレージキット&ムック本販売
業者のミニショップが莫大な利益を上げている理由が、1小学生が
編集するビデオテープにある事を知る識者はいないだろう。

      「まさに、さくら様様やな」

ふと知世が気付くと、そこに相棒が居た。相変わらず窓から入って
きた様で、つまり警備のセンサーも得意の魔力で誤魔化してきた訳
なのだろう。まぁ真昼間、3階の窓から直接侵入できる賊が居ると
も思えないが。

知世)「ケロちゃん!  いらっしゃいませ。」
ケロ)「よう!  商売繁盛の様で、何よりや。」
知世)「本当に。ケロちゃんが居なかったら今度のシステムは揃え
        られませんでしたわ。」
ケロ)「なんや、やっぱ予算書は通らへんかったか。半額でも行け
        たらぼちぼちやな、とか思っとったが。」
知世)「申し訳ありません。ですから今回はポケットマネーを…」
ケロ)「あぁ、気にせんでエェ。投資無き処に儲け無し、や。まぁ
        見たらんか。半年もせん内に、元値に戻したる。難波商人
        のど根性と技、しっかり教えたるわい。カバチ言いなや。」
知世)「はい(^^)」

そう言いながら、ケロは知世のPCから明細をピックアップするの
に余念が無かった。知世本人も当初は全く信じられなかったが、彼
ケルベロスはどうやら大阪にクロウカード本が置かれていた間に、
難波船場の商人のあらゆるテクニックを身に付けた様だった。戦士
としては3流でも商人としては特級の実力を見せたケルベロスは、
知世が編集するシリーズのグッズを各種ルートで売りこみ、莫大な
儲けを上げていた。勿論ケルベロスも知世も電話(しかもボイス
チェンジャー介在)や電子メールやFAXのみで相手先と接触する
危険な商売だったが、秋葉原とはこんな事が商売の障害になる街で
はない。ニーズある所にシーズあり、を地で行く町だった。

一頻り、知世が持つ諜報活動用のスクランブルフォンで、相手先を
持ち前の関西弁の迫力と老練な言い回しで言い包め言い負かしたケ
ルベロスが、知世の予算書の数割引で機材を調達したのは、それか
らまた1時間後の事だった。流石に疲れた様子の彼を、知世は別室
に誘った。彼女が持つ、秘密のスペースへ。ケルベロスと彼女だけ
しか知らない、さくらちゃんも知らない、秘密の部屋へ。

  がこん!  しゃりしゃりしゃりしゃり........

そもそもはこの大道寺家が外敵から財産を守る為に作った小部屋ら
しい。お父様は知ってらっしゃったかもしれないが、外戚のお母様
は教えてもらっていないのだろう。尤も友世本人も大爺様の日記を
読むまでは、まさか自分の部屋にある大型モニターの壁がそのまま
スライドして別室への入り口になるなんて知らなかった。

今は使われている、この部屋。ぱちり、と知世が旧式のスイッチを
入れる。と、そこには…

さくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃん
さくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃん
さくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃん
さくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃん
さくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃんさくらちゃん
…

壁面はおろか、天井も、そして床面さえもポスターやスクラップや
ポップ用品やフィギュアや書籍やビデオ映像を映し出すモニターで
埋まった部屋。その全てがたった一人のキャラクターを現していた。

ケロ)「何時きても、壮絶な部屋やなぁ…」

感心したか呆れ果てたか。ため息混じりにケルベロスが呟く。が、
既に知世は聞いていなかった。目付きは既に彼女があちらの世界へ
旅立たれた事を如実に現していた。

知世)「可愛さ、絶頂ですわぁ!」

そう、ここが知世の「本当の」城。今、秋葉原を基点とし全世界の
「あれ」な人々の願望を埋めるべく知世とケルベロスが日夜撮り溜
めた映像を編集してリリースしている「カードキャプターさくら」
を作り出している所。そして知世が予算書を書きケルベロスが調達
した機材により、より強化される筈の所。

知世)「そう!  全世界にさくらちゃんの可愛さを知らしめる為な
        ら、この大道寺知世、なんでも致します!」

そうして彼女は、日夜作業に励む。何時か「カードキャプターさく
ら」が世界を席巻する日が来る事を信じて。

**

と言う訳で、お母様にさくらちゃんの秘密を知られる訳にはいかな
い知世ちゃんは、大道寺の表&裏ルートを使う訳にも行かず、仕方
なく御自ら秋葉原界隈を廻る事になるのですね。

…たった3行で済む所を200行も書くかい?(^^ゞ。では。
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